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IRゲーミング法制度 第44回「IR推進会議取りまとめ」ポイント~入場料の賦課

2017-08-28

【IR資料室】

筆者:弁護士 渡邉 雅之(略歴は巻末を参照)

本連載では、2017年7月31日に公表された『特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ』(*1、以下「本取りまとめ」) のうち、事業者や地方公共団体の関心の高い論点について解説するものです。
筆者は、同委員会の委員ではありますが、本稿における意見は筆者の私見に留まるものであり、同委員会全体及び特定複合観光施設区域整備推進本部の見解ではないことに留意してください。
第3回目では、事業者から不満が多い論点の一つである「入場料の賦課」について解説いたします。

IRゲーミング法制度 第43回「IR推進会議取りまとめ」ポイント~カジノ施設規模の上限等設定
IRゲーミング法制度 第42回「IR推進会議取りまとめ」ポイント~入場回数の制限について

1 「IR推進法」における記述

特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律13条においては、カジノ施設の入場者から入場料を徴収することができるとされています。

2 諸外国のカジノの入場料

シンガポールでは、シンガポール国民及び外国人永住者から入場料を徴収することとされています。24時間100シンガポールドル(約8,000円)、1年間2,000シンガポールドル(約16万円)です。

韓国では、韓国国民が唯一入場できるカンウォンランドカジノにおいて、韓国国民から9,000ウォン(約900円)の入場料を徴収することとされています。

3 「本取りまとめ」における制度設計

(1)入場料の賦課

依存症対策としての入場料の効果についての科学的知見は必ずしも確立されていません。しかしながら、入場料を賦課することにより、
・入場料を徴収する際に、入場回数制限のための本人確認を確実に行えること
・カジノ施設への安易な入場を抑止できること
・徴収した入場料を公益目的に還元できること
といった制度的なメリットがあることから、カジノ施設への入場者に対し、入場料を賦課することとすべきです。

また、賦課対象はカジノ施設への安易な入場を抑止する観点で、IRへの来場が頻繁になりうる日本人及び国内居住の外国人とし、1日(24時間)単位で入場料を賦課することとすべきです。

また、その水準については、安易な入場抑止を図りつつ、日本人利用客等に過剰な負担とならないよう、金額を定めるべきです。

(3)入場料の使途

使途は一般財源として公益目的に用いることとすべきです。

(4)入場料の徴収・配分

公租公課の徴収方法については、国・地方それぞれが徴収する方法と、国が一括して徴収を行う方法が考えられます。

この点、地方消費税は、納税者の事務負担等を勘案して、国(税務署)が消費税と併せて一括して徴収を行っており、その後、国から都道府県に、地方消費税相当額が歳計外として払い込まれた上で、都道府県間で清算を行う仕組みとなっています。

カジノについては、GGRの集計の適正性やカジノ事業者の財務健全性等を国(カジノ管理委員会)が監督することから、地方消費税の例に倣って、カジノ管理委員会が一括して徴収することとすべきです。

また、IR区域の整備は国と地方がそれぞれの役割を果たすこととなっており、カジノ事業からの収益を国・地方がそれぞれ幅広く公益目的に用いるという観点から、納付金(GGR比例部分)と同様に、入場料の配分については、国・認定都道府県等の折半とすべきです。

4 入場料についての私見

「本取りまとめ」では、上記3(2)のとおり、入場料の具体的な水準は示されていません。

筆者としては、入場料そのものが依存防止策に資するか疑問であることに鑑みると、シンガポール並みの入場料(8000円~1万円程度)は高過ぎであり、映画館や水族館の入場料並み(2000円~3000円程度)が妥当であると考えます。

入場料の使途については、依存症対策等の特別財源とすべきとの意見もありますが、特定の団体の利権化の恐れがあることに鑑みると、上記3(3)のとおり、広く公益に使う一般財源とするのが妥当と考えます。

54 地方自治体が独自に入場料を賦課できるようにすべきとの見解について

本委員会においては、「入場料の設定は、誘致のリスクも含め地域に責任を持たせても良いのではないか。」、「入場料の金額については、地域に裁量・柔軟性を持たせ、日本人の依存への懸念等、地域の実情に応じて地方自治体とIR事業者が合意した金額で入場料を設定することも可能とすべき。入場料を法定する場合には、高く設定してはどうか。」との一部の委員の意見もありました。

しかしながら、推進法の主目的はあくまで国レベルでの国際競争力の高い滞在型観光の実現であり、入場料についても認定された都道府県等の完全に自由とするのは妥当ではありません。
海外のIR・カジノ施設よりも高額な入場料を徴収することとすれば、我が国のIRの国際競争力を阻害することになってします。

そもそも、地方公共団体が入場料を自由に決定できるとすると、場合によっては非常に高い法外な入場料を設定することも考えられ、事実上、日本人や国内居住の外国人が入場できないことになり、憲法14条の法の下の平等の原則や(日本人や国内居住の外国人の入場を制限していない)IR推進法の考え方に反するおそれがあります。

(*1)特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(7月31日公表)


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員
(株)王将フードサービス 社外取締役(2014年6月~)
日特建設株式会社     社外取締役(2016年6月~)
政府IR推進会議     委員   (2017年4月~)

(主要関連論稿)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(上)』(NBL1091号(2017年2月1日号)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(下)』(NBL1091号(2017年3月1日号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。

カジノIRジャパン


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