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IR法制度「特定複合観光施設区域に関する国土交通省令(仮称)の案」の解説 – ②

2019-12-02

【IR資料室】

筆者:渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士 IR推進会議委員(略歴は巻末を参照)
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2019年11月19日、国土交通省観光庁から、「特定複合観光施設区域整備法第二章の規定による特定複合観光施設区域に関する国土交通省令(仮称)の案」に関する意見募集について」(注1)(以下「国土交通省令案概要」という。)が公表された(意見・情報受付締切日 2019年12月18日)(注2)。

本稿では、国土交通省令案概要の解説とともに、2019年9月4日に公表(意見・情報受付締切日2019年10月3日)された観光庁によるパブリックコメント「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(注3)(以下「基本方針案」という。)のうち、国土交通省令案概要に関する部分についても解説する。

基本方針案における国土交通省令案概要に関する部分は、主に、①区域整備計画に定める事項の内容(下記2)、②区域整備計画の添付書類(下記3)、③認定区域整備計画の変更(下記4)、④実施協定(下記5)が中心となる。

国土交通省令の公布日は未定であるが、施行は公布の日とされた。

なお、本稿では、「特定複合観光施設」(注4)を「IR施設」、「特定複合観光施設区域」を「IR区域」(注5)という。

<目次> (緑色の章は、本ページに掲載)

1 実施方針策定の提案の添付書類(IR整備法第7条第1項)
2 区域整備計画に定める事項の内容(IR整備法第9条第2項)
3 区域整備計画の添付書類(IR整備法第9条第2項)
4 認定区域整備計画の変更(IR整備法第11条第1項、2項)
5 実施協定(IR整備法第13条)
6 事業計画(IR整備法第16条)
7 IR施設の営業の開始の届出(IR整備法第17条第1項)
8 IR事業の廃止に当たり明らかにすべき事項(IR整備法第19条第1項、国土交通省令案概要)
9 立入検査(IR整備法29条3項)

 

2 区域整備計画に定める事項の内容(IR整備法第9条第2項)

IR整備法第9条第2項
2 区域整備計画には、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 区域整備計画の意義及び目標に関する事項
二 特定複合観光施設区域を整備しようとする区域の位置及び規模に関する事項
三 設置運営事業者等の名称及び住所並びに代表者の氏名
四 特定複合観光施設を構成する施設の種類、機能及び規模に関する事項並びに設置運営事業等及び設置運営事業者等に関する事項その他の設置運営事業等の基本となる事項に関する計画(以下この章において「事業基本計画」という。)
五 前各号に掲げるもののほか、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する施策及び措置に関する事項
六 前各号に掲げるもののほか、カジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を推進することにより我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策及び措置に関する事項
七 カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置に関する事項
八 区域整備計画の実施により見込まれる経済的社会的効果に関する事項
九 第百七十九条第一項に規定する認定都道府県等入場料納入金の使途に関する事項
十 第百九十三条第一項に規定する認定都道府県等納付金の使途

 
IR整備法第9条第2項には、区域整備計画で定める事項が規定されている。今回、国土交通省令案概要で示された事項と基本方針案で規定されていることを併せると、区域整備計画には以下の事項の記載が必要となる。

(1)区域整備計画の意義及び目標に関する事項(IR整備法第9条第2項第1号)

(基本方針案第4.3(1)ア)

我が国及びIR 区域を整備しようとする地域の観光及び地域経済の振興や財政の改善など、都道府県等においてIR区域の整備を推進することにより実現を目指す公益や、当該公益を実現するための地域の創意工夫 及び 民間の活力を生かしたIR区域の整備の実施の方向性について、都道府県等としての基本的な構想を示し、当該構想を踏まえた目標を示すことが求められる。

 

(2)IR区域を整備しようとする区域の位置及び規模に関する事項(IR整備法第9条第2項第2号)

以下の事項を区域整備計画に定める必要がある(国土交通省令案概要)。

① IR区域を整備しようとする区域の所在地及び面積
② IR区域と国内外の主要都市との交通の利便性に関する事項

(3)IR事業者の名称及び住所並びに代表者の氏名(IR整備法第9条第2項第3号)

(4)事業基本計画(IR整備法第9条第2項第4号)

事業基本計画には以下の事項を定める必要がある(国土交通省令案概要)。

① IR事業に関する基本的な事項
・IR施設の名称及び所在地
・IR施設の床面積の合計
・IR施設を構成する施設の配置に関する事項
・IR施設の外観の特徴に関する事項(景観及び環境との調和に関する事項を含む。)
・IR施設を構成する施設の外観及び内部主要部分の特徴に関する事項
・IR事業の実施に関する基本的な事項(一のIR事業者によるIR事業の一体的かつ継続的な実施の確保に関する事項を含む。)
・設置運営事業等の実施に当たり、ユニバーサルデザイン、環境への負荷の低減、多様な文化の尊重及びフェアトレードに関し講ずる措置に関する事項

② IR施設を構成する施設の種類、機能及び規模並びに設置及び運営の方針並びに業務の実施体制に関する事項

ア 国際会議場施設に関する事項
・種類、機能(室ごとの機能及び設備に関する事項を含む。)並びに規模(室ごとの収容人員及び床面積、全ての室の収容人員及び床面積の合計を含む。)に関する事項
・設置及び運営の方針に関する事項(誘致及び開催しようとする国際会議に関する事項、飲食物の提供その他の提供するサービスに関する事項、サービスの質の向上のために講ずる措置に関する事項を含む。)
・業務の実施体制に関する事項(関係者の連携及び協力に関する事項(近隣に国際会議場施設又は展示施設、見本市場施設その他の催しを開催するための施設がある場合には、当該施設との役割分担及び連携に関する事項を含む。)、業務の委託に関する事項を含む。)

イ 展示施設、見本市場施設その他の催しを開催するための施設に関する事項
・種類、機能(室ごとの機能及び設備に関する事項を含む。)並びに規模(室ごとの床面積、全ての室の床面積の合計を含む。)に関する事項
・設置及び運営の方針に関する事項(開催しようとする国際的な規模の展示会、見本市その他の催しに関する事項、飲食物の提供その他の提供するサービスに関する事項、サービスの質の向上のために講ずる措置に関する事項を含む。)
・業務の実施体制に関する事項(関係者の連携及び協力に関する事項(近隣に国際会議場施設又は展示施設、見本市場施設その他の催しを開催するための施設がある場合には、当該施設との役割分担及び連携に関する事項を含む。)、業務の委託に関する事項を含む。)

ウ 我が国の観光の魅力の増進に資する施設に関する事項
・種類、機能(設備に関する事項を含む。)及び規模に関する事項
・設置及び運営の方針に関する事項(我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動の内容に関する事項を含む。)
・業務の実施体制に関する事項(関係者の連携及び協力に関する事項、業務の委託に関する事項を含む。)

エ 国内における観光旅行の促進に資する施設に関する事項
・種類、機能(IR整備法施行令第4条第2号に掲げる業務を行う機能に関する事項、利用者の需要を満たすことができる適当な規模の対面による情報提供及びサービスの手配のための設備並びに適当な規模の待合いの用に供する設備に関する事項を含む。)並びに規模(対面による情報提供及びサービスの手配のための設備並びに待合いの用に供する設備の床面積を含む。)に関する事項
・設置及び運営の方針に関する事項(IR整備法施行令第4条第2号に掲げる業務の内容に関する事項及び使用する外国語に関する事項を含む。)
・業務の実施体制に関する事項(関係者の連携及び協力に関する事項、業務の委託に関する事項を含む。)

オ 宿泊施設に関する事項
・種類、機能(客室ごとの機能、構造及び設備に関する事項を含む。)並びに規模(客室ごとの床面積、全ての客室の床面積の合計、客室の総数に占めるスイートルームの割合を含む。)に関する事項
・設置及び運営の方針に関する事項(飲食物の提供その他の提供するサービスに関する事項を含む。)
・業務の実施体制に関する事項(関係者の連携及び協力に関する事項、業務の委託に関する事項を含む。)

カ 国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設に関する事項
・種類、機能(設備に関する事項を含む。)及び規模に関する事項
・設置及び運営の方針に関する事項(提供するサービスに関する事項を含む。)
・業務の実施体制に関する事項(関係者の連携及び協力に関する事項、業務の委託に関する事項を含む。)

キ カジノ施設に関する事項
・種類、機能(設備に関する事項を含む。)及び規模(カジノ施設の数、カジノ行為区画のうち専らカジノ行為の用に供されるものとしてIR整備法第41条第1項第7号のカジノ管理委員会規則で定める部分の床面積の合計を含む。)に関する事項
・設置及び運営の方針に関する事項(提供するサービスに関する事項を含む。)
・業務の実施体制に関する事項(関係者の連携及び協力に関する事項、業務の委託に関する事項を含む。)

(基本方針案第4.3(1)イ(ア))

(ア)IR施設を構成する施設の種類、機能及び規模に関する事項
IR施設の営業を開始しようとする時点における IR 施設を構成する施設の種類、機能及び規模に関する事項 を記載しなければならない。
IR区域においては、カジノ施設と国際会議場施設、展示等施設、魅力増進施設、送客施設及び宿泊施設(その他の 国内外の 観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設が整備される場合には、当該施設を含む。)が一体として整備されるものであることから、基本的には、IR施設の営業開始 の際に、IR施設を構成する全て の施設が供用開始される必要がある。ただし、IR施設を構成する一部の 施設の工事の完成(例えば、宿泊施設を2棟建設する予定であるところ、うち1棟の宿泊施設のみの工事が完成している場合における、残りの1棟の宿泊施設の工事の完成)が当該一部の施設を除いたIR施設の営業開始以降となる場合であっても 、
①全てのIR施設の整備のための資金が、IR整備法第9条第1項の申請を行う時点において確保されており、かつ、
②全てのIR施設の建設工事の発注が同時期に行われる予定となっているときは、
一体として整備する ものと認められることから当初より区域整備計画に記載し、一括して認定を受けることができる。
IR施設の営業を開始しようとする時点において供用されない施設のうち、上記①及び②に該当しないものは、区域整備計画に定めたIR施設とは認められないので、事前に、当該整備の内容に応じて、IR整備法第11条第1項の規定に基づく変更の認定の申請又は同条第2項の規定に基づく届出を行わなければならない 。

 
③ IR整備法第2条第3項第2号に掲げる事業(附帯事業)に関する事項

④ IR事業の工程等に関する事項
・IR事業の工程
・IR区域の土地に関する所有権の取得等に関する計画
・IR事業(施設供用事業が行われる場合には、施設供用事業者。下記⑧アを除き、以下同じ。)がIR区域内の土地について所有権等を有するものであることを証する事項その他のIR事業者が当該区域内においてIR事業を実施することが可能であることを証する事項
・IR区域が、一の特定複合観光施設を設置する一団の土地の区域として、IR事業者により一体的に管理されるものであることを証する事項
・IR施設に関する所有権の取得に関する計画
・IR施設を構成する施設として既存の施設を使用することとしている場合には、IR事業者が当該既存の施設について所有権を有する者であることを証する事項その他のIR事業者がIR施設を所有することが可能であることを証する事項

(基本方針案第4.3(1)イ(イ))

(イ)IR施設の営業を開始するまでの工程に関する事項
IR施設の営業を開始するまでに予定している工程の詳細について、IR施設を構成する各施設について、建設工事を発注する時期、建設工事に着手する時期及び建設工事が完了する時期、IR施設としての営業の開始(以下「開業」という。)の時期(カジノ施設以外のIR施設の一部を、IR施設の開業に先立って開業する場合には、その開業の時期を含む。)等に区分して、できる限り具体的に記載しなければならない。
IR区域においては、カジノ施設と国際会議場施設、展示等施設、魅力増進施設、送客施設及び宿泊施設(その他の国内外の観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設が整備される場合には、当該施設を含む。)が一体として整備されるものであることから、IR施設として開業するためには、基本的には、区域整備計画に定めたIR施設を構成する全ての施設が完成していることが必要である。
しかしながら、IR区域の整備による効果を早期に発現させる観点から、区域整備計画に定めたIR施設のうちの一部が完成していない段階であっても、カジノ施設と国際会議場施設、展示等施設、魅力増進施設、送客施設及び宿泊施設がそろって完成し、それらがIR整備法第2条第1項及び第2項並びに第41条第1項第7号の規定を始めとするIR整備法及びそれに基づく政省令等の規定(以下「IR施設の基準等」という。)に適合している場合には、それらの施設をIR施設として開業(以下「一部早期開業」という。)を行うことが認められる。
一部早期開業が行われる場合にあっては、一部早期開業の時点以降に完成した施設を含むIR施設の開業(その後に施設が順次完成する場合にはそれぞれの開業。以下同じ。)に当たっても、IR施設の基準等に適合したものとなっていなければならない。
また、一部早期開業が行われる場合にあっては、その後に完成した施設を含むIR施設の開業の時期ごとに、IR施設の種類、機能及び規模に関する事項並びにIR事業の運営方針に関する事項を記載しなければならない。

 
⑤ IR施設の維持管理及び設備投資に関する事項(維持管理に要する費用及びその内容、初期投資の金額及びその内容に関する事項を含む。)

(基本方針案第4.3(1)イ(ウ))

(ウ) 維持管理及び設備投資に関する事項
IR事業に係る維持管理及び設備投資について、その対象となるIR施設を構成する施設ごとに、その具体的内容、費用及び時期を記載しなければならない。

 
⑥ 収支計画及び資金計画に関する事項(資金調達に関する事項を含む。)

⑦ 防災及び減災のための措置、災害その他の緊急事態の発生の防止又は軽減を図るための措置、災害その他の緊急事態が発生した場合における対応方法及び対応に関する体制に関する事項

⑧ 設置運営事業等の実施体制に関する事項
ア 設置運営事業者等に関する事項
・IR事業者の役員の氏名又は名称及び住所
・IR事業者が会社法に規定する会社であって、専らIR事業(施設供用事業者にあっては、施設供用事業)を行うものであることを証する事項
・施設供用事業が行われる場合には、特定複合観光施設の使用、管理その他の事項に係る設置運営事業者と施設供用事業者との間の責任分担及び相互の連携に関する事項
・IR事業者の役員その他の関係者から暴力団員その他IR施設に対する関与が不適当な者を排除するために講ずる措置に関する事項

(基本方針案第4.3(1)イ(エ))

(エ) IR事業者の組織体制に関する事項
カジノ事業の免許を得るまでに進める準備(IR施設の建設、調達等に係る契約、各種行為準則の策定、従業員の雇用及び教育等)の段階からIR整備法第41 条に基づく免許の基準、第97条に基づく契約の認可の基準、第116条に基づく従業者の確認の基準等を念頭に置いた反社会的勢力の排除等に徹底的に取り組むための措置を記載しなければならない。

 
イ IR事業者の議決権等の保有者に関する事項
・IR事業者の議決権等の保有者の氏名又は名称及び住所並びに当該議決権等の保有者が法人等であるときは、その代表者又は管理人の氏名並びに役員の氏名又は名称及び住所
・IR事業者の議決権等の保有者ごとの株式又は持分の種類、数及びその割合並びに出資額
・IR事業者の議決権等の保有者が法人等であるときは、財務状況及び現に行っている事業の内容に関する事項並びにIR事業に類似する事業の実績がある場合には、その実績に関する事項
・IR事業者の議決権等の保有者が個人であるときは、資産及び負債に関する事項並びに所得の状況に関する事項

⑨ カジノ事業の収益その他IR事業者の収益を活用したIR施設の整備その他IR事業の事業内容の向上及び都道府県等が実施する区域整備計画に関する施策への協力に関する事項

(基本方針案第4.3(1)イ(オ))

(オ) カジノ事業の収益を活用したIR施設の整備その他IR事業の事業内容の向上及び都道府県等が実施する区域整備計画に関する施策への協力に関する事項
事業基本計画は、カジノ事業の収益のIR施設の整備その他IR事業の事業内容の向上及び都道府県等が実施する区域整備計画に関する施策への協力への活用に関する事項を含む必要がある。具体的には、IR施設の開業(一部早期開業が行われる場合におけるその後の開業を含む。)後に将来想定しているIR施設の整備を含め、カジノ事業の収益を活用したIR施設の整備その他IR事業の事業内容の向上及び都道府県等が実施する区域整備計画に関する施策への協力に関する計画を、できる限り具体的に記載することが必要となる。また、このような計画を実施するための、区域整備計画の認定の申請時における資金計画も併せて必要となる。
なお、将来の施設整備や事業内容等を、カジノ事業の収益のIR施設の整備その他IR事業の事業内容の向上及び都道府県等が実施する区域整備計画に関する施策への協力への活用に関する事項として事業基本計画に記載したとしても、その内容を実行に移す際には必要となるであろう事業基本計画における(ア)IR施設の営業を開始しようとする時点におけるIR施設を構成する施設等の種類、機能及び規模に関する事項の変更については、その内容に応じて、IR整備法第11条第1項の規定に基づく変更の認定の申請又は同条第2項の規定に基づく届出を行わなければならない。

 
⑩ 犯罪の発生の予防、善良の風俗及び清浄な風俗環境の保持、青少年の健全育成、カジノ施設に入場した者がカジノ施設を利用したことに伴い受ける悪影響の防止並びにこれらの実施のために必要な体制の整備その他のカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な措置に関する事項(当該措置の実施のために必要な費用の見込みに関する事項並びにカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うため国及び都道府県等が実施する施策への協力に関する事項を含む。)

(基本方針案第4.3(1)イ(カ))

(カ) カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な措置
IR事業者が実施する、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な措置を、その費用の見込みも含め、できる限り具体的に記載しなければならない。なお、それらの措置には、以下の内容を含める必要がある。
・暴力団員等のカジノ施設への入場の禁止、マネー・ローンダリング防止のための措置、20歳未満の者のカジノ施設への入場禁止、日本人や外国人居住者を対象とした一律の入場回数制限や入場料の賦課、依存防止規程に基づく利用制限措置や相談窓口の設置をはじめとする依存防止のための措置、日本人等に対する貸付業務の規制や広告及び勧誘の規制など、IR整備法に基づき取り組むことが求められるカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うための措置を記載しなければならない。
・都道府県公安委員会との情報共有及び連絡体制の構築、治安維持のための防犯カメラの設置、防犯上の観点も踏まえたIR施設のレイアウトの設計、自主警備のための体制の確保、地域の住民等からの苦情等を受け付ける体制の整備など、IR区域における犯罪の発生の予防のための措置を記載しなければならない。また、IR区域には多数の外国人が来訪することを踏まえ、外国語にも対応できる警備員の配置などについての措置も含めて記載しなければならない。
・カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために国や都道府県等が実施する施策への協力について記載しなければならない。

 

(5)前各号に掲げるもののほか、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する施策及び措置に関する事項(IR整備法第9条第2項第5号)

区域整備計画には、IR整備法第9条第2項第5号に掲げる事項として、①IR区域の周辺地域の開発及び整備、②交通環境の改善、③その他のIR区域の整備に伴い必要となる関連する施策並びに④当該施策の実施のために必要な体制の整備その他のIR区域の整備の推進に関する施策及び措置に関する事項(当該施策及び措置の実施のために必要な費用の見込みに関する事項を含む。)を定める(国土交通省令案概要)。

(基本方針案第4.3(1)ウ)

ウ 前各号に掲げるもののほか、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する施策及び措置に関する事項(IR整備法第9条第2項第5号関係)
都道府県等は、地域の実情に即して、都道府県公安委員会や立地市町村等とも連携しつつ、周辺地域の開発及び整備、交通環境の改善その他のIR区域の整備に伴い必要となる関連する施策を含むIR区域の整備の推進に関する施策及び措置を策定し、実施することが求められる。
このため、都道府県等は、区域整備計画において、次に掲げる事項をはじめとした IR区域の整備の推進に関する施策及び措置を、その費用の見込みも含めて、できる限り具体的に記載する必要がある。IR事業者に金銭の負担を求める場合にはその負担の内容及びその金額を示すことが求められる。
(ア)周辺地域の開発及び整備
IR区域の周辺地域においても適切な開発及び整備が進められるよう、都市計画法に基づくマスタープランへの位置付けや用途地域等の指定又は臨港地区においては港湾法に基づく分区の指定等周辺地域との一体的な開発及び整備の推進についての施策及び措置を記載すること。
(イ)交通環境の改善
IR区域の整備に伴う交通量の見通しや周辺地域の交通インフラの状況を踏まえつつ、交通環境の改善に関する施策及び措置を記載すること。
具体的には、公共交通の整備、道路の整備、駐車場の整備、交通安全施設の整備その他の交通の安全及び円滑の確保のために必要な対策を記載すること。
(ウ)その他のIR区域の整備に伴い必要となる関連する施策
(ア)及び(イ)の施策及び措置のほか、地域の実情に即して、自然災害時における避難計画の策定、テロ対策のための体制や資機材の確保などIR区域の整備に伴い必要となる関連施策及び措置を記載すること。
(エ)実施体制
都道府県等は、IR区域の整備の推進に関する施策及び措置の実施に当たって、IR事業者、都道府県公安委員会、立地市町村等その他の関係地方公共団体との適切な役割分担を明確にし、及び緊密な連携を確保し、その内容を記載すること。

 

(6)前各号に掲げるもののほか、カジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を推進することにより我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策及び措置に関する事項(IR整備法第9条第2項第6号)

区域整備計画には、IR整備法第9条第2項第6号に掲げる事項として、国際会議等の誘致、国際観光の振興及びこれらの実施のために必要な体制の整備その他のカジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を推進することにより我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策及び措置に関する事項(当該施策及び措置の実施のために必要な費用の見込みに関する事項を含む。)を定める(国土交通省令案概要)。

(基本方針案第4.3(1)エ)

エ 前各号に掲げるもののほか、カジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及
び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を推進することにより我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策及び措置に関する事項(IR整備法第9条第2項第6号関係)
MICE誘致のための施策及び措置や、周辺地域及び全国各地の観光地等と連携した広域的な観光ルートの設定、IR区域 を含めた地域における観光の魅力に関する海外におけるプロモーション等のインバウンドの促進のための施策及び措置等について、その費用の見込みや、都道府県等とIR事業者、都道府県公安委員会、立地市町村 等 その他の関係地方公共団体との役割分担や協力体制、観光地づくりとの連携 を含めて記載しなければならない。

 

(7)カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置に関する事項(IR整備法第9条第2項第7号)

区域整備計画には、IR整備法第9条第2項第7号に掲げる事項として、①犯罪の発生の予防、善良の風俗及び清浄な風俗環境の保持、②青少年の健全育成、③カジノ施設に入場した者がカジノ施設を利用したことに伴い受ける悪影響の防止並びに④これらの実施のために必要な体制の整備その他のカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置に関する事項(当該施策及び措置の実施のために必要な費用の見込みに関する事項を含む。)を定める(国土交通省令案概要)。

(基本方針案第4.3(1)オ)

オ カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置に関する事項(IR整備法第9条第2項第7号関係)
都道府県等は、次の(ア)から(エ)までに掲げる事項を含め、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置について、その費用の見込みも含めて記載しなければならない。
(ア)犯罪の発生の予防、善良の風俗及び清浄な風俗環境の保持
IR区域及びその周辺地域における商業施設、繁華街、住宅、学校などの立地状況を踏まえつつ、犯罪の発生の予防、秩序の維持、善良の風俗及び清浄な風俗環境の保持に万全を尽くすための施策及び措置を記載すること。
具体的には、国内外から多くの旅行者が来訪することを踏まえ、都道府県公安委員会と適切に連携しつつ、防犯体制の強化、犯罪発生時はもとより平時からの情報共有及び連絡体制の確保、防犯訓練における協力体制の確保、暴力団等の排除のための連絡体制の確保などの取組について記載すること。また、IR区域の周辺地域において、その地域の状況に鑑み、性風俗関連特殊営業の規制(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第123号)第4章第1節に定めるものをいう。以下同じ。)等を適切に講ずる旨を記載すること。
(イ)青少年の健全育成
IR区域及びその周辺地域において、商業施設、繁華街、住宅、学校などの立地状況を踏まえつつ、青少年の健全育成に万全を尽くすための施策及び措置を記載すること。
具体的には、周辺地域の学生や住民向けの依存防止に係る啓発活動、IR区域や周辺商業施設における青少年の保護育成などに適切に取り組む旨を記載すること。
(ウ)カジノ施設に入場した者がカジノ施設を利用したことに伴い受ける悪影響の防止
IR区域及びその周辺地域において、依存防止対策に万全を尽くすための施策及び措置を記載すること。
具体的には、IR事業者によるカジノ行為に対する依存防止のための措置などと連携して、都道府県等として行う相談窓口や治療体制の整備をはじめとしたカジノ行為に対する依存防止のための取組について記載すること。
また、IR区域の周辺地域においても、当該地域の状況に鑑み、関係法令に基づく土地利用規制を通じて、ギャンブル等施設の設置を認めないなどの措置を適切に講ずるための取組を記載すること。
さらには、ギャンブル等依存症対策基本法(平成30年法律第78号)の規定に基づき、都道府県が策定する都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画に基づくカジノ行為に対する依存防止に関する取組について記載すること。
(エ)実施体制
都道府県等は、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置の実施に当たって、IR事業者、都道府県公安委員会、立地市町村等その他の関係地方公共団体との適切な役割分担を明確にし、及び緊密な連携を確保し、その内容を記載すること。

 

(8)区域整備計画の実施により見込まれる経済的社会的効果に関する事項(IR整備法第9条第2項第8号)

区域整備計画には、法第9条第2項第8号に掲げる事項として、次に掲げる事項を定める(国土交通省令案概要)。

① IR区域を来訪する観光旅客の数(国内・国外の内訳を示すこと。)の見込み
② 国際会議場施設における国際会議の開催回数及び展示施設、見本市場施設その他の催しを開催するための施設における国際的な規模の展示会、見本市その他の催しの開催回数の見込み
③ 観光旅行を行おうとする者の需要に応じて、目的地に到達するまでの旅客及び手荷物の運送並びに目的地における観光資源等に係る予約、料金の支払その他の必要なサービスの手配を一元的に行うサービス(IR施行令第4条第2号ニ)の手配を受けて、観光旅行を行う者の数の見込み
④ IR区域を来訪する観光旅客が当該区域に滞在中に支出する金額の見込み
⑤ IR施設に係る初期投資の金額の見込み
⑥ IR施設における雇用者の数の見込み
⑦ その他区域整備計画の実施により見込まれる経済的社会的効果に関する事項
⑧ ①から⑦までの事項に関する推計方法

(基本方針案第4.3(1)カ)

カ 区域整備計画の実施により見込まれる経済的社会的効果に関する事項(IR 整備法第9条第2項第8号関係)
国内外からの来訪者数、MICEイベントの開催件数、魅力増進施設や送客施設の利用者数などの観光への効果の見通しや、来訪者による消費額、地域における雇用創出、IR施設の開業までの初期投資などの地域経済への効果の見通しを記載しなければならない。

 

(9)第179条第1項に規定する認定都道府県等入場料納入金の使途に関する事項(IR整備法第9条第2項第9号)

区域整備計画には、IR整備法第9条第2項第9号に掲げる事項として、同法第 179条第1項に規定する認定都道府県等入場料納入金の使途及び見込額に関する事項を定める(国土交通省令案概要)。

(基本方針案第4.3(1)キ)

キ 第179条第1項に規定する認定都道府県等入場料納入金の使途に関する事項(IR整備法第9条第2項第9号関係)
認定都道府県等入場料納入金は、(ア)IR 区域の整備の推進のための施策及び措置、(イ)カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置にも充てられることが望ましい。このことを踏まえ、認
定都道府県等入場料納入金の使途について、(ア)、(イ)及び(ア)又は(イ)に該当しない使途に区分した上で、可能な範囲で具体的な内容や規模を記載するものとする。

 

(10)第193条第1項に規定する認定都道府県等納付金の使途(当該認定都道府県等納付金を立地市町村等その他の関係地方公共団体に交付する場合には、その条件を含む。)に関する事項

 
区域整備計画には、IR整備法第9条第2項第10号に掲げる事項として、法第 193条第1項に規定する認定都道府県等納付金の使途及び見込額に関する事項を定める(IR整備法第232条に定めるいずれの施策に必要な経費に充てるかを明らかにして定める)(国土交通省令案概要)。

(基本方針案第4.3(1)ク)

ク 第193条第1項に規定する認定都道府県等納付金の使途 (当該認定都道府県等納付金を立地市町村等その他の関係地方公共団体に交付する場合には、その条件を含む。) に関する事項(IR整備法第9条第2項第10号関係)
認定都道府県等納付金の使途については、IR整備法第232条に規定されていることを踏まえ、以下の分類ごとに、可能な範囲で具体的な内容や規模を記載するものとする。
(ア)観光の振興に関する施 策( IR 区域の整備の推進のための施策を含む。)
(イ)地域経済の振興に関する施策
(ウ)その他のIR整備法第1条の目的及び第4条の関係地方公共団体の責務を達成するための施策(カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策を含む。)
(エ)社会福祉の増進に関する施策
(オ)文化芸術の振興に関する施策
また、認定都道府県等納付金を立地市町村等、周辺地方公共団体その他の関係地方公共団体に交付する場合には、交付の対象となる地方公共団体ごとに、認定都道府県等納付金の配分の方針を示すとともに、その使途について、上記の分類に従い、可能な範囲で具体的な内容や規模を記載するものとする。

 
(注1)https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201910&Mode=0
(注2)なお、同日(2019年11月19日)には、「特定複合観光施設区域整備法第5条第1項の規定に基づく「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(※申請期間に関する部分のみ)に関する意見募集について」(https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201908&Mode=0)及び「「特定複合観光施設区域整備法第九条第十項の期間を定める政令(仮称)の案」に関する意見募集について」(https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201909&Mode=0)も公表され、IR整備法第9条第10項に定める区域整備計画の認定の申請の期間は、「令和3年(2021年)1月4日から同年7月30日」とのパブリックコメント案が示された。
(注3)https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201907&Mode=1
(注4)「特定複合観光施設」(IR施設)とは、カジノ施設と、①国際会議場施設(IR整備法2条1項1号)、②展示等施設(同項2号)、③魅力増進施設(同項3号)、④送客施設(同項4号)、⑤宿泊施設(同項5号)から構成される一群の施設(これらと一体的に設置され、及び運営される「その他国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設」(同項6号)に掲げる施設を含む。)であって、民間事業者により一体として設置され、及び運営されるものをいう(同条1項)。
(注5)「特定複合観光施設区域」(IR区域)とは、一の特定複合観光施設を設置する一団の土地の区域として、当該特定複合観光施設を設置し、及び運営する民間事業者(施設供用事業が行われる場合には、当該施設供用事業を行う民間事業者を含む。)により当該区域が一体的に管理されるものであって、国土交通大臣から区域整備計画の認定(IR整備法9
条11項)を受けた区域整備計画(IR整備法11条1項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。「認定区域整備計画」)に記載された区域をいう(同法2条2項)。
 


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員
(株)王将フードサービス 社外取締役(2014年6月~)
日特建設株式会社     社外取締役(2016年6月~)
政府IR推進会議     委員   (2017年4月~)

(主要関連論稿)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(上)』(NBL1091号(2017年2月1日号)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(下)』(NBL1091号(2017年3月1日号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。

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