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IR法制度:「特定複合観光施設区域整備法施行令」解説 第4回 宿泊施設の基準

2019-04-17

【IR資料室】

筆者:渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士 IR推進会議委員(略歴は巻末を参照)
カジノIRジャパン:IR資料室>IR法制度
カジノIRジャパン:IR資料室>IR法制度~渡邉雅之弁護士 IR推進会議委員

「特定複合観光施設区域整備法施行令」解説

「特定複合観光施設区域整備法」(平成30年7月27日法律第80号、以下「IR整備法」又は「法」といいます。)の施行政令である「特定複合観光施設区域整備法施行令」(平成31年3月27日政令第72号、以下「IR整備法施行令」又は「施行令」といいます。)(*1)が公布されました。

本解説においては、IR整備法施行令の内容を逐条解説いたします。

なお、筆者は、特定複合観光施設区域整備推進会議の委員ですが、本解説の意見は個人的な見解に過ぎないことにご留意ください。

(*1)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/kokkaiteisyutsuhoan/shikoureian.pdf

「特定複合観光施設区域整備法施行令」解説 全体構成(緑は本ページ掲載コンテンツ)

Ⅰ.「特定複合観光施設」の中核施設の具体的な基準・要件(施行令第1条~第5条)
 1.国際会議場施設及び展示等施設(MICE施設)の基準(法第2条第1項第1号・第2号、施行令第1条・第2条)
 2.魅力増進施設の要件(IR整備法施行令第3条)
 3.送客施設の基準(施行令第4条)
 4.宿泊施設の基準(施行令第5条)
Ⅱ. 専らカジノ行為の用に供される部分(ゲーミング区域)の床面積の上限(施行令第6条)
 1.ゲーミング区域の床面積の上限
 2.絶対値による定めを行わなかった理由
 3.「特定複合観光施設の床面積」の解釈
Ⅲ.IR区域以外の地域でカジノ事業者等に関する広告物の表示等が制限されない施設(施行令第15条)
Ⅳ. マネー・ローンダリング対策(本人確認等の対象となる特定取引の範囲・現金取引報告(CTR)の対象となる取引の範囲)
 1.本人確認等の対象となる特定取引の範囲(犯収法施行令第7条第4号等)
 2.現金取引報告(CTR)の対象となる取引の範囲(法第109条第1項、施行令第16条)
 3.IR整備法上のその他のマネー・ローンダリング規制
Ⅴ. カジノ事業の免許等の欠格事由となる罰金刑の対象となる罪
 1.カジノ事業免許の申請者の欠格事由(法第41条第2項)
 2 カジノ事業免許等の欠格事由に係る罪
Ⅵ.カジノ施設の入場規制(日本人等への入場料の賦課及び入場回数制限、一定の者の入場禁止)、一定の者のカジノ行為の禁止規制の例外
 1 入場規制の禁止の例外
 2.カジノ行為の禁止規制の例外
Ⅶ.特定資金受入業務においてカジノ事業者に保証金の供託等(法第84条第2項・第3項、施行令第11条、第12条)
 1.特定資金受入業務(法第2条第8項第2号ロ)
 2.特定資金受入業務の規制(法第84条)
Ⅷ.特定複合観光施設区域の土地に関する権利の移転又は設定をする取引又は行為のうち、カジノ管理委員会の認可がない場合でも私法上の効力までは否定されないもの(施行令第 25条)
Ⅸ.申告・納付期限の日など入場料納入金及び納付金の納付手続等
 1.入場料納入金等の納付(施行令第40条)
 2.納付期限(施行令第41条・44条)
 3.入場料納入金等の保管(施行令第42条)
 4.認定都道府県等入場料納入金又は認定都道府県等納付金の払込み(施行令第43条)
 5.カジノ管理委員会への通知(施行令第44条、第46条)
 6.特別加算金(施行令第45条、第46条)
Ⅹ.施行期日

4.宿泊施設の基準(施行令第5条)

〇施行令第5条
(宿泊施設の基準)
第5条 は、次のとおりとする。
一 全ての客室の床面積の合計がおおむね10万平方メートル以上であること。
二 次に掲げる事項が、国内外の宿泊施設における客室の実情を踏まえ、利用者の需要の高度化を勘案して適切なものであること。
イ 客室のうち最小のものの床面積
ロ 独立に区画されたそれぞれ1以上の居間及び寝室を有する客室(ハにおいて「スイートルーム」という。)のうち最小のものの床面積
ハ 客室の総数に占めるスイートルームの割合

〇法第2条第5項
5 利用者の需要の高度化及び多様化に対応した宿泊施設であって、政令で定める基準に適合するもの

 
(1)宿泊施設の基準
宿泊施設の基準は以下のとおり定められています。

(1)全ての客室の床面積の合計が、おおむね10万㎡以上であること(施行令第5条第1号)
(2)以下の①~③が国内外の宿泊施設の実情を踏まえ適切なものであること(同条第2号)
 ①客室のうち最小のものの床面積(同号イ)
 ②スイートルームのうち最小のものの床面積(同号ロ)
 ③客室の総数に占めるスイートルームの割合(同号ハ)

 
宿泊施設の基準については、IR推進会議取りまとめ(政令)の基本的な視点を踏まえ、世界中から観光客を集めるこれまでにないクオリティと、カジノの収益を活用して整備を行うべき施設の外形的な要件としてこれまでにないスケールを実現しつつ、民間の活力や地域の創意工夫を生かされるようにするため、我が国を代表することとなる規模等の最低基準を定めることとしたものです。(PC55~58)

具体的には、特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめを踏まえ、諸外国のIRの宿泊施設や世界水準の宿泊施設の総客室数、一部屋当たりの客室面積等を参考に、総客室面積の合計として10万m2を基準としております。
一方、総客室数や一部屋当たりの客室面積等の詳細な要件は設けず、IRへの来訪者数や客層に合わせて、地域の創意工夫が生かせるような基準としております。(PC55~58)

〇IR推進会議とりまとめ(政令)
4.宿泊施設の要件
宿泊施設については、宿泊施設全体として、一定規模以上の総客室面積を有するものの整備を求めるべき。
その際、以下の①~③を勘案したものとすべきである。
① 諸外国の IR の宿泊施設を含め、近年整備された世界水準の宿泊施設の最小の客室の一部屋当たりの客室面積
② (ⅰ)諸外国の IR の宿泊施設を含め、近年整備された世界水準の宿泊施設の最小のスイートルームの一部屋当たりの客室面積
(ⅱ)諸外国の IR の宿泊施設の総客室数に対するスイートルームの割合
④ 諸外国の IR の宿泊施設の総客室数

 
「日本型IR」は、幅広く世界中から観光客を呼び込むものであり、新たな需要を生み出すものと考えております。例えば、公共政策としてIRを導入することを決定したシンガポールでは、2つのIRの導入前後5年(2009年と2014年)を比較した場合、同国全体のホテル客室数が30%増加する一方、ホテル稼働率が13%、また、客室単価が36%上昇しており、IR区域外の事業者に対しても大きな経済波及効果をもたらしていると承知しております。

なお、各客室の面積の下限は設けておらず、宿泊施設の設計に当たっては、客室の面積、スイートルームの面積、客室の総数に占めるスイートルームの割合について、諸外国のIRの宿泊施設等の状況を踏まえつつ、地域の特性や民間の創意工夫を生かし、適切なものとすることが求められます。

また、IR区域の整備は地域における経済・雇用情勢等に大きな影響を与えることから、法では、区域整備計画の作成に当たり地元において十分な合意形成を図るとともに、地元の合意を得た区域整備計画に従ってIR事業を実施することをIR事業者に義務付けています。(PC59)

(2)客室のうち最小のものの床面積等の基準(施行令第5条第2号イ~ハ)
施行令第5条に規定する宿泊施設の基準については、特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(平成30年12月4日)を踏まえ、施行令第5条第1号において、共通の基準として、全ての客室の床面積の合計がおおむね10万m2以上であることとした上で、第2号では、民間事業者が実際に宿泊施設を設計する際の考え方を示しています。

このため、宿泊施設の設計に当たっては、客室の面積、スイートルームの面積、客室の総数に占めるスイートルームの割合について、諸外国のIRの宿泊施設等の状況を踏まえつつ、地域の特性や民間の創意工夫を生かし、適切なものとすることが求められます。(PC63~66)

(3)「客室」の床面積の基準
施行令第5条で規定する宿泊施設の基準では、全ての客室の床面積の合計がおおむね10万m2以上としています。客室の床面積は室内であって実際に宿泊の用に供することができる面積であり、宿泊業に係る事業法である旅館業法(昭和23年法律第138号)等を参考にしつつ、内法面積で計算することとしています。(PC67)

(3)複数のホテル・旅館
施行令第5条の要件を満たせば、複数のホテルと旅館が存在することは可能であると考えられます。(PC70)

(4)「おおむね」(施行令第5条第1号)と認められる範囲
施行令第5条における数値基準について「おおむね」としたのは、区域整備計画の認定等に当たって、申請者が数値を満たすものとしておりましたが、事後的に技術的な課題等により数値から僅かに乖離することになった場合に認められないといった事態を避ける等のためこのような規定としたものです。

なお、「おおむね」と認められる範囲については、申請後の事後的な事情により生じる変更が区域整備計画に記載の面積のみの場合等において個別具体的に判断されることになると考えております。(PC71~77)


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員
(株)王将フードサービス 社外取締役(2014年6月~)
日特建設株式会社     社外取締役(2016年6月~)
政府IR推進会議     委員   (2017年4月~)

(主要関連論稿)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(上)』(NBL1091号(2017年2月1日号)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(下)』(NBL1091号(2017年3月1日号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。

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