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IRゲーミング法制度 第43回「IR推進会議取りまとめ」ポイント~カジノ施設規模の上限等設定

2017-08-25

【IR資料室】

筆者:弁護士 渡邉 雅之(略歴は巻末を参照)

本連載では、2017年7月31日に公表された『特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ』(*1、以下「本取りまとめ」) のうち、事業者や地方公共団体の関心の高い論点について解説するものです。
筆者は、同委員会の委員ではありますが、本稿における意見は筆者の私見に留まるものであり、同委員会全体及び特定複合観光施設区域整備推進本部の見解ではないことに留意してください。
第2回目では、事業者から不満が多い論点の一つである「カジノ施設の規模の上限等の設定」について解説いたします。

IRゲーミング法制度 第42回「IR推進会議取りまとめ」ポイント~入場回数の制限について

1 「本取りまとめ」の考え方

「本取りまとめ」では、カジノ施設の規模の上限等の設定として、i)カジノ施設がIR施設のあくまで一部に過ぎない位置付けであること、ii)カジノ施設の面積が上限値(絶対値)を超えないこと、の2つの観点を組み合わせています。

ii)の上限値(絶対値)の対象は、カジノ施設のうち、専らカジノ行為の実施や現場でその運営管理・監督等をするための区域(ゲーミング区域)です。

これは、附帯決議第3項では、「特定複合観光施設全体に占めるカジノ施設の規模に上限等を設ける」こととされており、カジノ施設がIR施設の一部であることを前提としていることによるものです。
この附帯決議は依存症予防等の観点によるものです。

国会審議の中では、シンガポールを参考にしてIR施設全体の3%以下とするとの答弁もありました。また、依存症予防等の観点から、区域の数を少数に限る旨の附帯決議が付されていることを踏まえると、IR施設全体の大きさに比例してカジノ施設が無制限に広がることも容認すべきではないことから、相対的な位置付けのみではなく、上限値(絶対値)でもカジノ施設の面積の規制を設けるべきと考えられます。

また、同様の規制はシンガポールにおいて定められているところ、上限値の対象となる区域を、顧客の通路や飲食スペース等を含まない「ゲーミング区域」としていることから、日本においてもこれらを参考に上限値を定めることが適当です。

2 私見

シンガポールのRegulation(Casino Control (Casino Layout) Regulations 2009)(*2)においては、ゲームエリアの面積の上限は、IR施設全体の割合では定められておらず、15,000㎡以下と定められています。
これは、IR施設全体の5%以下を想定していたものと言われています。

また、同Regulationにおける面積規制は、「ゲームエリア」の面積であり、「カジノ施設」全体の面積ではありません。カジノ施設内の通路、バックハウス(ケージ、カウントルーム等)、レセプション、インフォメーションセンター、飲食エリアなどの付随的な場所は含まないものとされています。

「本取りまとめ」には具体的な面積基準については記載されていませんが、「シンガポールと同等」というのが正当化としては重要となるので、日本のIR施設におけるカジノ施設の面積も同様に15,000㎡とするのが妥当であると考えます。

この点、IR事業者となろうとしているカジノオペレーターの中には、カジノの施設面積がシンガポールと同等(15,000㎡)では狭すぎて収益を上げるのに十分ではないとの意見が聞かれます。

しかしながら、カジノ施設の面積の上限規制は、依存症対策であると共に、賭博罪の違法性阻却の判断においても重要な要素であるので、これ以上大きな規模のカジノ施設を認めるのは困難であると考えられます。

上記のとおり、カジノ施設の面積からは、カジノ施設内の通路、バックハウス(ケージ、カウントルーム等)、レセプション、インフォメーションセンター、飲食エリアなどの付随的な場所は含まれておりません。

また、「本取りまとめ」ではスロットマシンやテーブル台の数の規制について特に制限することを考えていない(シンガポールの規制ではスロットマシーンの数は2,500台以下とされている。)ことに鑑みれば、レイアウトの工夫次第により、IR事業者にとって十分収益性のあるカジノ施設を設置することが可能であると考えます。

このようなカジノ施設の面積に上限値が設けられる中で、より収益を上げられる事業計画を提出した事業者が地方公共団体に選定される可能性が高くなるでしょう。

(*1)特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(7月31日公表)
(*2)シンガポールのRegulation(Casino Control (Casino Layout) Regulations 2009)


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員
(株)王将フードサービス 社外取締役(2014年6月~)
日特建設株式会社     社外取締役(2016年6月~)
政府IR推進会議     委員   (2017年4月~)

(主要関連論稿)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(上)』(NBL1091号(2017年2月1日号)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(下)』(NBL1091号(2017年3月1日号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。

カジノIRジャパン


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