【国内ニュース】
4月9日、メルコリゾーツ&エンターテインメントが大阪オフィス(心斎橋)を開設した。
同日の開設レセプションでは、大阪のIR関係者100名以上が来場。
以下は、同社CEOであるローレンス・ホー氏の大阪への参入意欲を示す発言。
・2017年6月、松井一郎知事、吉村洋文大阪市長らと面談
(ローレンス・ホー氏と松井知事の会談は2012年、2014年に続く3回目)
「大阪の地元企業と連携して運営したい」
「値段は付けられない。一番最高のものをつくるだけ」
・2017年6月、Bloombergインタビュー
「関西に行くと実際のところ楽しみがより多い。当社は楽しさと娯楽に重点を置いている企業」
「東京にIRが必要かどうか、あまり確信が持てない。東京はそれ自体、素晴らしい場所だ。『ニューヨークやロンドンにIRが必要だと思うか』と質問するようなものだ。必要ない」
大阪市など日本の大都市は、後背に有する商圏の大きさから考えて、世界最大級のIR権益と考えられる。
大都市圏のIR事業のポテンシャルは、シンガポールニ施設が参考となろう。
2月8日、Melco Resorts & Entertainmentが2017年度4Q実績を発表。
営業利益は、4Q(10-12月)が$129mn、YoY11%増、4Q累計(1-12月)が$608mn、YoY67%増。
収益柱であるCity of Dreams(マカオ、2009年6月開業)は、マカオ市場の好調をストレートに反映。
Studio City(マカオ、2015年10月開業)とCity of Dreams Manila(フィリピン、2014年12月開業)が、それぞれ立ち上がり期を経て業績貢献。
CEOであるローレンス・ホー氏の主なコメント
・マカオは、成長が持続へ。中高所得者層の拡大、港珠澳大橋など交通アクセス改善、コタイ地区新規IRが貢献
・IR施設へのアップグレード投資を実施
City of Dreams ホテル:NÜWA, The Count:Down, Morpheus)
Studio City:エンタテインメントコンテンツおよびアクセス改善。第二期投資計画を検討中
・日本進出は、引き続きコア・フォーカス
2017年度4Q業績(10-12月):
・売上高$1,333mn、YoY12%増、調整後EBITDAは$305mn、YoY12%増、営業利益$129mn、YoY11%増、株主帰属当期利益$81mn、YoY88%増
・プロパティ別の営業利益
-Altira Macau=$17mn、YoY5.3倍
-Mocha=$7mn、YoY37%増
-City of Dreams=$170mn、YoY10%減
-Studio City=$91mn、YoY61%増
-City of Dreams Manila=$54mn、YoY7%増
2017年度4Q累計業績(1-12月):
・売上高$5,285mn、YoY17%増、調整後EBITDAは$1,285mn、YoY32%増、営業利益$608mn、YoY67%増、株主帰属当期利益$347mn、YoY97%増
・プロパティ別の営業利益
-Altira Macau=$21mn、YoY4.0倍
-Mocha=$27mn、YoY12%増
-City of Dreams=$805mn、YoY8%増
-Studio City=$336mn、YoY2.2倍
-City of Dreams Manila=$235mn、YoY47%増
マカオでは、6事業者(中国系3社、米国系3社)がゲーミング・コンセッション(サブ・コンセッションを含む)を所有しており、それらは2020-2022年に満期を迎える。
また、マカオ政府は2017年より、コンセッションを早期償還できる権利を得る(政府は早期償還権を行使する場合、1年以上前にノーティスする必要がある)。
仮に、コンセッションが維持されない場合、事業者は、営業権を失い、さらに、すべての設備を対価なしに、マカオ政府に移管することが義務付けられている。
各社にとり、コンセッションの喪失は、事実上、マカオ事業すべての喪失を意味する。
現在、マカオ政府は、満期後の対応について、検討を進めている。
2017年5~7月にかけて、政府高官がコンセッション満期について相次いで発言。ポイントは、
・政府は、すべての実行可能な方向性を検討
・コンセッション満期は、最大5年間の延長が可能
・満期後は、新規コンセッション付与プロセスが必要であり、”新たな入札”も選択肢
このうち、”新たな入札”発言は、6事業者に激震を与えた。
それまで、政府関係者は、”更新(Renewal)”と表現し、6事業者はそこに満期後も現状維持のニュアンスを感じ取っていた。
しかし、政府が”新たな入札”と表現したことで、事業者再募集・選定、入れ替えのニュアンスを読み取ったわけだ。
図表:マカオ カジノ運営6事業者のコンセッション満期日
コンセッション満期日 | 事業者 | 証券取引所 | カジノ施設数 | 獲得順 |
---|---|---|---|---|
2020年3月31日 | SJM Holdings | 香港証券取引所 | 21 | 1 |
2020年3月31日 | MGM China | 香港証券取引所 | 1 | 5(サブ) |
2022年6月26日 | Wynn Macau | 香港証券取引所 | 2 | 2 |
2022年6月26日 | Galaxy Entertainment | 香港証券取引所 | 6 | 3 |
2022年6月26日 | Sands China | 香港証券取引所 | 5 | 4(サブ) |
2022年6月26日 | Melco Resorts & Entertainment | NASDAQ | 4 | 6(サブ) |
注1:カジノ施設数は2017年3月末時点
注2:(サブ)はサブコンセッション。Sands ChinaはGalaxy Entertainmentより、MGM ChinaはSJM Holdingsより、Melco Resorts & EntertainmentはWynn Macauより取得
日本のIR制度、そして、グローバルスタンダードの観点から、IRコンソーシアムは、地域企業、開発企業、海外オペレーターで形成することが必然である。
地域企業の役割は、「地域社会の信頼・合意形成力」「地域社会の調整」「地域に最適なコンセプトの決定」。
開発企業の役割は、「日本における不動産開発の経験ノウハウ」。
海外オペレーターの役割は、「海外におけるカジノIRの経験ノウハウ」。
上記の3つがそれぞれ不可欠な能力である。
日本企業、地域企業がIR経営主体の中核となる必然性
1-1)IRは大きな権益事業。政府は、少数限定のIRのみ許可する方向。IR経営主体は、一定の商圏を寡占し、大きな利益が確実視される。公共政策性に加え、国内への利益還流、産業育成の視点が重要
1-2)事実、日本と同様に、政府がIR施設を少数に制限するアジア・パシフィック主要国では、自国企業がほとんどのIRを開発運営する。都市国家であるシンガポールはほぼ唯一の例外
1-3)IRは、観光及び地域経済の振興を政策目的とする、街づくり事業である。街に精通した日本企業、地域企業が事業化をリードすべき
1-4)IR経営主体には、地域社会からの信頼が求められる。地域社会の信頼を積み上げてきた、日本企業、地域企業こそIR事業化をリードすべき
1-5)海外IR企業は、日本における事業経験、不動産開発経験、地域社会の信頼を持たない
日本企業、地域企業はIR経営主体をリードする能力を有する
2-1)地域企業は、当該地域、街について高い知識を有する
2-2)日本企業は、観光レジャー施設の高い開発運営能力を有する
2-3)日本企業は、カジノの開発運営の経験を持たない。しかし、カジノの開発運営ノウハウはコモディティ(標準化・流動化)。世界の約130ヵ国に2,000ヵ所ほど存在。そのノウハウは、資本構成によらず、人・チーム・各種サービス会社を通じて調達可能
2-4)日本企業、地域企業は、海外IR企業をパートナーとして活用可能。日本参入意欲を持つ海外IR企業は多数
2-5)IR事業化において、現在の資金力は重要なポイントではない。IR制度上、事業者選定、区域選定が終了するまで、大きな資金は不要。選定されれば、その事実を以って金融市場から資金調達が可能
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フィリピン:Melco Crown (Philippines) Resorts 27億PHP(約73億円)の増資 設備増強に向けて
・Melco Resorts & Entertainment 業績
Melco Resorts 2017年度4Q業績 2ケタ増収増益 マカオ、フィリピン好調 日本参画意欲を強調
Melco Resorts 2017年度2Q業績 大幅増益 マカオ、フィリピン好調。日本進出の意欲強調
Melco Resorts & Entertainment 2017年度1Q業績 利益YoY3倍 StudoCity、フィリピン貢献
Melco Crown 2016年度4Q 業績回復、大型施設群が黒字化 ローレンス・ホー氏の支配力拡大
Melco Crown Entertainment 2016年度2Q Studio City、CoD Manilaとも黒字に 先行投資開花
Melco Crown Entertainment 2016年度1Q 業績底打ち感 新規IR立ち上がり、マカオ安定化
フィリピン:Melco Crown (Philippines) 2015年度業績 通期損失220億円。開業負担が重い
マカオ:Melco Crown 2015年度&4Q業績 4Q僅かに赤字だが、今後のビジビリティ改善を示唆
マカオ:Melco Crown Studio Cty ローン・コベナンツ見直し成功 資本再編は起こらず
「IR関連企業&株価」の「海外主要オペレーター」を参照ください。
・「海外主要オペレーター」
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