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田中紀子「祖父・父・夫が ギャンブル依存症! 三代目ギャン妻の物語」(高文研)

2015-10-31

【マスコミ・メディア】

ギャン妻-画像アイキャッチ「祖父・父・夫が ギャンブル依存症! 三代目ギャン妻の物語」
(高文研)
著者:田中 紀子 イラスト:ワタナベチヒロ
2015年7月22日発行 1,836円

ギャンブル依存症問題を考える会の代表理事である田中紀子さんの講演を初めて聞いたのは、今から3年ほど前の2012年春。衆議院議員会館で開催された民主党の「内閣・法務・国土交通合同部門会議」でIR推進法案が扱われたときだった。

そんな折、ギャンブル依存症問題の有識者として三合同部会に招聘されたのが田中さんだった。私にとっても依存症問題に携わる専門家の講演を初めて聞く機会であったが、依存症はIR推進法案の抱える課題のひとつであり、状況から判断しても田中さんの講演は重いものとなり、IR推進法案反対の主張になるだろうといった先入観があった。ところが、壇上で講演する田中氏は自身や家族がギャンブル依存症に苦しんだ経験をユーモアも交えてあっけらかんと話していた。議員から上がった「カジノを解禁すべきか」という質問についても「賛成でも反対でもない」と言い切る。「どのギャンブルにはまったのか」という質問には、「闇カジノにも突っ込んだこともある」とユーモアたっぷりに返答して笑いを誘うなど、IR推進法案への対応を巡って賛否で割れていたはずの会場の議員の心を、双方ともがっしりと掴んでいた様子が見て取れた。

次に彼女の顔を見たのは2年後の新聞記事で、田中さんが「ギャンブル依存症問題を考える会」を立ち上げたとあり、以前の記憶が鮮明に呼び起こされた。それから1か月もしないうちに、彼女は自民党・民主党・維新の党・公明党・共産党・みんなの党・生活の党の国会議員を壇上に並べたシンポジウムをやってのけた。同じ日にはIR議連総会が開催され、公明党でも部会レベルでIR推進法案への対応が議論されていた。

シンポジウム終了後に思い切って田中さんに声をかけたことで、彼女との交流が始まった。話を聞いて初めに驚いたことは、「依存症者が警察に逮捕された時は、回復につながる絶好の機会」だということ。彼女は国内では女性唯一のフリーで活動する「インタベンショニスト」。インタベンションとは「介入」を意味し、ギャンブル依存症が原因で崩壊の瀬戸際にある家庭に介入し、医療機関やケア施設などにつなげる活動をしている。インタベンションを行うタイミングは、「底つき」の時期が最も効果的。すなわち、依存症者は通常自分が依存状態にあるという事実を否認するものだが、所持金を使い果たし、精神的にも追い込まれた状況が介入を行う絶好のタイミングだということだ。その時にきちんとケア施設などにつなげ、回復に向けた軌道に乗せることが重要になってくる。

前置きが長くなったが、「三代目ギャン妻の物語」にはそんな田中さんが依存症を発症した本人としてギャンブルにのめり込んだ経験、また、夫の依存症を尻拭いする妻として苦しんだ経験、そしてそこから家族とともに回復していった経験が詳細に綴られている。さらに、冒頭で紹介した考える会などのこれまでの活動をもとに、いまの日本社会に現在蔓延しているギャンブル依存症問題について鋭いメスを入れている。

ギャンブル依存症の問題というものは、今後IRが国内に導入されてから起こるだろうという架空の話ではなく、実際にいまの日本で起こっている問題だ。国内には「遊技」と呼ばれているパチンコ・パチスロ産業、「公営競技」と呼ばれている公営ギャンブルがあるが、どちらも実質的なギャンブルであり、数百万単位の依存症者を生んでいるとみられる。依存症は悪化すれば自殺に至るケースもあり、その対策は待ったなしの状況だ。

臨時国会の開会が見通せない今、果たしてIR推進派は指をくわえて待っているだけで良いのだろうか? 私自身はギャンブル依存症の問題というのは、対策がほとんど行われていないことが主な原因で、IRと同時にギャンブル依存症対策が導入されれば依存症者の総数は大幅に減少すると確信している。しかし、そういった見通しは、世間一般からすれば、IR解禁のための方便なのではと映ってしまっているようだ。

IR推進派に現在求められていることは、ギャンブル依存症者数の過多ばかりを論じることではなく、いま存在している依存症者を減らすための実際の行動である。IR推進派は、本当に推進を望むなら、ギャンブル依存症対策の実績を引っ提げて、堂々とIR法案を後押しするべきだ。

だからと言って対策に、なにも大掛かりなことをすべきという話ではない。IRでやろうとしていることを、既存のギャンブルでもやれば良いだけだ。国内のギャンブル依存症対策の現状は極めて限定的で、初歩の初歩である予防教育・啓発活動すらろくに実施できていない。予防教育は薬物乱用防止教育の例に倣えば、文部科学省の通達一本で実施することが可能だ。ギャンブル依存症問題を考える会は現在、「ギャンブル依存症対策推進のための10万人著名」を実施し、そのかたちでの政策実現を訴えている。

いまIR推進派がギャンブル依存症対策に積極的に協力することは、IR推進法案の後押しにつながる。ギャンブル依存症問題に対しての理解を深めるという意味でも、田中さんや考える会の考えていることを理解するという意味でも、必読の一冊であると言えるだろう。
(ジャーナリスト 佐藤亮平(トライアンフ))

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