カジノを含む統合リゾート(IR)の政治、経済情報のポータルサイト >運営方針はこちら

日本型IRへの道日本型IRへの道
ご利用規約お問合わせ





依存症問題に挑む元官僚 宇佐美典也氏 第3回「ギャンブル依存症は、今がボトム。対策急務」

2016-03-15

【インタビュー&特集記事】

宇佐美氏ー画像

宇佐美典也氏は、経済産業省の官僚出身であり、在任時には知財、電機半導体、エネルギーなどの産業政策に関わってきた。経済産業省在籍時に「三十路の官僚のブログ」で話題となり、その後、「30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと」、「肩書き捨てたら地獄だった ―挫折した元官僚が教える『頼れない』時代の働き方」などの書籍を発表。

現在は、エネルギー事業を営みながら、ギャンブル依存症問題の改善に取り組む。カジノを含む統合型リゾート(IR)に関連しては、産業政策、ギャンブル制度と監督体制、そして、ギャンブル依存症問題、と多面的な視点で深い見識を有する。

宇佐美氏は、IRを推進する立場ではない。むしろ、ギャンブル依存症問題に向き合う立場からの視点が強い。その客観性ゆえに、その意見は、IR無関心層、中立派、そして、反対派に対しても、貴重な示唆を与えるだろう。

宇佐美氏は、IRの議論を契機にギャンブル依存症問題が注目されたことを評価する。また、日本の産業政策に携わってきただけに、IRの観光促進、文化振興、地域創生などにおける経済効果の大きさを十分に理解する。
そのうえで、政府がIR実現を契機にギャンブル依存症問題の対策をしっかり進めるならば、状況が改善する良いきっかけになると期待する。

今回は三回目。

宇佐美典也氏 インタビュー:
依存症問題に挑む元官僚 宇佐美典也氏 第2回「カジノを含む統合型リゾート(IR)への期待」

依存症問題に挑む元官僚 宇佐美典也氏 第1回「ギャンブル依存症、制度設計、監督体制に問題意識」

第3回 「ギャンブル依存症は、今がボトム。対策急務」

既存の法制度はギャンブル依存症を考慮していない
繰返しになりますが、日本におけるパチンコ、公営競技の法制度は、ギャンブル依存症の問題をほとんど考慮せずに作られています。

例えば、公営ギャンブルについて枠組み定めた競馬法、自転車競技法、モーターボート競争法などの法律は、ギャンブルで生じた利益をそれぞれの法律を所管する省庁が担当する業界にどのように配分するかという文脈でしか考えられておらず、ギャンブル依存症に付随して生じる貧困問題や家庭問題や雇用問題に対策が講じられる仕組みにはなっていません。
それでは本末転倒でしょう。

また、厚生労働省もギャンブル依存症問題への体制が手薄いです。元々、厚生労働省は依存症全般に対して体制が手薄ですが、それでも薬物とアルコール依存症については、依存症回復に向けてのガイドライン・回復のための道のりを示しており、産業医に対する研修を進めています。
ギャンブル依存症についてはそのような取組みすら着手されていません。

パチンコが最大の原因。業界の規制、監督体制の在り方に大きな課題
日本国内で見ると、やはり、ギャンブル依存症の最大の震源地はパチンコです。私はパチンコ産業の規制のあり方、コンプライアンスの在り方には大きな問題があると考えています。

パチンコ業界を規定した現状の風営法の枠組みは、警察庁の裁量を認める規定が非常に多いものとなっています。パチンコ業界がまだ未熟で、小さく、また反社会勢力との関係が疑われた頃は、こうした枠組みを利用することで「アメとムチ」を駆使して業界の浄化を促す、柔軟な行政を取ることが出来た利点があったかもしれません。

しかし巨大産業となった現在ではこのような裁量的な枠組みが「警察に言われないことはやらなくても良い」という歪んだコンプライアンス意識を醸成することになり、ギャンブル依存症問題に無責任な業界体質を助長しているように感じています。

また遊技機メーカーに対する拘束力の弱さも問題です。現在の風営法の射幸性管理の枠組みは直接的にはパチンコホールを規制するもので、パチンコメーカーに対する規制は間接的なものに留まっています。

他方で実際に遊技の射幸性の度合いはホールの経営方針よりもむしろ、「パチンコ・パチスロメーカーがどのような機種を開発・提供するか」という点に大きく依存しています。なのでホールを中心とした射幸性管理の枠組みが機能しづらくなっており、管理の弱いメーカーが射幸性を大幅にあげる不正改造を業界ぐるみで行っている実態が昨年来明らかになっています。

現在の風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律。1984年に現在の姿に)の枠組みは、約30年が経過しており、制度疲労が起きている面も否定できません。

今後は規制をパチンコ業界の実態にあった形に見直し、明確な規制の下でパチンコ業界が自ら身を律してコンプライアンスを考え社会的責任を果たしていくような枠組みに徐々に転換していくべきではないでしょうか。

その中でパチンコ業界が社会と調和するための当然の前提としてギャンブル依存症への対策を進めていくことが重要だと考えています。

まずは、ギャンブル依存症の理解を。二次被害が深刻
他方で制度ではなく日本社会全体に眼を向けた時、ギャンブル依存症への理解、認識が進んでいると言える状況ではとてもありません。

最も多い見方として「ギャンブルで身を崩すのは本人がわるい。なぜギャンブルくらい自分で辞められないのか、意志が弱い。そのような社会不適合者に手を差し伸べる必要は無い」と断罪する自己責任論です。しかしギャンブルを辞められないからこそ『依存症』という病気なのです。

また、こうした自己責任論は、ギャンブル依存症の二次被害を軽視しています。
ギャンブル依存症で問題になるのは、本人以上に周りの人、とくに家族です。本人が借金漬け、多重債務者となり、家庭が貧困状態に陥ります。ギャンブル依存症の親を持つ子供が貧困のため進学を諦めるのはよくある話ですし、貧困から家庭内人間関係がギクシャクして家庭内暴力や虐待に発展するケースも多々あります。

また、依存症罹患者が目の前の資金が欲しくて、会社のお金を横領したり、情報を不正に流出させたりするなどの形で経済犯罪に走るケースもよくあります。ギャンブル依存症を起点として、社会が蝕まれているのです。

そうした「社会問題」としての観点から依存症を捉える視点が日本社会には希薄なように感じています。

カジノIRジャパン

著作の購入はこちら:


ご要望お問合わせ

NEWS&TOPICSNEWS&TOPICS
法案NOW
IR関連法案 最新記事
IR資料室
JGC2017

カジノ関連団体のご紹介
業界関連団体のご紹介
地方誘致団体のご紹介


トップへ戻る
ご利用規約 | お問い合わせ
Copyrights© Casino IR Japan All Rights Reserved.