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IR関連法制度 第34回「仮想通貨に関する法規制Q&A」

2016-07-19

【IR資料室】

第34回 仮想通貨に関する法規制Q&A

弁護士 渡邉 雅之 (略歴は巻末を参照)

FinTech、とりわけ、仮想通貨(ビットコイン)は、カジノを含む統合型リゾート(IR)におけるサービスにも大きく関わる可能性がある。今回は、仮想通貨の関する法規制について詳述する。

Q-1 仮想通貨に関する法規制が設けられるとのことですがどのような規制ですか。

内閣提出法案として成立した「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」(平成28年6月3日法律第62号)において、はじめて「仮想通貨」に関する規制を設けられました。
具体的には、「資金決済に関する法律」(「資金決済法」)において、「仮想通貨交換業」が登録制として規制の対象となります。
公布の日(平成28年6月3日)から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行される予定です。

Q-2 規制が設けられた背景・理由について教えてください。

1 国際的な要
平成27年6月8日に開催されたG7エルマウ・サミット首脳宣言において、「我々は、仮想通貨およびその他の新たな支払手段の適切な規制を含め、全ての金融の流れの透明性拡大を確保するために更なる行動をとる。」との記載が盛り込まれました。

また、マネー・ローンダリング対策・テロ資金供与対策の政府間会合であるFATF(金融活動作業部会)ガイダンス(平成27年6月26日)においても、「各国は、仮想通貨と法定通貨を交換する交換所に対し、登録・免許制を課すとともに、顧客の本人確認義務等のマネロン・テロ資金供与規制を達すべきである。」との記載が盛り込まれました。

日本以外のG7各国(米国、ドイツ、フランス、カナダ、イタリア、英国)においても既に仮想通貨に関する規制が設けられています。

2 MTGOX社の破綻
ビットコインの世界最大の交換所であった株式会社MTGOX(東京都渋谷区:「MTGOX社」)が平成26年2月に東京地裁に民事再生手続開始の申立てをしました。東京地裁は、同年4月、同社の民事再生手続開始の申立てを棄却し、破産手続開始を決定しました。

破産手続開始時点でのMTGOX社の資産は約39億円、負債約87億円と約48億円の債務超過でした。同社の代表者は、平成27年、業務上横領(ビットコイン売買のため顧客が預けた資金の着服等)等の容疑で逮捕されました。この事件により、仮想通貨の交換業者において、顧客の資産を分別管理させることが急務となりました。

Q-3 「仮想通貨」について、資金決済法においてどのような定義が設けられることになるのか教えてください。

資金決済法において、「仮想通貨」については以下のとおり、①または②に該当するものとして定義されます(同法2条5項各号)。

①物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
②不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

このうち、①について分析すると、以下の4つの要件を満たすことが求められます。

1)物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値であること
2)不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であること
3)「財産的価値」のうち、電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産(※)を除く
4)電子情報処理組織(コンピューター)を用いて移転することができる財産的価値であること

②は、他の仮想通貨と交換できるものであって、コンピューターを用いて移転することができるものを定めています。

※「通貨建資産」とは、本邦通貨若しくは外国通貨をもって表示され、又は本邦通貨若しくは外国通貨をもって債務の履行、払戻しその他これらに準ずるもの(「債務の履行等」)が行われている資産をいいます(資金決済法2条6項)。この場合において、通貨建資産をもって債務の履行等が行われている資産は、通貨建資産とみなされます。

Q-4 仮想通貨は有体物でしょうか。

ビットコインなどの仮想通貨は、「有体物」ではないと考えられます。

東京地判平成27年8月5日においては、被告である破産したMTGOX社が運営するビットコイン取引所を利用していた原告が、同社の破産管財人に対して、破産法62条の取戻権に基づき、原告が所有し、被告が占有しているビットコインの引渡しと破産裁判所の許可及び不法行為に基づく賠償を求めた事案。ビットコインが所有権の客体となりうるかが争われました。
裁判所は、所有権の客体は、有体物であり、その対象となるには有体性と排他的支配可能性が認められなければならないとしました。

この観点で、ビットコインは、「デジタル通貨」「暗号学的通貨」とされ、有体性がないことは明らかであり、ビットコインアドレスの秘密鍵の管理者が、アドレスにおいて残量のビットコインを排他的に支配しているとも認められないとして、所有権に基づく原告の各請求を棄却しました。

Q-5 「仮想通貨」は通貨に該当しますか。

参議院に提出された「ビットコインに関する質問主意書」・「ビットコインに関する再質問主意書」に対する答弁書(平成26年3月7日、平成26年3月26日)においては、以下のとおり、「仮想通貨」は通貨には該当しないとしています。

◇我が国において「通貨」とは、貨幣については「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」7条で額面価格の20倍まで、日本銀行券については「日本銀行法」46条2項で無制限に、それぞれ法貨として通用するものとされているところであり、ビットコインは通貨に該当しません。
◇民法402条1項及び2項における「通貨」とは、強制通用の効力(以下「強制通用力」という。)を有する貨幣及び日本銀行券であって、これを用いた金銭債務の弁済が当然に有効となるものをいうと解されており、強制通用力が法律上担保されていないビットコインは、当該「通貨」には該当しません。
◇「外国為替及び外国貿易法」6条1項における「通貨」とは、強制通用力のある銀行券、政府紙幣又は硬貨と解されており、ビットコインは、これらのいずれにも該当しないため、日本円を単位とする通貨と規定する「本邦通貨」、本邦通貨以外の通貨と規定する「外国通貨」のいずれにも該当しません。
◇「強制通用の効力」とは、金銭債権の債務者が当該効力を有する媒体を用いて弁済をした場合に、債権者がその弁済の受領を拒むことができず、当然にその弁済が有効となるとの効力をいいます。
◇強制通用力を担保する主体は、主権を有する国家又はこれに準ずるものである。外国の通貨とは、ある外国が自国における強制通用力を認めている通貨をいい、我が国における強制通用力が認められているものではありません。ビットコインについて強制通用力を認めている外国が存在しない限り、ビットコインが外国の通貨と同様の性質を持つと解することは困難です。

Q-6 「仮想通貨」は「前払式支払手段」とはどのような点が異なりますか。

資金決済法において、「前払式支払手段」は以下のとおり定義されています(同法3条1項)。

◇証票、電子機器その他の物(「証票等」)に記載され、又は電磁的方法により記録される金額に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号であって、その発行者等から物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができるもの
◇証票等に記載され、又は電磁的方法により記録される物品又は役務の数量に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号であって、発行者等に対して、提示、交付、通知その他の方法により、当該物品の給付又は当該役務の提供を請求することができるもの

「前払式支払手段」(資金決済法2条1項各号)が「金額に応ずる対価を得て発行」あるいは「物品又は役務の数量に応ずる対価を得て発行される」ものであるのに対して、「仮想通貨」は「金額」や物品や役務の「数量」の対価ということを前提としていません。
また、「前払式支払手段」自体の売買はできませんが、「仮想通貨」は不特定多数の者を相手方として購入・売却することが想定されているものです。

Q-7 「仮想通貨」についてどのような行為を行えば登録が必要となりますか。

資金決済法上、登録の対象となる「仮想通貨交換業」とは、次に掲げるいずれかを業として行うことをいいます(同法2条7項)。同法63条の2の登録を受けた者のことを「仮想通貨交換業者」といいます(同法2条8項)。

①:仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
②:①に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
③:①・②に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること。

②のとおり、仮想通貨の売買・他の仮想通貨との交換の勧誘行為(媒介・取次・代理)も「仮想通貨交換業」として登録の対象となります。すなわち、自ら交換業を行わない者も「仮想通貨交換業者」としての登録をする必要があります。

Q-8 外国仮想通貨交換業者はどのように資金決済法上扱われることになりますか。

資金決済法に相当する外国の法令の規定により当該外国において「仮想通貨交換業者」と同種類の登録(当該登録に類する許可その他の行政処分を含む。)を受けて仮想通貨交換業を行う者を「外国仮想通貨交換業者」と定義されました。

資金決済法63条の2の「仮想通貨交換業者」としての登録を受けていない外国通貨交換業者は、日本国内にある者に対して、仮想通貨交換業の勧誘が禁止されます(同法63条の22)。

Q-9 「仮想通貨交換業者」としての登録申請書の記載事項および添付書類について教えてください。

詳細は内閣府令において定められることになりますが、登録申請書の記載事項および添付書類としては以下のものが求められます。

[登録申請書の記載事項](資金決済法63条の2第1項)
①商号及び住所
②資本金の額
③仮想通貨交換業に係る営業所の名称及び所在地
④取締役・監査役の氏名(監査等委員会設置会社は取締役、氏名委員会等設置会社は取締役・執行役、外国仮想通貨交換業者は外国の法令上これらに相当するもの)
⑤会計参与設置会社については会計参与の氏名・名称
⑥外国通貨交換業者の場合は国内における代表者の氏名
⑦取り扱う仮想通貨の名称
⑧仮想通貨交換業の内容・名称
⑨仮想通貨交換業の一部を第三者に委託する場合は、当該委託に係る業務の内容、委託先の氏名・商号・名称及び住所
⑩他の事業の種類
⑪その他内閣府令で定める事項

[添付書類] (資金決済法63条の2第1項)
①登録拒否事由に該当しないことを誓約する書面
②財務に関する書面
③仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備に関する事項を記載した書類
④内閣府令で定める書類

Q-10 「仮想通貨交換業者」としての登録拒否事由について教えてください。

内閣総理大臣(実際は権限を委任された財務局長)は、次のいずれかに該当するとき、登録申請書又は添付書類のうち重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な記載が欠けているときは、登録を拒否しなければなりません(資金決済法63条の5)。

①株式会社又は外国仮想通貨交換業者(国内に営業所を有する外国会社に限る。)でないもの。
②外国仮想通貨交換業者にあっては、国内における代表者(国内に住所を有する者に限る)のない法人
③仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる内閣府令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない法人
④仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人
⑤この章(第3章の2 仮想通貨)の規定を遵守するために必要な体制の整備が行われていない法人
⑥他の仮想通貨交換業者が現に用いている商号若しくは名称と同一の商号若しくは名称又は他の仮想通貨交換業者と誤認されるおそれのある商号若しくは名称を用いようとする法人
⑦行政処分により登録を取り消され、又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない法人
⑧出資法又はこれらに相当する外国の法令に違反し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない法人
⑨他に行う事業が公益に反すると認められる法人
⑩取締役若しくは監査役又は会計参与(外国仮想通貨交換業者については国内における代表者を含む)のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
〇成年被後見人・被保佐人・外国の法令上これらに相当する者
〇破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これに相当する者
〇禁固以上の刑(これに相当する外国の法令を含む)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
〇出資法又はこれらに相当する外国の法令に違反し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

Q-11 「仮想通貨交換業者」にはどのような財産規制が設けられる予定ですか。

登録拒否事由としては、「仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる内閣府令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない法人」が掲げられています。

財務規制については、我が国の仮想通貨の交換所には中小零細事業者もあり、イノベーション促進の観点から、過度な規制水準にならないようにして欲しいとの要望があります。
他方、仮想通貨の売買等を行う交換所であれば、セキュリティ対策を講じたシステムの構築など利用者保護に配慮した最低限の初期投資のため、一定程度の資本が求められるとの指摘があります。

これらの点を踏まえれば、利用者保護とイノベーション促進の観点のバランスに留意し、仮想通貨の交換所について、適正な水準の財務規制を措置することが必要と考えられます。
また、財務規制を措置するにあたっては、財務諸表の適正性が前提となるところであり、このため、事業者の財務書類について、公認会計士又は監査法人による外部監査を併せて義務付けられることになる予定です。

Q-12 「仮想通貨交換業者」についてどのような行為規制が設けられますか。

破たんした仮想通貨の交換所の事例を踏まえるとともに、仮想通貨の売買等に伴い想定されるリスク(情報不足に起因する利用者側の損害、利用者が預託した資産の逸失、利用者情報の流出等)に鑑み、仮想通貨交換業者に対して以下のような規制が設けられました。

①名義貸しの禁止(資金決済法63条の7)
- 仮想通貨交換業者は、自己の名義をもって、他人に仮想通貨交換業を行わせてはなりません。
②情報の安全管理(同法63条の8)
- 仮想通貨交換業者は、仮想通貨交換業に係る情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置を講じなければなりません。
③委託先に関する指導(同法63条の9)
- 仮想通貨交換業者は、仮想通貨交換業の一部を第三者に委託(2以上の段階にわたる委託を含む。)をした場合には、当該委託に係る業務の委託先に対する指導その他の当該業務の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければなりません。
④利用者の保護等に関する措置(同法63条の10)
- 仮想通貨交換業者は、その取り扱う仮想通貨と本邦通貨又は外国通貨との誤認を防止するための説明、手数料その他の仮想通貨交換業に係る契約の内容についての情報の提供その他の仮想通貨交換業の利用者の保護を図り、及び仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければなりません。
具体的には以下のような措置が設けられる予定です。
○誤認防止のための説明(例えば、仮想通貨は法定通貨との交換が保証されていないこと等)
○利用者に対する情報提供(取引内容、手数料、苦情連絡先等)
○金銭等の受領時における書面交付(電磁的方法によることも可とする)
○内部管理(社内規定の策定、従業員に対する研修の実施等)
⑤利用者財産の管理(同法63条の11)
- 仮想通貨交換業者は、その行う仮想通貨交換業に関して、仮想通貨交換業の利用者の金銭又は仮想通貨を自己の金銭又は仮想通貨と分別して管理しなければなりません。
- 仮想通貨交換業者は、分別管理の状況について、定期に、公認会計士又は監査法人の監査を受けなければなりません。
⑥指定仮想通貨交換業務紛争解決機関との契約締結義務等(同法63条の12)
- 仮想通貨交換業者は、①指定仮想通貨交換業務紛争解決機関(指定紛争解決機関であってその紛争解決等業務の種別が仮想通貨交換業務であるもの)が存在する場合には、一の指定仮想通貨交換業務紛争解決機関との間で仮想通貨交換業に係る手続実施基本契約を締結する措置、②指定仮想通貨交換業務紛争解決機関が存在しない場合には、仮想通貨交換業に関する苦情処理措置及び紛争解決措置を講じなければなりません。

Q-13 「仮想通貨交換業者」についてどのような行為規制が設けられますか。

Q-12の⑤の「利用者財産の管理」で説明したとおり、仮想通貨交換業者は、その行う仮想通貨交換業に関して、仮想通貨交換業の利用者の金銭又は仮想通貨を自己の金銭又は仮想通貨と分別して管理しなければなりません(資金決済法63条の11第1項)。

しかしながら、第三者型前払式支払手段発行業者や資金移動業者と異なり、分別管理の手法として、顧客の財産を保全するための供託義務、銀行との保全契約、信託契約の締結などは求められず、区分経理のみが求められています。

これは、仮想通貨については、現時点では、私法上の位置付けも明確でないため、供託・信託を行うことができないとの制約があることによるものです。また、そうした中で、金銭についてのみ供託・信託を行うこととしても、どこまで利用者保護の実効性があるか疑問であるとの指摘、あるいは、現実に、交換所が金銭の信託等を行うことが可能かとの指摘もあるためです(決済高度化ワーキンググループ報告書)。
そこで、顧客資産との区分管理を基本としつつ、現に国内の交換所において顧客資産が消失した事例が発生していることも踏まえて、区分管理の状況について、公認会計士又は監査法人による外部監査を義務付けることとしています(同条2項)。

Q-14 「仮想通貨交換業者」はどのような監督規制を受けますか。

仮想通貨交換業者には、以下の監督規制が課せられます。これらの規制は、第三者型前払式支払手段発行業者や資金移動業者と同様のものです。

◇帳簿書類の作成保存義務(資金決済法63条の13)
◇報告書の提出義務(同法63条の14)
◇事業年度ごとの報告書(財務報告)のほか、一定期間ごとに管理する利用者の金銭の額・仮想通貨の数量等を記載した報告書を提出する。
◇立入検査等(同法63条の15)
◇委託先に対する立入検査等の権限もあり。
◇業務改善命令(同法63条の16)
◇登録の取消し等(同法63条の17)
◇登録の抹消(同法63条の18)
◇監督処分の公告(同法63条の19)
◇廃止の届出等(同法63条の20)

Q-15 「仮想通貨交換業者」についてはマネー・ローンダリング防止の観点からどのような規制を受けることになりますか。

仮想通貨交換業者は「犯罪による収益の移転の防止に関する法律」(以下「犯収法」といいます。)上の「特定事業者」として(同法2条2項31号)以下の義務を負うことになります。

◇口座開設時の取引時確認義務(犯収法4条)
◇確認記録・取引記録等の作成保存義務(同法6条、7条)
◇疑わしい取引の届出義務(同法8条)
◇社内管理体制の整備(従業員の教育、統括管理者の選任、リスク評価書の作成、監査等)(同法11条)

また、他人になりすまして仮想通貨交換業者との間に仮想通貨交換契約に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、仮想通貨交換用情報の提供を受けた者は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、これらの併科に処せられることになります(同法30条1項)。

相手方に他人になりすまして仮想通貨交換業者との間に仮想通貨交換契約に係る役務の提供を受ける目的があることの情を知って、その者に仮想通貨交換用情報を提供した者も、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、これらの併科に処せられることになります。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、仮想通貨交換用情報を提供した者も、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、これらの併科に処せられることになります。(同条2項)

業としてこれらの罪に当たる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されます(同条3項)。

これらの行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、これらの併科に処せられることになります(同条4項)。

Q-16 銀行の子会社はFinTechに関連した業務を営むことできることになりますか。

銀行は子会社とすることができる会社(銀行法16条の2第1項各号)以外の議決権は、原則合算して5%を超えて保有することはできません(同法16条の3第1項)。

もっとも、今回の改正で、銀行は、「情報通信技術その他の技術を活用した当該銀行の営む銀行業の高度化若しくは当該銀行の利用者の利便の向上に資する業務又はこれに資すると見込まれる業務を営む会社」については、金融庁長官の認可を受ければ、議決権ベースで5%超保有することができことになります(同法16条の2第1項12条の3、同条7項)。

具体的にどのような会社が認められるかは法律の条文だけでは不明ですが、以下の2つの要件を充足することが求められることになります。

◇情報通信技術その他の技術を活用すること
◇当該銀行の営む銀行業の高度化若しくは当該銀行の利用者の利便の向上に資する業務又はこれに資すると見込まれる業務を営むこと

銀行の子会社業務として、仮想通貨交換業を営むことができることになるかについては今後の銀行法施行規則の改正を注視していく必要があります。

なお、三菱東京UFJ銀行が、仮想通貨の管理・決済サービスを提供する米国のコインベースへ出資するとのニュースがあります(ウォール・ストリート・ジャーナル2016年7月6日)が、銀行法上の解釈は不明です(議決権ベースで5%以下の出資か、あるいは、子会社業務として位置付けるか。)。

Q-17 銀行本体は仮想通貨交換業を行うことができますか。

参議院の「ビットコインに関する質問主意書に対する答弁書」(平成26年3月7日)によれば、以下のとおり、銀行本体で仮想通貨交換業を行うことはできないと思われます。

ビットコインは通貨ではなく、それ自体が権利を表象するものでもないため、ビットコイン自体の取引は、通貨たる金銭の存在を前提としている「銀行法」2条2項に規定する銀行業として行う行為や、有価証券その他の収益の配当等を受ける権利を対象としている金融商品取引法2条1項又は2項に規定する有価証券等の取引には該当しません。

◇ビットコインの売買の仲介やビットコインと円貨又は外貨との交換、ビットコインを預かる「口座」の開設及び当該口座間でのビットコインの移転については、銀行法10条1項各号、同条2項各号及び11条各号に規定する銀行が営むことができる業務には該当しません。
◇銀行が「ビットコインを購入すること」は、銀行法第10条1項各号(固有業務である預金、貸付、為替取引)、同条2項各号(付随業務)及び11条各号(法定他業)に規定する銀行が営むことができる業務には該当しません。
◇銀行は、同法10条2項2号に規定する有価証券の売買や同項2号、12号及び14号に規定する有価証券関連デリバティブ取引、デリバティブ取引及び金融等デリバティブ取引の業務を営むことができることとなっているが、「ビットコインを投資対象に組み込んだ投資信託」や「ビットコインを原資産とするデリバティブ商品等」への投資がこれらの業務に該当するか否かについては、その具体的内容が明らかでないことから現時点では該当性について判断できません。
◇銀行が業務に至らない程度の範囲で「ビットコインを購入すること」等の行為を行うことについては、それらが適切であるか否かは別として、銀行が業務に至らない程度の範囲で業務に直接関係のない物品等を購入することと同様、同法上、それらの行為を明示的に禁止する旨の規定は存在しません。

もっとも、三菱東京UFJ銀行が、銀行本体で「MUFGコイン」という仮想通貨を発行する予定とのニュースが出ております。銀行法のどのような解釈の下、どのような業務を行うものであるのか注視していく必要があるでしょう。


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
成蹊大学法科大学院 非常勤講師
(金融商品取引法担当、平成20年~)
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員

(主要関連論稿)
『IR導入に当たって検討すべきマネー・ローンダリング、反社会的勢力の関与の問題と提言』(NBL1036号・2014年10月15日号)
『日本におけるカジノ導入とギャンブル依存症問題』(週刊金融財政事情2014年10月6日号(3091号))
『カジノ導入に当たっての論点整理(上)・(下)』(共著)(NBL1014、1015号、2013年12月1日号・12月15日号)
「IR推進法の概要と検討すべき問題点」(週刊金融財政事情2014年1月6日号)
「カジノ法案が想定するビジネスモデルと各種規制」(ビジネス法務2014年3月号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。


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