【国内ニュース】
IR実施法の成立(7月20日)を契機に、海外IR事業者の日本参入競争が本格化。IRの上限数は「3」であり、海外IR事業者は「3」の席を巡る激しい競争を展開へ。
日本におけるIR事業主体は、地域企業と海外IR事業者などを主要株主とする、コンソーシアムが基本となる。
2019年後半、IR誘致を申請する自治体(都道府県 or 政令指定市)は、実施方針を策定、IR事業主体を選定へ。
海外IR事業者は、参画を目指す地域、コンソーシアムを決定し、自治体への提案準備を進める必要がある。
7月30日、ギャラクシー・エンターテインメント・グループ(GEG)は、「GEG 日本-マカオ統合型リゾート・マネジメント・メンターシップ試験的制度」(以下「メンターシップ制度」)の実施を発表。
同制度は、GEGが設立した非営利団体であるGEG基金、東洋大学とともに、マカオ大学の協力のもとマカオで実施される。
プログラム(初年度)は、東洋大学国際観光学部から選ばれた学生が、8月に4週間にわたりマカオを訪問。マカオ大学の国際統合型リゾート管理プログラムの講義、GEG幹部社員によるメンタリング・セッションを受講する。
なお、マカオ大学は、独自で日本の大学との提携を通じた、日本における国際統合型リゾート管理プログラムの提供を目指している。
マカオ大学工商管理学院 ジャッキー・ソー院長「日本でIR教育体制整備。日本の大学と提携へ」
Galaxy Entertainment Groupは、マカオのコタイ地区Galaxy Macau中心の事業展開であり、極めて効率的で、高収益な体質。
現在、初の海外進出を狙い、日本をターゲットと営業展開中。
リスクは、2022年の現行ゲーミング・コンセッションの満期である(下記参照)。
5月3日、Galaxy Entertainment Group(GEG)は、2018年度1Q(1-3月)のキー・パフォーマンス・インディケーターを公表。
2018年度1Qは、売上高はHK$18,519mn、YoY32%増、調整後EBITDAはHK$4,319mn、YoY36%増(それぞれ約2,574億円、600億円。
マカオ市場の好調を反映し、過去最高を更新。マス、VIPとも伸長。
事業セグメント別は、
Galaxy Macau:売上高HK$12,994mn, YoY27%増、調整後EBITDAはHK$3,262mn, YoY26%増
StarWorld Macau:売上高HK$4,476mn, YoY45%増、調整後EBITDAはHK$1,003mn, YoY55%増
Broadway Macau:売上高HK$142mn, YoY5%増、調整後EBITDAはHK$13mn, YoY117%増
City Clubs:売上高HK$26mn, YoY8%増、調整後EBITDAはHK$26mn, YoY8%増
Construction Materials:売上高HK$911mn, YoY48%増、調整後EBITDAはHK$223mn, YoY94%増
開発アップデート:
・コタイ地区フェーズ3期&4期
-MICE、ファミリーエンタテインメントを強調
-近く計画発表へ
・横琴(Hengqin)地区
-2.7平方キロメートルの土地に低密度のリゾート開発を計画。マカオを補完
-コンセプトプランを策定中
・国際
-日本、フィリピン(ボラケイ島IR計画含む)などの開発機会を追及
-アジア・パシフィックIR開発において、Monte-Carlo SBMと戦略パートナーシップ
(2015年7月、GEGは、Monte-Carlo SBM株式5%を取得)
-Wynn Resorts社へのマイノリティ出資を実施(5%、4月初に完了)
-日本開発に向けたシニアチームを拡張。日本担当COOにテッド・チャン氏を採用
-フィリピンのボラカイ島におけるエコフレンドリーなIR計画(投資額3-5億ドル)を推進
図表の通り、マカオでは、6社(中国系3社、米国系3社)がゲーミング・コンセッション(サブ・コンセッションを含む)を所有しており、それぞれ、2020~2022年に満期を迎える。
マカオでは、コンセッション保有者のみが、カジノ運営を許可される。コンセッションは、大きな権益であり、6社の企業価値を支える原動力である。
現行コンセッション満期後の焦点は、現有6社の事業継続(現行コンセッション継続)の可否、新規参入(新規コンセッション発給)の有無、など。
6社は、ゲーミング・コンセッションを喪失した場合、実質上、ほとんどの事業を失うことになる。
現在、マカオ政府は、満期後の対応の検討を進めており、2018年後半に、満期後の方針の詳細をアップデイトする方針。
マカオ政府は、アカデミックに対して、ゲーミング・セクター長期ビジョン(2020-2030年)に関する二つのスタディを発注済みで、それらは2018年3Qに完成予定。そのスタディは、適正なゲーミング・ライセンス数に関する考察を含む。
ゲーミング・コンセッションに関して、現行ゲーミング関連法、契約(政府-事業者)が規定するポイントは以下の通り。
・現行ゲーミング・コンセッション満期後、新規のコンセッションは、入札プロセス(Bidding, Public Tender)を通じて、付与されなければならない
(現行コンセッションについて、満期後に”更新”の概念はない)
・現行ゲーミング・コンセッションは、最大5年間の延長が可能
・政府は、2017年より、現行ゲーミング・コンセッションを早期償還できる権利を持つ
(政府は早期償還権を行使する場合、1年以上前にノーティスする必要がある)。
・現行ゲーミング・コンセッション保有者は、それを喪失した場合、カジノ施設(関連施設)を、対価なしに、マカオ政府に移管する義務
2017年央、政府高官は、初めて、”新たな入札(New Tender)”という表現を用いた。その発言は、現コンセッション保有6事業者に激震を与えた。
それまで、政府関係者は、”更新(Renewal)”と表現し、6事業者はそこに満期後も現状維持のニュアンスを感じ取っていた。
政府が”新たな入札”と表現したことで、事業者再募集・選定、入れ替えのニュアンスを読み取ったわけだ。
図表:マカオ カジノ運営6事業者のコンセッション満期日
コンセッション満期日 | 事業者 | 証券取引所 | カジノ施設数 | 獲得順 |
---|---|---|---|---|
2020年3月31日 | SJM Holdings | 香港証券取引所 | 22 | 1 |
2020年3月31日 | MGM China | 香港証券取引所 | 2 | 5(サブ) |
2022年6月26日 | Wynn Macau | 香港証券取引所 | 2 | 2 |
2022年6月26日 | Galaxy Entertainment | 香港証券取引所 | 6 | 3 |
2022年6月26日 | Sands China | 香港証券取引所 | 5 | 4(サブ) |
2022年6月26日 | Melco Resorts & Entertainment | NASDAQ | 4 | 6(サブ) |
注1:カジノ施設数は2018年6月末時点
注2:(サブ)はサブコンセッション。Sands ChinaはGalaxy Entertainmentより、MGM ChinaはSJM Holdingsより、Melco Resorts & EntertainmentはWynn Macauより取得
日本のIR制度、そして、グローバルスタンダードの観点から、IRコンソーシアムは、地域企業、開発企業、海外オペレーターで形成することが必然である。
地域企業の役割は、「地域社会の信頼・合意形成力」「地域社会の調整」「地域に最適なコンセプトの決定」。
開発企業の役割は、「日本における不動産開発の経験ノウハウ」。
海外オペレーターの役割は、「海外におけるカジノIRの経験ノウハウ」。
上記の3つがそれぞれ不可欠な能力である。
日本企業、地域企業がIR経営主体の中核となる必然性
1-1)IRは大きな権益事業。政府は、少数限定のIRのみ許可する方向。IR経営主体は、一定の商圏を寡占し、大きな利益が確実視される。公共政策性に加え、国内への利益還流、産業育成の視点が重要
1-2)事実、日本と同様に、政府がIR施設を少数に制限するアジア・パシフィック主要国では、自国企業がほとんどのIRを開発運営する。都市国家であるシンガポールはほぼ唯一の例外
1-3)IRは、観光及び地域経済の振興を政策目的とする、街づくり事業である。街に精通した日本企業、地域企業が事業化をリードすべき
1-4)IR経営主体には、地域社会からの信頼が求められる。地域社会の信頼を積み上げてきた、日本企業、地域企業こそIR事業化をリードすべき
1-5)海外IR企業は、日本における事業経験、不動産開発経験、地域社会の信頼を持たない
日本企業、地域企業はIR経営主体をリードする能力を有する
2-1)地域企業は、当該地域、街について高い知識を有する
2-2)日本企業は、観光レジャー施設の高い開発運営能力を有する
2-3)日本企業は、カジノの開発運営の経験を持たない。しかし、カジノの開発運営ノウハウはコモディティ(標準化・流動化)。世界の約130ヵ国に2,000ヵ所ほど存在。そのノウハウは、資本構成によらず、人・チーム・各種サービス会社を通じて調達可能
2-4)日本企業、地域企業は、海外IR企業をパートナーとして活用可能。日本参入意欲を持つ海外IR企業は多数
2-5)IR事業化において、現在の資金力は重要なポイントではない。IR制度上、事業者選定、区域選定が終了するまで、大きな資金は不要。選定されれば、その事実を以って金融市場から資金調達が可能
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