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対談-維新 初鹿明博議員×SCGA田中紀子代表「カジノ解禁とギャンブル依存症」第4回

2015-04-16

【インタビュー&特集記事】

IMG_7417米国ネバダ州・ラスベガス、シンガポールなどではIR導入によって、観光産業振興・税収増・雇用増など経済的なメリットを享受している。一方で日本において報道や世論で盛んに指摘されているのは「ギャンブル依存症者の増大」で、これはカジノ反対派の主な論拠にもなっている。
今回は「アルコール健康障害対策基本法」のとりまとめに尽力し、薬物依存症の問題にも長年取り組んできた維新の党の初鹿明博衆議院議員と、ギャンブル依存症に対する啓発・情報提供等を行っている「ギャンブル依存症問題を考える会」(SCGA)の田中紀子代表理事のお二人に、「カジノ解禁とギャンブル依存症」をテーマに対談してもらった。


「アルコール健康障害対策基本法」は2013年に成立。急がれるギャンブル依存症対策立法

――もともと初鹿さんはアルコール対策依存症や薬物依存症などを専門に取り組まれてこられたとお聞きしました。

初鹿 アルコール依存症問題では「アルコール健康障害対策基本法」が2013年12月に成立しました。それを長年にわたって「アルコール問題議員連盟」でずっと検討を続け、私が当時民主党所属だった時に党内にプロジェクトチームとして小委員会を作りました。そこで各省庁から担当者を呼んで法案のたたき台をとりまとめ、かなり煮詰まったタイミングで当時の野田首相によってある日突然に衆議院が解散されたんですね。解散がなければ、法案は提出できる寸前まで作業を進めていたのですが。直後の総選挙では私は落選しましたが、それまで関係する様々な関係省庁を集めて協議を続けてきたので、政権が自民党に代わってもその枠組みは引き継いでもらえました。

――「アルコール健康障害対策基本法」の足場を初鹿さんが築かれたということですね。

初鹿 その前の歴代の先輩方が、かなり議論を煮詰めてくれた最後の部分を担当したということです。

田中 あの当時は本当に直前まで初鹿さんが一所懸命に取り組んだのに、法案成立に立ち会うことができなかったんですよ。ギャンブル依存症の時には、初鹿さんに是非成立を見届けてほしいと願っています。


ギャンブル依存症対策の法律イメージ

IMG_7414――初鹿さんが考える「ギャンブル依存症対策法」のイメージはどういったものなのでしょうか。

初鹿 やはりギャンブルという言葉は今の日本の法律上使用例がないので、名称は「依存症対策基本法」とか「行動依存症対策基本法」というかたちにして、条文の中で依存対象としてカジノや公営競技、パチンコ、パチスロを入れるかたちが現実的でしょうね。さらに買い物依存症とかゲーム依存症などの他の依存症も含め、それらへの対策ということでまず対象を明確化します。対策の具体的な内容としては、やはりまずは土台となる教育や啓発活動。次に治療施設の設置や来場客に対する規制。規制内容として入場規制だけでは効果がないこともあるので、カジノについては、カードでお金を使える上限規制や滞在時間規制のようなものもあった方がいいのではないかと思います。それから、カジノの入口より中にATMを設置できないように、規定を整備した方が良いでしょう。

――確かに、ATMが近くにあると際限なくお金が引き出されてしまう危険性があります。IRに関しては2006年の時点で自民党の「カジノ・エンターテイメント検討小委員会」がまとめた「我が国におけるカジノ・エンターテイメント導入に向けての基本方針」の中に、依存症を防止する観点からカジノ場内や近隣のATM設置が禁止されています。その一方、国内では賭博施設のすぐそばに消費者金融の自動契約機が置かれている光景が目につきます。

初鹿 それから犯罪をおかした人で原因にその依存があった場合、治療プログラムや回復プログラムなど治療につなげる仕組みづくりが必要です。2013年6月には刑法が改正され、それを機に薬物依存によって犯罪を起こした初犯の受刑者を対象として、刑の一部を1年から5年の範囲で執行猶予するしくみができました。これにより、薬物依存で捕まった受刑者が刑期を停止して、治療施設に入って治療するという取り組みがようやくスタートしたわけです。

田中 薬物依存症対策はギャンブル依存症対策よりかなり進んでいますね。この間ニュースで取り上げられていましたが、度重なる覚せい剤による逮捕で活動を停止していた元タレントの方も、回復プログラムを受けていることを公表していました。彼もようやく回復プログラムに「つながる」ことができたんですね。

初鹿 そういったことはやはりギャンブル依存症でも行われるべきでしょう。ギャンブルの場合、凶悪犯に分類されるような殺人や強盗を犯す人もいますが、横領とか経済事犯の人も多いのです。確かにそういった人たちも犯罪に手を染めた以上ある程度の矯正は必要でしょうが、依存症の回復プログラムにつなげる方が良いのではないかと思います。

――そうですね。罰則を加えるというよりも、むしろそういう人たちは原因を取り除いてあげた方が社会復帰にもつながります。

初鹿 本人はもちろん、社会のためにもなります。これはギャンブルで浪費してしまう一部の生活保護を受けている人にも当てはまることなんですね。ギャンブルで借金を作って生活保護を受けている人に、回復プログラムにつなげないで保護費だけ渡したらどうなるでしょうか。それはパチンコに行くに決まっているでしょう。それを「パチンコに行くのはけしからん」とただ注意しても埒があきません。本人が行かないように変わるためのサポートが必要なんですね。


「『ダメ絶対』じゃダメ絶対」

IMG_7422田中 やはり依存症対策基本法を成立させれば、世の中で助かる人たちが増えるんじゃないかと改めてそう思います。ギャンブルで窃盗をする人の中には、窃盗癖が先行している場合も結構あるんですよ。プロセス依存として窃盗癖を包含できる法律なら、どちらが先だったとしても対処できるようになります。

――窃盗癖も依存による可能性があるということですか?

田中 窃盗や万引きの中には、明らかに「クレプトマニア」(窃盗症)という窃盗の依存症のケースが含まれています。私が担当した人の中には、100件以上の空き巣を繰り返した人がいました。それはもう明らかに空き巣の依存症。その人は盗んだお金の使い道として、パチンコにもお金を使っていました。

――お金が入ってくるからパチンコに使ってしまうということですか。

田中 実はクレプトマニアの人たち、万引きを繰り返している人たちは結構いるんですね。その一方で回復するための社会的なリソースが全くなくて、みなさん本当に困っています。ですからそういうものもひっくるめて「依存症対策基本法」を作ることができれば、救われる人だけでなく、社会にとってもプラスになるわけです。

初鹿 いままで全く別物だと思っていた話が、実は同じ対策でできるのかもしれないということですね。

田中 ギャンブル依存症患者の家族もなかなか声を上げませんが、クレプトマニアの家族はさらに声を上げることができません。

――テレビなどでスーパーの万引きGメンの取材番組などを見たことがありますが、モザイク越しに万引きするとは思えない普通の主婦が捕まったりする場面が流れることがありますね。それも依存なんですか。

初鹿 もちろん全てではないでしょうが、依存なのかもしれませんね。そういったケースでは警察沙汰を繰り返してしまうケースも結構多い。そういう人たちを回復がないまま社会に放り出してやみくもに前科ばかりが増えていけば、就業の機会がさらに狭まり負の連鎖でどうにもならなくなります。こういう状態の人を減らすためには、仕事の支援もきちんと考えないといけません。ギャンブル依存症の人でも多額の横領をして逮捕されてしまうと、たとえ刑期を終えて出てきても就職ができなければ、再度依存してしまう可能性が出てきます。仮に就職できても、依存症が治ってなければまた同じことを繰り返してしまうかもしれない。つまり、社会のセーフティーネットとして何らかの対策をすることも必要なのだということです。

田中 そうですよね。反対派の方はギャンブルを禁止する「ダメ絶対」の立場のようですが、依存症について本当に考えているのなら単に反対するだけではダメなんです。「『ダメ絶対』じゃダメ絶対」なんですよ。依存のような未知のことが多い研究分野では、先に法律ができることで後から研究も追いついてくるんですね。依存には発達障害の問題なども絡んでくる場合もあるので、まずは基本法のように大きな指針を作って、実施法で細かく定める法律ができたらいいと思います。痴漢とか覗きの事件などにも、性の依存症が原因になっているケースがあるんですよ。

――痴漢を犯す人の中にも、依存の人がいるんですか。

田中 もちろん人それぞれなので、一概にそれだけとは限りません。しかし、一定の割合で依存症のケースがあることも確かです。痴漢や覗きをするハラハラ感で脳内にドーパミンが分泌され、繰り返している人たちもいるんです。

初鹿 一般的に対策のための法律が整備されると研究も進んでくるので、徐々にいろいろなことが分かってくるようになると思います。近年の研究で、パーキンソン病の薬を処方されている人の中にギャンブル依存が起こる割合が多くなる傾向が分かりました。薬の中にドーパミンが含まれているので、私もなるほどと思いました。ドーパミンは脳内麻薬ともいわれるもので、快感を得られる神経伝達物質です。それでギャンブル依存症はやっぱりドーパミンが深く関わっているんだということが証明ができたんです。 (第5回へ続く)

(取材・撮影 佐藤亮平)



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第1回 潜在化するギャンブル依存症問題

第2回 依存症対策の在り方 日本の建前論と海外の責任あるギャンブリング

第3回 日本のカジノ合法化賛否 依存症問題を利用する反対派

第4回 ギャンブル依存症対策法のイメージ ギャンブル依存症と他の依存症

第5回 回復のための自助グループ 求められる啓発活動

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