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三回目:マカオを支える「総量規制」と「クラスター」。交通インフラ整備でまだまだ発展の余地

2014-07-16

【IR経済】>【キャピタル&イノベーション 東洋経済オンライン投稿】

小池 隆由 :キャピタル&イノベーション代表取締役

東洋経済オンライン3回

連載3回目以降は、先行する主要なカジノ集積地について、その特徴を分析し、日本にIR施設を展開する上でのヒントを探っていきます。まずは発展著しいマカオから見ていきましょう。

カジノゲーミング市場規模はグロスゲーミングレベニューという尺度で表現します。グロスゲーミングレベニューとは、事業者の勝ち額(顧客の負け額)です。ハウス(事業者)対プレイヤーの自然確率に基づくゲームのため、各ゲーム種にハウスに有利な控除率(5%未満)が設定されています。十分なゲーム数を前提とすれば(大数の法則)、ハウスの勝ち額は総賭け額に対して控除率を乗じた数値に収束します。

アジア各国のカジノゲーミング市場規模をみるとマカオは4.5兆円(以下、2013年)と世界第2位の規模です。なお、世界第1位は米国であり、市場規模は6.2兆円です。2000年以降、アジア全域でカジノゲーミングの市場が広がっていますが、マカオ市場はその規模、成長力において他の国々を圧倒しています。アジアではマカオに次ぐ国はシンガポールですが、その市場規模は6000億円です。ちなみに、日本市場の出現は2020年以降となりますが、複数の施設が稼働すれば、市場規模は2兆円レベルと予想されます。

カジノ市場規模を決定する要素は、対象マーケットの個人金融資産量、施設数です。中国では合法的なカジノはマカオのみ認可、運用されています。ゆえに、マカオの対象マーケットは中国全体であり、その経済力を反映するわけです。マカオのカジノゲーミング市場の規模と成長は、カジノ、IR施設の拡張、中国経済の成長、個人富裕層の拡大、そして、交通インフラの整備に牽引されています。

2002年にカジノを開放

マカオは1800年代から1900年代を通してポルトガル領であり、1999年に中国に返還された歴史があります。現在、マカオは香港と同様に、特別行政区として、中国本土とは異なる行政機関、独自の法律が設置され、自治権を持っています。ギャンブルについては、中国本土では宝くじ以外は法律で禁止されていますが、マカオでは特別行政区というステイタスゆえにカジノ産業が合法化されています。

マカオは半島部分と島部分から成り立ち、人口65万人、面積が30k㎡という小さなエリアです。ちなみ東京の世田谷区は人口84万人、面積がおよそ60k㎡あります。マカオがいかに小さいかが分かるでしょう。

2013年のマカオへの訪問者数は2932万人でしたが、出発地の比率は、中国本土が64%、香港が23%を占めており、中国だけで約90%を占めていることになります。

マカオのカジノ産業の歴史は古く、ポルトガル領であった時代から存在していました。1962年から2002年まではスタンレー・ホー氏のSTDM社(マカオ複合観光会社)がカジノ経営を独占してきました。マカオ政府は2002年にカジノ経営権の国際入札を実施し、市場を開放しました。現在は6事業者がコンセッション(免許)を保有し、35施設を運営しています。

この6社とは、Galaxy Entertainment Group(中国資本主体)、MGM China(米国、中国資本主体)、Melco Crown Entertainment(中国、オーストラリア資本主体)、SJM Holdings(中国資本主体。STDM系列)、Sands China(米国資本主体)、Wynn Macau(米国資本主体)です。6社とも香港証券取引所に上場しています。

6事業者のうち、3事業者は米国資本主体ですが、実際にはコンセッションの比率以上に中国資本の影響力が強い状況です。この要因は、①マカオ政府が事業者に対する拡張計画の割当と許認可権を持っていること、②中国資本のジャンケットがVIP(高額賭け客)のゲーミング税控除後の売上高の約7割を獲得すること、③マカオ資本の導入を義務付けていること、④サービスアグリーメント事業者(中国系のコンセッション保有会社との合弁でカジノ事業を運営)が多数存在する、などです。

コタイ地区でのIR開発が本格化

マカオのカジノ施設は、半島、タイパ、コタイの3エリアに集積しています。カジノ産業は歴史的には、半島で発展しており、半島の施設は主としてカジノホテル(カジノを含む大型ホテル)です。そうした中、2006年以降、コタイ地区の埋め立てが完了し、新たな大型開発が相次いでいます。

コタイ地区には大通り(ストリップ)が設けられ、6事業者がカジノ、ホテルだけでなく、エンタテインメント、コンベンション施設を含む大型の統合型リゾート(IR)の開発を競っています。2007年8月にオープンした「The Venetian Macao」がマカオの大型IRの先駆けです。2015年以降、新しいIR施設群が開業ラッシュを迎える予定です。

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