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IR企業動向:Genting Singapore東京支店 円債150億円発行へ。日本活動費~海外業者の競争熾烈

2017-10-07

【国内ニュース】

10月2日、Genting Singapore PLCは、日本支店を通じて、円建て外債(サムライ債)を発行すると発表。同日、関東財務局に登録した。

Genting Singapore PLCは、すでに格付投資情報センター(R&I)より、格付けを取得(A)済み。

調達予定額は、総額150億円(3年、5年、7年債の各50億円)。発行条件は、10月中旬に決定される予定。主幹事は、SMBC日興証券。

資金使途は、
・日本における運転資金および一般事業資金
・潜在的なIR事業、その他投資機会に関する日本の事業機会を支援するため

Genting Singapore PLCは、9月20日、東京オフィス開設(Genting Singapore PLC, Japan Branch)を発表した経緯がある。
その目的は、1)日本におけるレジャー、ホスピタリティの開発運営、2)同分野への調査および投資、3)その他付随事業、など。

なお、Genting Singaporeの業況は以下の通り。
日本の大都市圏におけるIR事業ポテンシャルは、シンガポールのIR以上の経済条件を備える。

海外IR事業者が日本に殺到する背景~世界で残された最後の大市場、マカオのコンセッション満期

主な背景は以下の3点。
1)日本のIRは、制度設計上、大きな利益・キャッシュフローが確実視される
2)日本は、世界の一定以上の経済規模を持つ国で、ブラジルとともに残された、最後のカジノIR未開拓市場
3)マカオにおけるゲーミング・コンセッションが2020年、2022年に満期を迎える

日本では、IRの設置数は、IR議連の考え方およびIR推進法の国会答弁から、当初は数ヵ所、将来は10ヵ所以下と考えられる。
IR議連は「全国に10ヵ所ほど、道州制における広域ブロックに一つずつほど」の考え方を共有。

日本は世界第三位の経済大国であり、そこに、少数のIR施設を設置すれば、各IRの利益・キュッシュフローは必然的に大きなものとなる。また、各IRは、各ブロックの経済力を寡占できる。
これらは、同様の制度設計を持つ、アジア太平洋地域の国々の例を見ても明らか。

もう一つのポイントは、マカオにおけるゲーミング・コンセッションの満期の到来。コンセッション保有6社は、それぞれマカオ事業を喪失するリスクを抱える。その経営リスクをオフセットする意味でも、日本参入は重要となる。

中国系3社は、言うまでもなく、マカオを主力とする。米国系3社は、米国とマカオに展開するが(ラスベガス・サンズ社のみシンガポールに拠点を有する)、米国事業の収益性は低い。

マカオでは、6事業者(中国系3社、米国系3社)がゲーミング・コンセッション(サブ・コンセッションを含む)を所有しており、それらは2020-2022年に満期を迎える。
また、マカオ政府は2017年より、コンセッションを早期償還できる権利を得る(政府は早期償還権を行使する場合、1年以上前にノーティスする必要がある)。

仮に、コンセッションが維持されない場合、事業者は、営業権を失い、さらに、すべての設備を対価なしに、マカオ政府に移管することが義務付けられている。
各社にとり、コンセッションの喪失は、事実上、マカオ事業すべての喪失を意味する。

現在、マカオ政府は、満期後の対応について、検討を進めている。

2017年5~7月にかけて、政府高官がコンセッション満期について相次いで発言。ポイントは、
・政府は、すべての実行可能な方向性を検討
・コンセッション満期は、最大5年間の延長が可能
・満期後は、新規コンセッション付与プロセスが必要であり、”新たな入札”も選択肢

このうち、”新たな入札”発言は、6事業者に激震を与えた。
それまで、政府関係者は、”更新(Renewal)”と表現し、6事業者はそこに満期後も現状維持のニュアンスを感じ取っていた。
しかし、政府が”新たな入札”と表現したことで、事業者再募集・選定、入れ替えのニュアンスを読み取ったわけだ。

図表:マカオ カジノ運営6事業者のコンセッション満期日

コンセッション満期日 事業者 証券取引所 カジノ施設数 獲得順
2020年3月31日 SJM Holdings 香港証券取引所 21
2020年3月31日 MGM China 香港証券取引所 5(サブ)
2022年6月26日 Wynn Macau 香港証券取引所
2022年6月26日 Galaxy Entertainment 香港証券取引所
2022年6月26日 Sands China 香港証券取引所 4(サブ)
2022年6月26日 Melco Resorts & Entertainment NASDAQ 6(サブ)

注1:カジノ施設数は2017年3月末時点
注2:(サブ)はサブコンセッション。Sands ChinaはGalaxy Entertainmentより、MGM ChinaはSJM Holdingsより、Melco Resorts & EntertainmentはWynn Macauより取得
 

カジノIRジャパン見解~IRコンソーシアムは、地域企業、開発企業、海外オペレーターで形成


日本のIR制度、そして、グローバルスタンダードの観点から、IRコンソーシアムは、地域企業、開発企業、海外オペレーターで形成することが必然である。

地域企業の役割は、「地域社会の信頼・合意形成力」「地域社会の調整」「地域に最適なコンセプトの決定」。
開発企業の役割は、「日本における不動産開発の経験ノウハウ」「資金調達のバックアップ」
海外オペレーターの役割は、「海外におけるカジノIRの経験ノウハウ」「資金調達のバックアップ」

上記の3つがそれぞれ不可欠な能力である。

日本企業、地域企業がIR経営主体の中核となる必然性
1-1)IRは大きな権益事業。政府は、少数限定のIRのみ許可する方向。IR経営主体は、一定の商圏を寡占し、大きな利益が確実視される。公共政策性に加え、国内への利益還流、産業育成の視点が重要
1-2)事実、日本と同様に、政府がIR施設を少数に制限するアジア・パシフィック主要国では、自国企業がほとんどのIRを開発運営する。都市国家であるシンガポールはほぼ唯一の例外
1-3)IRは、観光及び地域経済の振興を政策目的とする、街づくり事業である。街に精通した日本企業、地域企業が事業化をリードすべき
1-4)IR経営主体には、地域社会からの信頼が求められる。地域社会の信頼を積み上げてきた、日本企業、地域企業こそIR事業化をリードすべき
1-5)海外IR企業は、日本における事業経験、不動産開発経験、地域社会の信頼を持たない

日本企業、地域企業はIR経営主体をリードする能力を有する
2-1)地域企業は、当該地域、街について高い知識を有する
2-2)日本企業は、観光レジャー施設の高い開発運営能力を有する
2-3)日本企業は、カジノの開発運営の経験を持たない。しかし、カジノの開発運営ノウハウはコモディティ(標準化・流動化)。世界の約130ヵ国に2,000ヵ所ほど存在。そのノウハウは、資本構成によらず、人・チーム・各種サービス会社を通じて調達可能
2-4)日本企業、地域企業は、海外IR企業をパートナーとして活用可能。日本参入意欲を持つ海外IR企業は多数
2-5)IR事業化において、現在の資金力は重要なポイントではない。IR制度上、事業者選定、区域選定が終了するまで、大きな資金は不要。選定されれば、その事実を以って金融市場から資金調達が可能
 
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