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IR法制度「特定複合観光施設区域に関する国土交通省令(仮称)の案」の解説 – ③

2019-12-03

【IR資料室】

筆者:渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士 IR推進会議委員(略歴は巻末を参照)
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2019年11月19日、国土交通省観光庁から、「特定複合観光施設区域整備法第二章の規定による特定複合観光施設区域に関する国土交通省令(仮称)の案」に関する意見募集について」(注1)(以下「国土交通省令案概要」という。)が公表された(意見・情報受付締切日 2019年12月18日)(注2)。

本稿では、国土交通省令案概要の解説とともに、2019年9月4日に公表(意見・情報受付締切日2019年10月3日)された観光庁によるパブリックコメント「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(注3)(以下「基本方針案」という。)のうち、国土交通省令案概要に関する部分についても解説する。

基本方針案における国土交通省令案概要に関する部分は、主に、①区域整備計画に定める事項の内容(下記2)、②区域整備計画の添付書類(下記3)、③認定区域整備計画の変更(下記4)、④実施協定(下記5)が中心となる。

国土交通省令の公布日は未定であるが、施行は公布の日とされた。

なお、本稿では、「特定複合観光施設」(注4)を「IR施設」、「特定複合観光施設区域」を「IR区域」(注5)という。

<目次> (緑色の章は、本ページに掲載)

1 実施方針策定の提案の添付書類(IR整備法第7条第1項)
2 区域整備計画に定める事項の内容(IR整備法第9条第2項)
3 区域整備計画の添付書類(IR整備法第9条第2項)
4 認定区域整備計画の変更(IR整備法第11条第1項、2項)
5 実施協定(IR整備法第13条)
6 事業計画(IR整備法第16条)
7 IR施設の営業の開始の届出(IR整備法第17条第1項)
8 IR事業の廃止に当たり明らかにすべき事項(IR整備法第19条第1項、国土交通省令案概要)
9 立入検査(IR整備法29条3項)

 

3 区域整備計画の添付書類(IR整備法第9条第2項)

区域整備計画の添付書類は、次に掲げる書類とする(国土交通省令案概要)。

(基本方針案第4.3(2)ア)

ア 区域整備計画の申請に関する添付書類

区域整備計画の認定を申請する都道府県等は、実施方針の策定、民間事業者の選定及び区域整備計画の作成を公平かつ公正に行ったことを明らかにするために、都道府県等が公表した実施方針及び募集要項等、公募に応じた民間事業者の提案の概要及びその評価並びにIR整備法第8条第2項の規定に基づく協議会における協議又は立地市町村等及び都道府県公安委員会との協議の経過及び結果を記載した書面、民間事業者を選定した際の公表資料、都道府県等において定めた民間事業者との接触に関する規程など、必要となる資料を区域整備計画と併せて、国土交通大臣に提出しなければならない。

また、区域整備計画が着実に実施されることを明らかにするため、区域整備計画の認定を申請する時点における実施協定の案についても、区域整備計画と併せて、国土交通大臣に提出しなければならない。

 
(1)IR区域を表示した付近見取図
(2)IR施設の外観を示す図
(3)設計説明書(IR施設を構成する施設の設計の概要を記載した書類をいう。)
(4)IR施設を構成する施設の位置を表示した配置図
(5)IR施設を構成する施設の構造を明らかにする平面図、立面図、断面図及び構造図
(6)IR施設を構成する施設の外観及び内部主要部分を示す図
(7)IR事業の工程表
(8)IR事業者が従前から所有権等を有する土地及びIR事業者が所有権の取得等をしようとする土地の境界線を表示した土地の配置図
(9)IR事業者がIR区域内の土地について所有権等を有する者であることを証する書類その他のIR事業者等がIR事業を実施することが可能であることを証する書類
(10)IR施設を構成する施設として既存の施設を使用することとしている場合には、当該既存の施設の配置図(IR事業者が従前から所有権を有する既存の施設とIR事業者が所有権を取得しようとする既存の施設の別を明らかにすること。)
(11)IR施設を構成する施設として既存の施設を使用することとしている場合には、当該既存の施設について所有権を有する者であることを証する書類その他のIR事業者がIR施設を所有することが可能であることを証する書類
(12)資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料
<論点>
・金融機関からの資金調達に関するコミットメントレターや融資予約はどの程度の内容の深度や金融機関内部での決裁が必要か。
・金融機関からの資金調達に関するコミットメントレター等に、表明保証や誓約事項が多いほど、資金調達が確実と言えるか。あるいは、「資金調達の確実性」においてネガティブな事項となるか。
(13)IR事業者の定款(会社法の規定により認証を必要とする場合には、認証のある定款)及び当該法人が登記している場合にあっては、当該登記に係る登記事項証明書
(14)IR事業者の組織図
(15)IR事業者の役員の履歴書
(16)IR事業者の議決権等の保有者が法人等であるときは、当該法人等の定款及び登記事項証明書(これらに準ずるものを含む。)、財務状況及び現に行っている事業の内容を明らかにする資料並びにIR事業に類似する事業の実績がある場合は、その実績を記載した書類
(17)IR事業者の議決権等の保有者が個人であるときは、住民票の抄本又はこれに代わる書面、資産及び負債に関する調書並びに所得の状況を明らかにすることができる書類
(18)民間事業者の選定が公平かつ公正に行われたことを明らかにするために参考となるべき書類
(19)実施協定の案
(20)区域整備計画の作成又は申請に関する次に掲げる書類
① IR整備法第9条第5項の協議に関する書類
・協議をしたことを証する書類
・協議の経過及び結果を記載した書類
② IR整備法第9条第6項及び第9項の同意に関する書類
・同意を得たことを証する書類
・同意を得るまでの経緯、当該同意に付された条件がある場合には当該条件、立地市町村等が同意を議会の議決事項とした場合には当該同意に関する議会の議事及び議決を記載した書類
③ IR整備法第9条第7項の公聴会の開催その他の住民の意見を反映させるために必要な措置に関する書類
・措置を講じたことを証する書類
・講じた措置の内容、経過及びその結果、区域整備計画に住民の意見を反映させた場合には当該意見の区域整備計画への反映に関する事項を記載した書類
④ 法第9条第8項の議会の議決に関する書類
・議決を得たことを証する書類
・議会の議事及び議決を記載した書類

(基本方針案第4.3(2)イ)

イ 地域における合意形成に関する添付書類

都道府県等は、IR整備法第9条第5項から第9項までの規定及び第12条の規定に従って区域整備計画を作成及び申請したことを明らかにするため、以下に掲げる内容を盛り込んだ資料を、区域整備計画と併せて、国土交通大臣に提出しなければならない。

(ア)IR整備法第9条第5項の規定に基づく協議会における協議又は立地市町村等及び都道府県公安委員会との協議について、その協議の経過及び結果
(イ)IR整備法第9条第6項及び第9項の規定に基づく同意について、同意を得るまでの経過及び同意に付された条件。なお、立地市町村等(IR整備法第9条第9項の適用の場合にあっては、立地市町村)が地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定に基づき、この同意を議会の議決事項とした場合には、議会における議事の経過及び議決の結果
(ウ)IR整備法第9条第7項の規定に基づいて都道府県等が実施した公聴会の開催その他の住民の意見を反映させるために必要な措置の内容、経過及び結果並びにこれらの措置を受けて区域整備計画に反映した内容
(エ)IR整備法第9条第8項の規定に基づく都道府県等の議会の議決について、議会における議事の経過及び議決の結果
(オ)(略)(下記(22)参照)

 
(21)(20)③に掲げるもののほか、IR区域の整備の推進に向けた地域の関係者の合意形成の促進が図られ、かつ、IR事業者の長期的かつ安定的な実施に不可欠な地域の関係者との良好な関係の構築がなされていることを明らかにする書類
(22)協議会が組織されている場合には、次に掲げる事項を記載した書類
① 協議会の構成員
② IR整備法第12条第7項の規定に基づき協議会の運営に関し必要な事項を定めた場合には当該事項
③ 協議会の開催の実績
④ (20)①に掲げるもののほか、協議会における協議の経過及びその結果

(基本方針案第4.3(2)イ)

イ 地域における合意形成に関する添付書類

都道府県等は、IR整備法第9条第5項から第9項までの規定及び第12条の規定に従って区域整備計画を作成及び申請したことを明らかにするため、以下に掲げる内容を盛り込んだ資料を、区域整備計画と併せて、国土交通大臣に提出しなければならない。

(ア)~(エ) (略)
(オ)IR整備法第12条第1項の規定に基づいて協議会を組織している場合は、協議会の構成員、同条第7項の規定に基づき協議会が定めたもの 、開催実績及び協議会における議事の経過及び結果

 
(23)IR事業者及びIR事業者の議決権等の保有者の社会的信用確保に関する書類
① IR事業者の役員、IR事業者の議決権等の保有者、当該議決権等の保有者が法人等であるときは当該法人等の役員に関する次に掲げる書類
・IR整備法第41条第2項第2号から第4号までに掲げる事由のいずれにも該当しないことを誓約する書面
・IR整備法第41条第2項第2号イ(8)に掲げる者に該当しないことを確認するためIR区域を整備しようとする区域を管轄する都道府県警察に対し照会をした結果を記載した書類
・IR整備法第41条第2項第2号イ(8)に掲げる者に該当しないことを確認するために必要な調査を民間の団体に委託する場合には、当該調査の結果についての報告を記載した書類
② IR事業者の役員その他の関係者から暴力団員その他IR施設に対する関与が不適当な者を排除するために講ずる措置を記載した書類

(基本方針案第4.3(2)ウ)

ウ IR事業者の適格性に関する添付書類

都道府県等は、IR事業者の適格性を担保するため、(ア)IR事業者の役員及び株主又は社員について、①カジノ免許を取得する上での欠格事由が存在しないことに係るそれらの者による表明・確約書、②暴力団員等が含まれないことを示すための都道府県公安委員会への照会に係る回答書、③暴力団員等が含まれないことについて調査会社等の調査を委託した場合にはその報告書を、また、(イ)IR事業者において、反社会的勢力との関係を遮断し、反社会的勢力による被害を防止するため、行動指針を作成するなど適切な措置を講ずる予定であることを明らかにする書類を、区域整備計画と併せて、国土交通大臣に提出しなければならない。

 
(24)その他参考となる書類
 
(注1)https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201910&Mode=0
(注2)なお、同日(2019年11月19日)には、「特定複合観光施設区域整備法第5条第1項の規定に基づく「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(※申請期間に関する部分のみ)に関する意見募集について」(https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201908&Mode=0)及び「「特定複合観光施設区域整備法第九条第十項の期間を定める政令(仮称)の案」に関する意見募集について」(https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201909&Mode=0)も公表され、IR整備法第9条第10項に定める区域整備計画の認定の申請の期間は、「令和3年(2021年)1月4日から同年7月30日」とのパブリックコメント案が示された。
(注3)https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201907&Mode=1
(注4)「特定複合観光施設」(IR施設)とは、カジノ施設と、①国際会議場施設(IR整備法2条1項1号)、②展示等施設(同項2号)、③魅力増進施設(同項3号)、④送客施設(同項4号)、⑤宿泊施設(同項5号)から構成される一群の施設(これらと一体的に設置され、及び運営される「その他国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設」(同項6号)に掲げる施設を含む。)であって、民間事業者により一体として設置され、及び運営されるものをいう(同条1項)。
(注5)「特定複合観光施設区域」(IR区域)とは、一の特定複合観光施設を設置する一団の土地の区域として、当該特定複合観光施設を設置し、及び運営する民間事業者(施設供用事業が行われる場合には、当該施設供用事業を行う民間事業者を含む。)により当該区域が一体的に管理されるものであって、国土交通大臣から区域整備計画の認定(IR整備法9
条11項)を受けた区域整備計画(IR整備法11条1項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。「認定区域整備計画」)に記載された区域をいう(同法2条2項)。
 


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員
(株)王将フードサービス 社外取締役(2014年6月~)
日特建設株式会社     社外取締役(2016年6月~)
政府IR推進会議     委員   (2017年4月~)

(主要関連論稿)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(上)』(NBL1091号(2017年2月1日号)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(下)』(NBL1091号(2017年3月1日号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。

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