【国内ニュース】
IR実施法案は、区域認定数の上限を「3ヵ所」と法定する方向。区域認定プロセスは、2サイクル実施を検討することとなった。
IR実施法の成立後、自治体(都道府県、政令指定市)は、事業者選定およびIR整備計画策定のプロセスに入る。
2021年前後、政府は、第1サイクルの区域認定(自治体からの区域認定申請の受付、選定)を実施する見通し。
なお、区域認定数見直し時期は、地方の声にも配慮する観点から、「最初の区域認定から7年経過後」で合意。
・7月29日、和歌山市長選が投開票。開票結果は以下の通り。尾花氏の圧勝
尾花正啓氏(現職、65、無所属。自民党、国民民主党、公明党が推薦)68,081票
島久美子氏(新人・福祉団体理事長、62、無所属。共産党、社民党が推薦)28,145票
・市内へのIR誘致大きな争点であったが、反対派の支持は結果に結びつかず
・選挙公報では、島氏は最前面に「和歌山にカジノはいりません」、尾花氏はIRに触れず。尾花氏は、外国人専用カジノの条件に市内への誘致推進のスタンス
・尾花氏の再選後のIRに関するコメント
「IRの市民の理解は十分でないと感じている。依存症対策などもはっきりし、物事を進めるべき」
・現状、和歌山県の仁坂吉伸・知事と尾花氏は、カジノへの内国人入場の可否を巡るスタンスが不一致
-和歌山県の仁坂知事=カジノへの内国人入場容認スタンス
-和歌山市の尾花市長=今回の選挙でも、外国人専用カジノ条件での誘致推進スタンスを堅持
・今後の注目は、尾花市長の外国人専用カジノ条件への態度。尾花市長は、IR誘致に市議会の議決を得る考え
与党合意(与党IR実施法に関するワーキングチームとりまとめ、2018年4月3日) ・申請自治体である都道府県(または政令指定市)には首長同意と議会議決を要件とし、立地市町村(申請自治体が都道府県の場合)には首長同意を要件 ・ただし、立地市町村は、条例で議会議決を要件とできる 「〇立地市町村との関係については、附帯決議の趣旨を踏まえ、認定申請をする自治体の議会の議決と立地市町村の同意を要件とすることにより、地元での合意形成を制度化する。なお、立地市町村の同意については、地方自治法第96条第2項の適用により、条例で議会の議決すべき事項として定めることができるものである旨を確認的に法定する」 |
・7月5日、和歌山県は、「和歌山県IR誘致推進プロジェクトチーム」を設置
・全庁横断一体のチームであり、関係各課が施策構築に主体的かつ効率的に取り組む体制を整備
・活動内容は、IR誘致活動、「実施方針」「区域整備計画」に記載すべき施策等に関する知見の集約
・委員長は企画部企画政策局長が務め、委員には、福祉やインフラ、警察、教育分野などから21にわたる関係各課長を充てる
・必要に応じて経済界、関係者や学識経験者も参加する予定
・7月13日に第1回会議を開催。今後のスケジュール確認、区域認定の獲得に必要な施策等について意識の統一を図った
・第2回会議は8月22日に開催予定
・7月22日(29日投開票)、和歌山市長選が告示された。二人が立候補
現職:尾花正啓氏(65)無所属。自民党、国民民主党、公明党が推薦
新人:島久美子氏(62、福祉社団法人理事長)無所属。共産党、社民党が推薦
・和歌山県が推進する和歌山市内へのIR誘致へのスタンスが主たる争点に
・尾花氏は、外国人専用カジノを前提に誘致推進。島氏は、誘致反対
・横浜市など、選挙を経て、首長のIRへのスタンスが慎重となった例がある
・和歌山県のIR誘致には、和歌山市長の同意が要件。市長のスタンス、尾花氏が再選した場合、外国人専用カジノの前提を維持するか注目される
・7月5日夜、和歌山市長選(7月22日告示、29日投開票)の立候補予定者による公開討論会(わかやま市民自治ネットワーク主催)が開催された
・尾花正啓氏(現職、65)、島久美子氏(新人・福祉団体理事長、62)が、聴衆200人ほどを前に、政策をアピールした
・今回の選挙戦では、IRが大きな大きな争点となる見通し。IRについての発言は以下の通り。
・尾花正啓氏
「賛成。経済や雇用に効果がある」
「ただし、市民の不安を解消し、安全のためにも外国人専用での誘致であれば賛成したい」
「県からIR誘致への同意を求められた場合、市議会の判断を仰ぐ」
・島久美子氏
「反対。依存症が懸念され、7割の市民が不要、心配と答えている以上反対の姿勢を貫きたい」
「住民投票で市民に信を問う可能性」
・注目ポイントは、尾花正啓・市長の外国人専用カジノを条件する立場の堅持、そして、市議会の議決を得る考え
与党合意(与党IR実施法に関するワーキングチームとりまとめ、2018年4月3日) ・申請自治体である都道府県(または政令指定市)には首長同意と議会議決を要件とし、立地市町村(申請自治体が都道府県の場合)には首長同意を要件 ・ただし、立地市町村は、条例で議会議決を要件とできる 「〇立地市町村との関係については、附帯決議の趣旨を踏まえ、認定申請をする自治体の議会の議決と立地市町村の同意を要件とすることにより、地元での合意形成を制度化する。なお、立地市町村の同意については、地方自治法第96条第2項の適用により、条例で議会の議決すべき事項として定めることができるものである旨を確認的に法定する」 |
・6月21日、和歌山県議会にて、仁坂吉伸・知事がIRについて和歌山との関係を説明
・立地市町村の和歌山市の尾花正啓・市長がカジノ部分を外国人専用とする方針を変えていないことに対して、
「IRを扱う権限は市ではなく、県にある」
「(ギャンブル依存症対策を)きちんと形にして、これなら大丈夫でしょうと市に理解してもらえるようにしたい」
・かつて、仁坂知事、尾花市長ともカジノ部分を外国人専用とする前提であった
・5月8日、仁坂知事は、県IR基本構想の公表時に、IR事業者が県の求める対策を実行する前提のうえで、日本人の入場を認める方針とした。IR実施法案の内容を評価し、基本構想策定プロセスを経て判断
・一方、尾花市長はカジノ部分を外国人専用とする方針を変えていない。和歌山市では、7月29日に市長選が予定されており、対抗馬も出る流れがあり、IRが一つの争点となる方向。市長選が、IR誘致に向けた最初のハードル
・IR実施法の規定では、政府への誘致申請のために、都道府県(または政令指定市)の首長同意と議会議決、立地市町村の首長同意が必須となる
・6月、和歌山県はIR投資意向調査(RFI)の説明会を2回開催
・6月8日の和歌山会場(説明会、視察会)では、参加者数は49社(69名)。県内企業19社、海外事業者10社、県外事業者20社
・6月13日の東京会場では、参加者数は47社(64名)。国内企業が約40社、海外IR事業者が10社強
・主なプログラム(説明会、約1時間)
冒頭挨拶:和歌山県企画政策局長 横山達伸氏
全体説明(基本構想及び事業者から求める提案について):和歌山県企画総務課 大石崇氏
事務手続き説明:新日本有限責任監査法人
・両会場の参加、資料請求の累計では、約100社がエントリー。和歌山IRに対する事業者の関心の高さが示された
・和歌山県企画政策局長 横山達伸氏のメッセージ
「法案には、地域バランスは、どこにも書かれていない。良いものさえつくれば、仮に、大阪が選ばれたとしても、和歌山は問題なく選ばれるだろう」
・5月29日、和歌山県は、IR投資意向調査(RFI)募集要項を公表
・IR基本構想(5月8日公表)の改訂、実施方針の策定に向けた準備を目的とする
・提案募集内容は、開発アイデア、地域振興・観光振興策、弊害防止対策、今後のインフラ整備の必要性、県への要望など幅広く設定
・実施のスケジュール
5月29日、RFI案内の公表
6月 8日、説明会・視察会(和歌山会場)
6月13日、説明会(東京会場)
8月31日、意見・提案提出期日
和歌山県IRに関する投資意向調査(RFI, equest For Information)の実施について(2018年5月29日)
・5月19日、和歌山県は、IRシンポジウムを開催。県内、全国から約400名が参加
・行政、政治、経済界の代表が、それぞれ主催者、来賓として、それぞれが誘致への意気込みをアピール
・県は、和歌山県IR基本構想(5月8日公表)をプレゼンテーション
・仁坂吉伸・知事の発言要旨
「市民勉強会は二回目。これから、どんどんやっていく」
「県の発展になる政策は、どんどん進める。一方、カジノの弊害など懸念には、十分に目配りする」
「我々は、よく勉強して(政府の区域選定に)備える。県民一人一人も、思い込みや決めつけだけでなく、しっかり考えてほしい」
・5月18日、和歌山県は、IR構想の投資意向調査(RFI)の支援業者に新日本有限責任監査法人で決定したと発表
・契約期間は、契約締結日から2019年3月末まで
・今後、5月下旬にRFI実施を公表、6月に説明会、8月下旬に募集締め切りとする予定
・2017年度以降では、北海道、苫小牧市、長崎県に続く実施となる
・5月8日、和歌山県は、和歌山県IR基本構想を公表。仁坂吉伸・知事が定例記者会見で発表
・カジノ部分については、従前は外国人専用を前提としたが、事業者が県の対策を実行する場合は日本人の入場を認める方針とした
・IRの年間売上高は1,400億円(カジノ部分への日本人の入場を前提)、建設投資額は約2,800億円を想定
・県は、民間企業に対して、5月下旬から約3カ月間、RFI(Request-for-Information, 投資意向調査、意見募集)を実施へ
和歌山県IR基本構想~和歌山県が目指すリゾート型IR構想について(2018年5月8日)
和歌山県:IR(統合型リゾート)に関する本県の取り組み ・立地=和歌山マリーナシティが第1候補地(敷地面積20.5ha) |
・4月28日、和歌山市長選(7月22日告示、29日投開票)に、一般社団法人「共助のまちづくり協会」理事長の島久美子氏が立候補を表明。IRが争点となる方向
・市長選では、現職の尾花正啓・市長が再選を目指している。尾花市長は、IR誘致推進のスタンス
・尾花正啓・市長は、2013年11月に和歌山県庁を退職、2014年8月に和歌山市長選で当選。選挙では、無所属で自民党、民主党、公明党の推薦を受け、候補者6人の争いを勝ち抜いた
・島久美子氏は、無所属で、今後、共産、社民、自由など各党に幅広く支援を求める
・IR実施法案では、認定申請主体は都道府県または政令指定市であり、その首長同意と議会議決を要件とする。また、立地市町村には首長同意を要件とする
・和歌山市長選は、立地市町村の首長同意を確保するための初期ハードルとなる
・なお、2019年4月には、統一地方選挙が予定されており、各地の誘致レースに大きな影響を与えよう
・4月19日、和歌山市の尾花正啓・市長は、定例記者会見にてIR実施法に関する与党合意にコメント
IR認定区域数3ヵ所に対して、
「(IR認定区域数が全国3カ所に関して、)5カ所だったら和歌山市も十分残る可能性は高かったと思うが、3カ所となると誘致は厳しい」
「関西国際空港に非常に近く、土地も空いているので速やかに着工できるという優位性はまだある」
カジノ規制、外国人専用カジノの前提について、
「外国人専用という前提で誘致活動をすることに変わりはない」
・一方、4月3日、和歌山県の仁坂吉伸・知事は、記者会見にてIR実施法に関する与党合意にコメント
IR認定区域数3ヵ所に対して、
「全力を尽くして3カ所の中に入りたい」
カジノ規制、外国人専用カジノの前提について、
「政府で規制がよく考えられている。依存症リスクの心配がなくなれば、日本人を入れても大丈夫かと思う」
・2018年2月8日、和歌山県は、平成30年度予算案を公表。2月14日から議会が審議へ
・政策議案には、IR誘致が盛り込まれた
IR(統合型リゾート)の誘致 6,998万円(前年度当初予算1,000万円)
地域の特性を生かした地方型IRの実現をめざし、関係自治体や経済界等と連携した誘致活動や調査研究を実施
・2018年1月15日、和歌山県において、IRシンポジウムが開催された
・主催は、和歌山県IR推進協議会、和歌山県、和歌山市、和歌山商工会議所
・和歌山県では、県、市、経済界が一体でIR誘致を推進
・シンポジウムの趣旨は、IRの正確な情報の提供、地域の特性を活かした地方型IRの有用性・必要性、和歌山県IR構想
・なお、和歌山県が掲げる「外国人専用カジノ前提」について、仁坂知事は、政府の制度設計を見極めて再考する可能性を示唆
・主催者、来賓の登壇者
仁坂吉伸・和歌山県知事
尾花正啓・和歌山市長
尾崎太郎・和歌山県議会議長
片山博臣・和歌山商工会議所会頭
関総一郎・関西経済連合会専務理事
・プログラムには、和歌山県「和歌山県の目指すリゾート型IR構想」、学識経験者による講演・パネルディスカッションがあった
・1月6日、和歌山放送が、県選出国会議員の座談会を開催
・国会議員が、県をどう発展させるかについて議論
・二階俊博・衆議院議員(自民党・幹事長)
「和歌山ならではのものを発掘し、未来を積極的に拓く。和歌山にはチャンスはいっぱいある」
・門博文・衆議院議員(自民党)
「和歌山に世界から人が来てもらえるような立派な誘致したい」
・12月8日、和歌山県の仁坂吉伸・知事は、12月議会の一般質問にて、IRについて言及
・仁坂・知事は、IR内のカジノ施設の運用について、従来方針であった「外国人専用」の方針転換」の可能性を示唆
・9月29日、和歌山県は、和歌山IR推進協議会設立総会を開催
・同協議会の目的は、IR誘致を推進、および、県民理解の形成であり、提案や情報発信を行う
・会員は、和歌山県、和歌山市、和歌山商工会議所、民間企業、学識経験者
・民間企業では、紀陽銀行、オークワ、淺川組など県を代表する企業が参加
・設立総会における主な意見は以下の通り
-和歌山県には他にはない素晴らしい観光資源が沢山ある。県の独自性を活かしたIRにすべき
-国際会議場や展示場については、大規模なものは必要ないが、中規模程度で質の高いものが必要
-カジノ施設の日本人の入場については、しっかりとした対策が取れるのであれば、禁止する必要がない
-IR周辺の交通アクセスや渋滞対策についてはしっかり検討する必要がある
・和歌山県では今後、委員の意見を参考に、基本構想の一段の検討を進めていく予定
・9月11日、和歌山県は、和歌山IR基本構想策定に関わるアドバイザリーとしてトーマツを選定
・県は、8月7日に業務公募を発表し、8月末にかけて企画提案、審査を実施した
・業務内容
(1)海外のIR事例調査
(2)和歌山IRの事業性分析業務
(3)交通インフラ概況調査
(4)RFCに向けた準備業務
(5)英訳業務
(6)基本構想作成アドバイザリー業務
・契約期間は、契約締結日から2018年3月末まで。委託上限金額は1000万円
・8月6日、読売新聞は、和歌山県のIR構想の概要についてレポート
・和歌山県のIR施設概要
-国際会議場
-大規模なスポーツ大会、音楽イベントが可能な全天候型施設
-VR技術でスポーツなどが疑似体験できるゲームセンター
-多言語に対応するスタッフが常駐する観光案内所
-カジノ部分は、外国人専用施設
・和歌山県のIR運用規定、県内全域の活性化策
-運営事業者には食材の県内調達率を設定
-警備業務で地元雇用枠の確保
-高野山や熊野古道など知名度が高い観光地との連携
-全国有数の果物産地という強みも打ち出す
・和歌山県は、IR構想を、IR関連事業者、住民向けに説明会を開催へ
・7月21日、和歌山市の尾花正啓市長は、平成30年度の政府要望を実施
・IRについては、以下の3項目を要望
1)一律に認定数を制限しない
2)区域選定の際は施設の規模、種別だけで判断しない
3)カジノを外国人専用とできるよう自治体独自のギャンブル依存症対策を認める
・6月30日、和歌山県議会は、地方自治法第99条の規定に基づく意見書を提出を決定
・提出先は、衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣(特定複合観光施設区域整備推進本部長)、国土交通大臣
・マリーナシティ概要
-1994年竣工
-IR活用部分15ha、拡張可能部分11ha
・アクセス概要(車で)
-関西国際空港から約45分
-大阪市内から約70分
-最寄駅(JR海南駅)から約10分
・後背経済力
-アクセス90分圏内に人口約1,500万人
和歌山県IR誘致パンフレット(日本語)
和歌山県IR誘致パンフレット(英語)
・2月15日、尾花正啓・和歌山市長は会見において「(IR)実現に向けた取り組みを進める」と市内への誘致を表明
「関西空港に近い利点を生かし、海洋レジャーなど観光資源の多い和歌山型のIRを目指したい」
「カジノ施設は日本人の入場を制限し、外国人専用とする」
「(モデルは、韓国済州島)済州島には立派な自然もある。緑を生かした楽しいIRにしたい」
・和歌山市は2015年5月に誘致検討に向けた職員のプロジェクトチームを設置。和歌山マリーナシティ、コスモパーク加太を候補地に挙げた
・和歌山県の仁坂吉伸・知事も誘致に前向きな姿勢
・1月以降、海外IR事業者が10社以上が県を訪問し、県や市の担当者と面会
・1月には「和歌山県カジノ・エンターテイメント研究会」(自治体や商工会など経済団体が参加)が開催された
IRについて【IR推進法成立に伴う再調査】3回目:2017年1月6-13日 ・インターネットを通じた調査 ・市内に居住、または通勤・通学する18歳以上のモニター571人(回答435人) ・IRの概要や、考えられる影響、カジノ法の理念などを説明した上で、賛否や期待・懸念事項など計12問に選択式と記述式で回答 【問3】 和歌山市に統合型リゾート(IR)を誘致することになれば、どのように思いますか。 -賛成 =17.9% -どちらかといえば賛成=23.7% (賛成、どちらかといえば賛成の計=41.6%) -どちらかといえば反対=19.3% -反対=28.5% (どちらかといえば反対、反対の計=47.8%) -どちらともいえない=10.6% -合計=100.0% IR誘致の意向調査 2回目:2016年9-10月 IR誘致の意向調査 1回目:2016年6-7月 |
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・日本各地の動向
IR誘致レース~各地における政治、行政、経済界の動向。3ヵ所の席を巡る競争(2016年12月~)
・和歌山県の動向
IR誘致レース~和歌山県の動向
カジノIRジャパン
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