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IR法制度:「特定複合観光施設区域整備法施行令」解説 第8回 マネロン対策(2)

2019-04-26

【IR資料室】

筆者:渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士 IR推進会議委員(略歴は巻末を参照)
カジノIRジャパン:IR資料室>IR法制度
カジノIRジャパン:IR資料室>IR法制度~渡邉雅之弁護士 IR推進会議委員

「特定複合観光施設区域整備法施行令」解説

「特定複合観光施設区域整備法」(平成30年7月27日法律第80号、以下「IR整備法」又は「法」といいます。)の施行政令である「特定複合観光施設区域整備法施行令」(平成31年3月27日政令第72号、以下「IR整備法施行令」又は「施行令」といいます。)(*1)が公布されました。

本解説においては、IR整備法施行令の内容を逐条解説いたします。

なお、筆者は、特定複合観光施設区域整備推進会議の委員ですが、本解説の意見は個人的な見解に過ぎないことにご留意ください。

(*1)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/kokkaiteisyutsuhoan/shikoureian.pdf

「特定複合観光施設区域整備法施行令」解説 全体構成(緑は本ページ掲載コンテンツ)

Ⅰ.「特定複合観光施設」の中核施設の具体的な基準・要件(施行令第1条~第5条)
 1.国際会議場施設及び展示等施設(MICE施設)の基準(法第2条第1項第1号・第2号、施行令第1条・第2条)
 2.魅力増進施設の要件(IR整備法施行令第3条)
 3.送客施設の基準(施行令第4条)
 4.宿泊施設の基準(施行令第5条)
Ⅱ. 専らカジノ行為の用に供される部分(ゲーミング区域)の床面積の上限(施行令第6条)
 1.ゲーミング区域の床面積の上限
 2.絶対値による定めを行わなかった理由
 3.「特定複合観光施設の床面積」の解釈
Ⅲ.IR区域以外の地域でカジノ事業者等に関する広告物の表示等が制限されない施設(施行令第15条)
Ⅳ. マネー・ローンダリング対策(本人確認等の対象となる特定取引の範囲・現金取引報告(CTR)の対象となる取引の範囲)
 1.本人確認等の対象となる特定取引の範囲(犯収法施行令第7条第4号等)
 2.現金取引報告(CTR)の対象となる取引の範囲(法第109条第1項、施行令第16条)
 3.IR整備法上のその他のマネー・ローンダリング規制
Ⅴ. カジノ事業の免許等の欠格事由となる罰金刑の対象となる罪
 1.カジノ事業免許の申請者の欠格事由(法第41条第2項)
 2 カジノ事業免許等の欠格事由に係る罪
Ⅵ.カジノ施設の入場規制(日本人等への入場料の賦課及び入場回数制限、一定の者の入場禁止)、一定の者のカジノ行為の禁止規制の例外
 1 入場規制の禁止の例外
 2.カジノ行為の禁止規制の例外
Ⅶ.特定資金受入業務においてカジノ事業者に保証金の供託等(法第84条第2項・第3項、施行令第11条、第12条)
 1.特定資金受入業務(法第2条第8項第2号ロ)
 2.特定資金受入業務の規制(法第84条)
Ⅷ.特定複合観光施設区域の土地に関する権利の移転又は設定をする取引又は行為のうち、カジノ管理委員会の認可がない場合でも私法上の効力までは否定されないもの(施行令第 25条)
Ⅸ.申告・納付期限の日など入場料納入金及び納付金の納付手続等
 1.入場料納入金等の納付(施行令第40条)
 2.納付期限(施行令第41条・44条)
 3.入場料納入金等の保管(施行令第42条)
 4.認定都道府県等入場料納入金又は認定都道府県等納付金の払込み(施行令第43条)
 5.カジノ管理委員会への通知(施行令第44条、第46条)
 6.特別加算金(施行令第45条、第46条)
Ⅹ.施行期日

Ⅳ. マネー・ローンダリング対策
2.現金取引報告(CTR)の対象となる取引の範囲(法第109条第1項、施行令第16条)

〇施行令第16条
(届出の対象となる取引)
第16条 法第109条第1項の政令で定める取引は、次に掲げる取引とする。
 一 チップの交付若しくは付与又は受領をする取引
 二 法第2条第8項第2号ロに規定する特定資金受入業務に係る金銭の受入れ若しくは払戻し、特定資金貸付契約に係る債権の弁済の受領又は同号二に掲げる業務に係る両替
2 法第109条第1項の政令で定める額は、100万円とする。

〇法第109条
(取引の届出等)
第109条 カジノ事業者は、顧客との間で、カジノ業務に係る取引のうち、チップの交付等をする取引その他の政令で定める取引であって、政令で定める額を超える現金の受払いをするものを行ったときは、カジノ管理委員会規則で定めるところにより、遅滞なく、当該取引の内容、金額その他カジノ管理委員会規則で定める事項をカジノ管理委員会に届け出なければならない。
2(略)

 

(1)現金取引報告(CTR)

カジノ事業者は、顧客との間で、カジノ業務に係る取引のうち、以下のいずれかの取引であって、100万円を超える現金の受払いをするものを行ったときは、遅滞なく、当該取引の内容、金額その他カジノ管理委員会規則で定める事項をカジノ管理委員会に届け出なければなりません(法第109条第1項、施行令第16条)。

①チップの交付若しくは付与又は受領をする取引(施行令第16条第1項第1号)
②特定資金受入業務に係る金銭の受入れ・払戻し(同項第2号)
③特定資金貸付契約に係る債権の弁済の受領(同項第2号)
④カジノ行為を行う顧客の依頼を受けて当該顧客の金銭について行う金銭の両替を行う業務に係る両替(同項第2号)

 
法第109条第1項に基づく現金取引報告(CTR)は、カジノ事業がマネー・ローンダリングに利用されるリスクが高く、また、米国やシンガポール等の諸外国のカジノでもCTRが導入することを踏まえ、犯収法の規制に上乗せして導入された制度です(PC113~115)。

金額が「100万円超」(施行令第16条第2項)とされたのは、米国が1万ドル超、シンガポールが1万シンガポールドル以上とされていることを踏まえたものです(PC108~112)。

〇IR推進会議取りまとめ(法律)
○一定額以上の現金取引の届出
カジノ事業は、現金取引を原則とし、1年を通じて多額の現金とチップの交換等が頻繁に行われること等から、マネー・ローンダリングのリスクが高いという特性に鑑み、諸外国の規制を参考にして、犯罪収益移転防止法の枠組みに上乗せして、一定額以上の全ての現金取引についてカジノ管理委員会への届出(CTR:Cash Transaction Report)を義務付けるべきである。

〇IR推進会議取りまとめ(政令)
Ⅳ.マネー・ローンダリング対策(本人確認等の対象となる特定取引の範囲・現金取引報告(CTR)の対象となる取引の範囲)の考え方
(現金取引報告(CTR)の対象となる取引の範囲)
・ 現金取引報告(CTR)の対象となる取引の範囲 については、カジノ事業者と顧客との間の現金とチップの交換等、現金の受払いが行われるとすべき。
・ その 閾値 については、米国(1万ドル超)やシンガポール(1万シンガポールドル以上)を参考 とすべき。

 

(2)現金取引報告(CTR)の対象とならない取引

現金取引報告(CTR)は、カジノ事業がマネー・ローンダリングに利用されるリスクが高く、また、米国やシンガポール等の諸外国のカジノでもCTRが導入されていること等を踏まえて導入あれた制度であり、カジノ以外のIRにおける取引については対象としていません(PC117)。

現金取引報告(CTR)の対象は、現金により受払いが行われたもののみであり、特定資金貸付契約の個々の貸付けは、法第76条第1項の規定の趣旨から現金による貸付けは想定されないため、対象としていません(PC118)。
これに対して、特定資金貸付契約に係る弁済の受領については現金による受払いが想定されるため、対象とされています(PC118)。

なお、現金取引報告(CTR)の対象とされる取引については、犯収法上の取引時確認により本人特定事項を確認する取引であって現金の受払いが想定されるものを対象としていますが、犯収法は「債権の譲受者」に取引時確認の義務を貸しておらず、本人特定事項を確認する必要がないことから、現金取引報告(CTR)の対象とされていません(PC118)。


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員
(株)王将フードサービス 社外取締役(2014年6月~)
日特建設株式会社     社外取締役(2016年6月~)
政府IR推進会議     委員   (2017年4月~)

(主要関連論稿)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(上)』(NBL1091号(2017年2月1日号)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(下)』(NBL1091号(2017年3月1日号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。

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