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IRゲーミング法制度 第46回「IR推進会議取りまとめ」ポイント~ゲーミングの種類

2017-09-05

【IR資料室】

筆者:弁護士 渡邉 雅之(略歴は巻末を参照)

本連載では、2017年7月31日に公表された『特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ』(*1、以下「本取りまとめ」) のうち、事業者や地方公共団体の関心の高い論点について解説するものです。
筆者は、同委員会の委員ではありますが、本稿における意見は筆者の私見に留まるものであり、同委員会全体及び特定複合観光施設区域整備推進本部の見解ではないことに留意してください。
第5回目では、事業者の関心が高い論点の一つである「カジノ行為の規制」、すなわちカジノ施設で認められるゲーミングの種類について解説いたします。

IRゲーミング法制度 第45回「IR推進会議取りまとめ」ポイント~カジノ収益連動の賃料・報酬
IRゲーミング法制度 第44回「IR推進会議取りまとめ」ポイント~入場料の賦課
IRゲーミング法制度 第43回「IR推進会議取りまとめ」ポイント~カジノ施設規模の上限等設定
IRゲーミング法制度 第42回「IR推進会議取りまとめ」ポイント~入場回数の制限について

1 関連する推進法・附帯決議

特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律では、「カジノ施設において行われるゲームの公正性の確保のために必要な基準に関する事項」について政府は必要な措置を講ずることとされています(同法10条1項1号)。

また、附帯決議では、 「政府は、・・・法制上の措置を講じるに当たり、・・・射幸性の程度・・・副次的弊害の防止等の観点から、刑法の賭博に関する法制との整合性が図られるよう十分な検討を行うこと」(第2項)、「・・・各種規制等の検討に当たっては、諸外国におけるカジノ規制の現状等を十分踏まえるとともに、犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないよう、世界最高水準の厳格なカジノ営業規制を構築すること」(第11項)とされています。

2 諸外国の規制

公正性の確保及び射幸性の管理の観点から、ゲームの種類・内容が規制されており、米国ネバダ州やシンガポールでは、当局が認めたゲームのみ実施可能とされています。代表的なゲームは、以下のとおりです。

このほか、クラップス(ディーラーが投げる2つのサイコロの目の合計数を当てるゲーム)、カジノウォー(1枚ずつ配られたカードの数字の強弱で勝負をするゲーム)等が行われています。

米国ネバダ州では、1,011種のゲームが認められており、シンガポールでは、マリーナ・ベイ・サンズに対し47種のゲームが、リゾート・ワールド・セントーサに対し39種のゲームが認められている。
なお、これらのゲームの中には、上記の代表的なゲームのほか、これらの派生型のものも多数含まれています。なお、米国ネバダ州では、スポーツベッティングが認められているが、シンガポールでは認められていません。

同様の観点から、ゲームのルールや支払いオッズ等の情報の表示を義務付けているほか、酩酊状態の客とのゲームの禁止等、ゲームの実施に関する基準も設けられ、カジノ事業者に順守義務が課されています。

3 本取りまとめにおける制度設計(私見含む)

本取りまとめでは、容認するカジノ行為の範囲については、
①事業者がその公正な実施を確保することができる行為、
②カジノ施設内でのみ実施される行為、
③偶然の勝負に関し参加者が賭けを行う「賭博」に該当する行為、
に限定するとともに、その具体的な種類及び方法は、
④カジノ事業の健全な運営に対する国民の信頼や理解を確保する観点から、カジノ管理委員会が社会通念上妥当と認めたものを定めることとすべき、
であるとされています。

「①事業者がその公正な実施を確保することができる行為」に限定されるのは、カジノ行為の実施において、公正性の確保は極めて重要な要素であるからです(例えば、単純な顧客同士の賭けやスポーツベッティング等他者が実施する競技(勝負)を賭けの対象とすることは不可。)。

「単純な顧客同士の賭け」という点では顧客間でプレーをするポーカーは禁止されると考えられます。これに対して、ポーカートーナメントは「単純な顧客同士の賭け」とは言えず直ちに禁止されるものとは考えられません。トーナメントにおいてゲームの公正性が確保されるものである場合には、認められる可能性があるものと考えられます。

「②カジノ施設内でのみ実施される行為」に限定されるのは、依存症予防等の観点からカジノ施設への厳格な入場管理を行う必要があるからです(例えば、カジノ施設外から参加できるオンラインゲームは不可。)。

「③偶然の勝負に関し参加者が賭けを行う賭博に該当する行為」との要件により、いわゆるeゲームなどの「スキルゲーム」がカジノ施設内で行うことが認められる可能性は低いものと考えられます。

「④カジノ事業の健全な運営に対する国民の信頼や理解を確保する観点から、カジノ管理委員会が社会通念上妥当と認めたもの」との観点では、例えば、囲碁や将棋など技術が相当程度反映され、また、子供も楽しむことができる健全な娯楽として一般に普及している行為を賭博の対象とすることは、健全な娯楽としての社会的評価を損ねるおそれがあり、国民の理解が得られないと考えられるので認められません。
麻雀についても技術が相当程度反映され、娯楽として一般に普及していることに鑑みれば、これをカジノ施設内で導入するのは社会通念上認められないでしょう。

同様に、パチンコやパチスロのような風俗営業適正化法の「遊技」として認められているものをカジノ施設内で導入するのは、社会通念上認められないでしょう。

なお、公益目的のため地方公共団体による宝くじ等の「富くじの発売」が既に認められていることを考慮し、カジノ事業において実施を認めるカジノ行為は、「⑤刑法の賭博に該当する行為」と限定すべきです(例えば、カジノ施設内で行われるくじ類は不可)。

カジノ行為の規制基準 禁止されるゲームの例
①事業者がその公正な実施を確保することができる行為
(単純な顧客同士の賭け、スポーツベッティング等他者が実施する競技(勝負)の賭け)
〇単純な顧客同士の賭け
・ポーカー(ポーカートーナメントは別途要検討)
〇他者が実施する競技(勝敗)の賭け
・競馬、競輪その他のスポーツベッティング
②カジノ施設内でのみ実施される行為 ・カジノ施設外から参加できるオンラインゲーム
③偶然の勝負に関し参加者が賭けを行う「賭博」に該当する行為 ・eゲームなどの「スキルゲーム」
④カジノ事業の健全な運営に対する国民の信頼や理解を確保する観点から、カジノ管理委員会が社会通念上妥当と認めたもの ・囲碁・将棋
・麻雀
・パチンコ・パチスロ
⑤刑法の「賭博」に該当する行為 ・カジノ施設内で行われるくじ類

 
(*1)特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(7月31日公表)


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員
(株)王将フードサービス 社外取締役(2014年6月~)
日特建設株式会社     社外取締役(2016年6月~)
政府IR推進会議     委員   (2017年4月~)

(主要関連論稿)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(上)』(NBL1091号(2017年2月1日号)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(下)』(NBL1091号(2017年3月1日号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。

カジノIRジャパン


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