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Wynn Resorts 米国MA州 適格性調査の結論~免許維持, 罰金。セクハラ問題収束

2019-05-03

【海外ニュース】

4月30日、米国マサチューセッツ州ゲーミング・コミッション(The Massachusetts Gaming Commission MGC)は、同社創業者(旧CEO)Steve Wynn氏のセクハラ疑惑に関連したWynn Resortsの適格性について最終判断を下した。
MGCは、調査、判断に約一年の時間を費やした。これにより、Wynn Resortsのセクハラ疑惑に伴うゲーミングライセンスの適格性問題が収束したことになる。

MGCの判断の結果、Wynn Resortsは、ゲーミング・ライセンスを維持し、予定通り、Encore Boston Harberを6月に開業できることになった。

ライセンス保持の条件として、Wynn Resortsに課された義務は、
・当局への3,500万ドルの罰金。Wynn Resortsの経営執行部が、Steve Wynn氏のセクハラ問題を適正に取り扱わなったことを問題視
・独立監視機関の設置
・経営執行部、従業員に対するハラスメント防止教育

また、現CEOのMatthew Maddox氏は、従業員の内部告発を調査しなかったことを理由に、50万ドルの罰金を支払う。

1月28日、Wynn Resortsは、1月25日にNevada Gaming Control Board(NGCB)が同社創業者(旧CEO)Steve Wynn氏のセクハラ問題の調査結果および同社に対する懲戒処分案を決定したと発表。

調査は、Wynn Resortsの関係者の一部が、セクハラ問題を認識していたものの、是正行動を起こさなかったと結論付けた。

NGCBは、同社の営業ライセンスの制限、取り消し、あるいは、同社従業員に対する処分を検討せず。ただし、NGCBは、同社に対して、罰金を科す考えを示した。

その後、2月26日、米国ネバダ州ゲーミングコミッション(The Nevada Gaming Commission)が罰金額が2,000万ドルで決定したと公表。経営に大きな打撃を与える額ではないが、事前の市場観測(数百万ドル)を上回り、事象の深刻さを改めて示す格好となった。

Wynn Resorts創業者Steve Wynn氏のセクハラ問題は、2018年1月26日のWall Street Journal報道が起点となった。そこから、米国ネバダ州およびマサチューセッツ州、マカオのゲーミング当局がライセンスの適格性に関する調査を開始。
2月6日には、Steve Wynn氏は、CEOを辞任。3月21、22日にはSteve Wynn氏は所有するWynn Resorts株のすべての売却を発表。

ゲーミング事業は、当局のライセンスが前提となり、その剥奪は事業消失、すなわち企業価値の喪失を意味する。

Wynn Resorts 豪Crown買収協議中止~マカオ営業権満期視野に日本, APAC進出急ぐ

4月8日、オーストラリアのCrown Resortsが、Wynn Resortsと経営権の異動を伴う可能性がある協議を進めるとリリースを公開。
4月9日、Wynn Resortsは、SEC(米証券取引委員会)に、Crown Resortsとの協議を認めるリリースを提出。
同じ4月9日、Wynn Resortsは、SEC(米証券取引委員会)に、Crown Resortsとの協議打ち切るリリースを提出。

各種報道によれば、協議は、Wynn ResortsによるCrown Resortsの買収であった。Crown Resortsの時価総額は、71億ドル(約8,000億円)。
情報漏えいが、協議の打ち切りの一因となった。

Wynn Resortsは、地理的な事業拡張を目指したとされる。収益柱であるマカオのコンセッション満期(2022年6月26日)を意識した動き。その対策は、マカオ事業の継続(コンセッション新規獲得)、日本やオーストラリアを含むアジア太平洋地域(APAC)への新規参入である。

Wynn Resortsは、現在、米国(ネバダ州ラスベガス)およびマカオで事業を展開するが、営業利益の85%はマカオ由来である。

マカオのゲーミング・コンセッション(6社が保有)は、すべて2022年6月26日に満期を迎える。マカオ政府は、現行コンセッション満期後、次期コンセッションを新規入札(New Pulic Tender)を通じて付与する方針を強調(更新の概念はない)。

マカオ:行政長官 カジノ・コンセッション延期を改めて否定。2022年までの再入札実施を明言

4月18日、崔世安(Fernando Chui Sai On)・マカオ特別行政区行政長官は、議会にて、カジノ・コンセッション再入札の実施時期についてコメント。

発言のポイントは、
・再入札は、現行コンセッション満期(2022年6月26日)の前に実施
・すなわち、現行コンセッションの延長オプションを行使する理由なし(現行法では、最大5年間の延長可能)
・現在、コンセッション再入札に向けた準備作業中(ゲーミング法および関連規制の改正など)

マカオでは、コンセッション保有者(または、コンセッション保有者とサービスアグリーメントを締結した事業者)のみが、カジノ運営を許可される。コンセッションは、権益であり、6社の企業価値を支える原動力である。

図表の通り、マカオでは、6社(中国系3社、米国系3社)がゲーミング・コンセッション(サブ・コンセッションを含む)を所有しており、それぞれ2022年6月26日に満期を迎える。
(3月15日、マカオ政府は、SJM HoldingsとMGM Chinaからのゲーミング・コンセッション延長要請を承認)

政府は、現行コンセッション満期後、次期コンセッションを新規入札(New Pulic Tender)を通じて付与する方針(”更新”の概念ではない)。

マカオ政府は、アカデミック(University Of Macau, Macau university of Sciense and Technology)に対し、二つのスタディ(ゲーミング・セクター長期ビジョン 2020-2030年)を発注済み。
それらスタディは、当初2018年3Qに完成予定であったが、2019年1月現在、いまだ完成に至っていない状況。

2018年11月15日、崔世安(Fernando Chui Sai On)・マカオ特別行政区行政長官が、2019年の政策発表演説を実施。ゲーミング・コンセッション満期に伴うプロセスについて、明確な方針は示されなかった。
演説および関連カンファレンスを通じて、崔世安氏が残した関連コメントは、
「2020年、2022年のゲーミング・コンセッション満期を考慮し、行政は検討を進め、コミュニティの意見を集約中」
「2022年の満期前に、行政は、”入札プロセス(Tender process)”を実施する」
「行政は、本件について、オープン、透明に民間への情報提供を行う方針」

上記の崔世安氏の発言から読み取れる情報は、”2022年前に新たな入札を実施”であろう。すなわち、現行コンセッションの”自動更新はない”、”最大5年間の延長オプション行使なし”である。

ゲーミング・コンセッションに関して、現行法、契約(政府-事業者)が規定するポイントは以下の通り。
・現行コンセッション満期後、新規コンセッションは、フレッシュな入札プロセス(Bidding, Public Tender)を通じて付与
(現行コンセッションついて、満期後に”更新”の概念ではない)
・現行ゲーミング・コンセッションは、最大5年間の延長が可能
・政府は、2017年より、現行ゲーミング・コンセッションを早期償還できる権利を持つ
(政府は早期償還権を行使する場合、1年以上前にノーティスする必要がある)
・現行ゲーミング・コンセッション保有者は、それを喪失した場合、カジノ施設を、対価なしに、マカオ政府に移管する義務
・新しい入札を実施するためには、ゲーミング関連法の改正が必要

2017年央、政府高官は、初めて、”新たな入札(New Tender)”という表現を用いた。その発言は、現コンセッション保有6事業者に激震を与えた。
それまで、政府関係者は、”更新(Renewal)”と表現し、6事業者はそこに満期後も現状維持のニュアンスを感じ取っていた。
政府が”新たな入札”と表現したことで、事業者再募集・選定、入れ替えのニュアンスを読み取ったわけだ。

図表:マカオ カジノ運営6事業者のコンセッション満期日

コンセッション満期日 事業者 証券取引所 カジノ施設数 獲得順
2022年6月26日 SJM Holdings 香港証券取引所 22
2022年6月26日 Wynn Macau 香港証券取引所
2022年6月26日 Galaxy Entertainment 香港証券取引所
2022年6月26日 Sands China 香港証券取引所 4(サブ)
2022年6月26日 MGM China 香港証券取引所 5(サブ)
2022年6月26日 Melco Resorts & Entertainment NASDAQ 6(サブ)

注1:カジノ施設数は2018年12月末時点
注2:2019年3月15日、マカオ政府はSJM Holdingsのコンセッション(MGM China Holdingsのサブ・コンセッション)の満期日を、2020年3月31日から2022年6月26日に延長を承認
注3:(サブ)はサブコンセッション。Sands ChinaはGalaxy Entertainmentより、MGM ChinaはSJM Holdingsより、Melco Resorts & EntertainmentはWynn Macauより取得
 

Wynn Resorts 18年度4Q業績 経常益1.7億ドル, YoY2割減~米国苦戦。マカオ営業権リスク

1月30日、Wynn Resortsは、2018年度4Q業績を発表。

4Q(10-12月)の営業利益は$258mn、YoY14%減、経常損益(営業利益-ネット利息費用)は$166mn、YoY22%減。
主力のマカオ事業は前年並みを確保したが、ラスベガスが苦戦。ラスベガスは、市場低調、競争激化の影響で、大幅減益を余儀なくされた。

なお、4Q累計の営業利益以下には、1Qにおける各種訴訟和解費用(ユニバーサルエンターテインメント、Elaine Wynn氏など)$464mnの計上が影響。

Wynn Resortsは、マカオ事業(Wynn Macau)のウエイトが高い。同社のマカオのゲーミング・コンセッションが2022年6月に満期を迎える。マカオ政府は、満期後に再入札を実施する方針。

2018年度4Q業績(10-12月):
・売上高$1,688mn、YoY4%増、調整後プロパティEBITDAは$499mn、YoY4%増、営業利益$258mn、YoY14%減、株主帰属当期利益$477mn、YoY96%増
・米国税制改正に伴いタックスベネフィットが発生。当期利益はイレギュラー
・地域別業績
Macau Total=調整後プロパティEBITDAは$394mn, YoY5%増, 営業利益$240mn, YoY3%増
-Wynn Palace=調整後プロパティEBITDAは$226mn, YoY19%増, 営業利益$129mn, YoY27%増
-Wynn Macau=調整後プロパティEBITDAは$168mn, YoY10%減, 営業利益$114mn, YoY15%減
Las Vegas Total=調整後プロパティEBITDAは$105mn, YoY1%増, 営業利益$24mn, YoY35%減

2018年度4Q累計業績(1-12月):
・売上高$6,718mn、YoY11%増、調整後プロパティEBITDAは$2,044mn、YoY13%増、営業利益$747mn、YoY29%減、株主帰属当期利益$584mn、YoY22%減
・米国税制改正に伴いタックスベネフィットが発生。当期利益はイレギュラー
・地域別業績
Macau Total=調整後プロパティEBITDAは$1,577mn, YoY22%増, 営業利益$978mn, YoY43%増
-Wynn Palace=調整後プロパティEBITDAは$844mn, YoY60%増, 営業利益$459mn, YoY2.9倍
-Wynn Macau=調整後プロパティEBITDAは$733mn, YoY4%減, 営業利益$532mn, YoY1%減
Las Vegas Total=調整後プロパティEBITDAは$467mn, YoY11%減, 営業利益$170mn, YoY30%減
・1Qに、営業費用に、各種訴訟和解費用(ユニバーサルエンターテインメント、Elaine Wynn氏など)$464mnを計上

2018年度4Q末(12月末)財務状況:
・ネット有利子負債$7,200mn(手元現金$2,220mn、有利子負債$9,420mn)

開発プロジェクトのアップデイト:
・Encore Boston Harborプロジェクト(米国マサチューセッツ州)
 開業予定=2019年中盤
 開発総投資額=26億ドル(2018年9月まで18.3億ドルが発生)
 EBITDAの予想レンジ=3.5-4.0億ドル
 雇用創出=建設時4,000人、運営時4,000人
 州は税収として年間2億ドルを期待(カジノ売上課税はGGRに対して25%の設定)
 土地13ha、24階建てビルディング
 2016年3Qに工事開始

・Wynn Las Vegas golf course跡地プロジェクト(米国ネバダ州ラスベガス)
 開業予定=2020年前半
 第1フェーズ投資額=5億ドル
 ラグーン、その他会議・コンベンション施設を含む
 2008年のEncore開業後、初のラスベガスの開発計画

長年の株主間紛争は和解~Steve Wynn氏、Elaine Wynn氏、ユニバーサルエンターテインメント

・2018年3月、創業CEOであったSteve Wynn氏が、所有株式全株を売却し、CEOを退任
・その前後に、長年の懸案であったElaine Wynn氏、ユニバーサルエンターテインメントとの紛争が決着
(Steve Wynn氏が売却前の主要株主構成は、Steve Wynn氏が11.8%、Elaine Wynn氏が9.4%)

・3月8日、長年の懸案であったWynn Resorts社ら(ボードメンバーを含む)、ユニバーサルエンターテインメントとの訴訟は和解

<元妻であるElaine Wynn氏との紛争>
・Elaine Wynn氏は、自身の株式の権利をSteve Wynn氏に預託する契約(売却制限、議決権)を締結
・過去6年間、Elaine Wynn氏は、預託契約の無効を主張(ユニバーサルエンターテインメント株式の強制償還後)
・2月9日、Steve Wynn氏は、Elaine Wynn氏所有のWynn Resorts株式に対するコントロールを放棄すると発表

<ユニバーサルエンターテインメントとの紛争>
・2012年2月、Wynn Resortsは、当該調査レポートを根拠に、ユニバーサルエンターテインメント(UE)所有のWynn Resorts株式(発行済株式数の19.6%)の強制ディスカウント償還を実行
・その後、UEは、強制ディスカウント償還の無効を主張し、Wynn Resorts社らを提訴
・2018年3月8日、和解が成立。Wynn Resorts社は、2018年3月末までに、UEに、26億3,200万ドルを支払った。一方、UEらは、Wynn Resorts社らへの訴訟を取り下げた

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