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IR法制度:「特定複合観光施設区域整備法施行令」解説 第3回 送客施設の基準

2019-04-16

【IR資料室】

筆者:渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士 IR推進会議委員(略歴は巻末を参照)
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カジノIRジャパン:IR資料室>IR法制度~渡邉雅之弁護士 IR推進会議委員

「特定複合観光施設区域整備法施行令」解説

「特定複合観光施設区域整備法」(平成30年7月27日法律第80号、以下「IR整備法」又は「法」といいます。)の施行政令である「特定複合観光施設区域整備法施行令」(平成31年3月27日政令第72号、以下「IR整備法施行令」又は「施行令」といいます。)(*1)が公布されました。

本解説においては、IR整備法施行令の内容を逐条解説いたします。

なお、筆者は、特定複合観光施設区域整備推進会議の委員ですが、本解説の意見は個人的な見解に過ぎないことにご留意ください。

(*1)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/kokkaiteisyutsuhoan/shikoureian.pdf

「特定複合観光施設区域整備法施行令」解説 全体構成(緑は本ページ掲載コンテンツ)

Ⅰ.「特定複合観光施設」の中核施設の具体的な基準・要件(施行令第1条~第5条)
 1.国際会議場施設及び展示等施設(MICE施設)の基準(法第2条第1項第1号・第2号、施行令第1条・第2条)
 2.魅力増進施設の要件(IR整備法施行令第3条)
 3.送客施設の基準(施行令第4条)
 4.宿泊施設の基準(施行令第5条)
Ⅱ. 専らカジノ行為の用に供される部分(ゲーミング区域)の床面積の上限(施行令第6条)
 1.ゲーミング区域の床面積の上限
 2.絶対値による定めを行わなかった理由
 3.「特定複合観光施設の床面積」の解釈
Ⅲ.IR区域以外の地域でカジノ事業者等に関する広告物の表示等が制限されない施設(施行令第15条)
Ⅳ. マネー・ローンダリング対策(本人確認等の対象となる特定取引の範囲・現金取引報告(CTR)の対象となる取引の範囲)
 1.本人確認等の対象となる特定取引の範囲(犯収法施行令第7条第4号等)
 2.現金取引報告(CTR)の対象となる取引の範囲(法第109条第1項、施行令第16条)
 3.IR整備法上のその他のマネー・ローンダリング規制
Ⅴ. カジノ事業の免許等の欠格事由となる罰金刑の対象となる罪
 1.カジノ事業免許の申請者の欠格事由(法第41条第2項)
 2 カジノ事業免許等の欠格事由に係る罪
Ⅵ.カジノ施設の入場規制(日本人等への入場料の賦課及び入場回数制限、一定の者の入場禁止)、一定の者のカジノ行為の禁止規制の例外
 1 入場規制の禁止の例外
 2.カジノ行為の禁止規制の例外
Ⅶ.特定資金受入業務においてカジノ事業者に保証金の供託等(法第84条第2項・第3項、施行令第11条、第12条)
 1.特定資金受入業務(法第2条第8項第2号ロ)
 2.特定資金受入業務の規制(法第84条)
Ⅷ.特定複合観光施設区域の土地に関する権利の移転又は設定をする取引又は行為のうち、カジノ管理委員会の認可がない場合でも私法上の効力までは否定されないもの(施行令第 25条)
Ⅸ.申告・納付期限の日など入場料納入金及び納付金の納付手続等
 1.入場料納入金等の納付(施行令第40条)
 2.納付期限(施行令第41条・44条)
 3.入場料納入金等の保管(施行令第42条)
 4.認定都道府県等入場料納入金又は認定都道府県等納付金の払込み(施行令第43条)
 5.カジノ管理委員会への通知(施行令第44条、第46条)
 6.特別加算金(施行令第45条、第46条)
Ⅹ.施行期日

3.送客施設の基準(施行令第4条)

〇施行令第4条
(国内における観光旅行の促進に資する施設の基準)
第4条 法第2条第1項第4号の政令で定める基準は、次のとおりとする。

一 利用者の需要を満たすことができる適当な規模の対面による情報提供及びサービスの手配のための設備並びに適当な規模の待合いの用に供する設備を有すること。

二 次に掲げる業務を行う機能を有し、かつ、これらの業務を複数の外国語により行うことができること。

イ 我が国における各地域の観光の魅力に関する情報について、視聴覚的効果を生じさせる表現その他の効果的な方法により提供する業務

ロ 目的地に到達するまでの経路及び交通手段並びに目的地における観光資源、交通、宿泊、食事その他の事項(二において「観光資源等」という。)に関する情報について、情報通信技術の活用を考慮した適切な方法により提供する義務

ハ 利用者の関心に応じて、旅行の目的地及び日程並びに旅行者が提供を受けることができるサービスの内容に関する事項を定めた旅行に関する計画について提案する業務

二 観光旅行を行おうとする者の需要に応じて、目的地に到達するまでの旅客及び手荷物の運送並びに目的地における観光資源等に係る予約、料金の支払その他の必要なサービスの手配を一元的に行う業務

〇法第2条第4項
4 我が国における各地域の観光の魅力に関する情報を適切に提供し、併せて各地域への観光旅行に必要な運送、宿泊その他のサービスの手配を一元的に行うことにより、国内における観光旅行の促進に資する施設であって、政令で定める基準に適合するもの

 
(1)送客施設の基準
送客施設は、以下の①~④を全て満たすことが求められます(法第2条第1項第4号、施行令第4条)。

①ショーケース機能:日本各地の観光の魅力や旅行者に必要な情報を、VR等の最先端技術等を活用し、効果的・適切な方法で発信(同号イ・ロ)
②コンシェルジュ機能:利用者の関心等に応じ、旅行計画を提案し、必要なサービスの手配をワンストップで実施(同号ハ・二)
③多言語対応機能:上記①・②について英語を含め複数の外国語で提供(同号本文)
④適切な施設規模:多数の来訪客に対応できる情報提供・接客や待合のスペースを具備(同条第1号)

送客施設の基準は、IR推進会議取りまとめ(政令)を踏まえ、観光案内に係る現状・課題に対応した基準を設けることとしたものです。(PC32)

〇IR推進会議とりまとめ(政令)
3.送客施設の要件
<政令の方向性>
送客施設については、以下の①~④の全ての要件を満たすものとすべき。

① ショーケース機能
《具体的な要件》
・VR(*5)等の最先端技術によって、観光の魅力を臨場感がある形で発信するなど、効果的な方法での情報発信を行うこと。
・目的地までのルートや交通手段、目的地での観光スポット、ホテル等旅行者に必要な情報を、ICT(*6)技術等も活用し、オンデマンドで分かりやすく発信するなど適切な情報発信を行うこと。

② コンシェルジュ機能
《具体的な要件》
旅行者の関心・ニーズに応じて、
・オーダーメイドで旅行計画を提案する機能を有すること。
・その場で、目的地までのチケット、目的地での観光施設、交通機関、ホテル等の予約、決済等、必要なサービスの手配をワンストップでシームレスに行う機能を有すること。

③ 多言語対応機能
《具体的な要件》
・上記①②について、英語をはじめとした 複数の外国語で提供すること。

④ 送客施設の規模
《具体的な要件》
・多数の来訪客のニーズに対応し、上記①~③の機能を適切に発揮するため、適切な規模の情報提供・接客や待合のためのスペースを有すること。

 
(2)適切な規模(施行令第4条第1号)
特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(平成30年12月4日)を踏まえ、それぞれのIRの特性や利用者のニーズが様々であることから、施設の要件としてその規模を一律に定めるのではなく、多数の来訪者のニーズに対応し、送客機能を適切に発揮するため、適当な規模の対面による情報提供・サービスの手配・待合いのための設備を有することを求めることとしております。(PC43・44)

(3)対面による情報提供及びサービスの手配のための設備(施行令第4条第1号)
施行令第4条第1号において「対面による情報提供及びサービスの手配のための設備」を有することを求めており、対面で情報提供等を行うことは必要ですが、常時対面で情報提供を行うことまで求めるものではなく、都道府県等及び民間事業者の創意工夫により、対面以外の方法も活用しながら、効果的に情報提供等を行うことが期待されます。(PC45)

(4)施行令第4条第1号の「施設」と同条第2号の「機能」
施行令第4条各号はいずれも国内における観光旅行の促進に資する施設が満たすべき基準を規定しているものであり、第1号の基準を満たす設備において、第2号の機能が提供されることが求められます。(PC46)

(5)複数の外国語(施行令第4条第2号本文)
施行令第4条第2号の基準は複数の外国語であることのみを規定しており、その具体的な数について定めるものではありません。なお、日本政府観光局が実施する外国人観光案内所認定制度では、全国レベルでの観光案内に対応するカテゴリー3において、英語とそれ以外の2以上の言語での対応を求めておりますので、これが参考になります。いずれにしても、施設の基準等について必要な事項があれば基本方針等で定めることが検討されています。(PC47)

(6)視聴覚的効果を生じさせる表現(施行令第4条第2号イ)
施行令第4条第2号イにおいて、「視聴覚的効果を生じさせる表現」はVR等の最先端技術を想定したものですが、あくまで「効果的な方法」の例として挙げたものであり、それ以外の方法を排除するものではなく、都道府県等や民間事業者の創意工夫を生かした効果的な方法により、我が国における各地域の観光の魅力に関する情報が提供されることが期待されます。(PC48)

(7)一体としての施設
施行令第4条の第1号と第2号イからニまでの基準はいずれも国内における観光旅行の促進に資する施設が満たすべき基準として規定しているものであり、各基準を満たす別々の施設を国内における観光旅行の促進に資する施設として認めることはできません。(PC49)

(*5)Virtual Realityの略。仮想現実のことを指す。
(*6)Information & Communication Technology の略。(出典:総務省ホームページ 情報通信白書 用語集)


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員
(株)王将フードサービス 社外取締役(2014年6月~)
日特建設株式会社     社外取締役(2016年6月~)
政府IR推進会議     委員   (2017年4月~)

(主要関連論稿)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(上)』(NBL1091号(2017年2月1日号)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(下)』(NBL1091号(2017年3月1日号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。

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