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IRにおけるゲーミングライセンス制度 第16回「カジノ管理委員会の位置付け・主務大臣」

2015-04-23

【IR資料室】

第16回 カジノ管理委員会の位置付け・主務大臣
弁護士 渡邉 雅之 (略歴は巻末を参照)

今回は、カジノ管理委員会の行政組織における位置づけについて考えてみます。

1 IR推進法案・IR実施法案の基本的な考え方

IR推進法案11条においては、「カジノ管理委員会は、内閣府に外局として置かれるものとし、カジノ施設及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るため、カジノ施設関係者に対する規制を行うものとする。」と規定しています。

また、「IR実施法案の基本的な考え方」には、以下のように規定されています。

●規制と監視のために国の規制機関を新たに設ける
カジノの運営を規制し、監視するために、国の規制機関としてカジノ管理委員会を設ける。カジノ管理委員会は、国家行政組織法第3条に基づく行政委員会とし、内閣府の外局に設置する。同委員会は、立法府・行政府から独立した権限を保持する国の機関として、運営詳細に関する規則を制定し、カジノ施設とその運営に関与する主体の免許・認証付与、認可及びカジノの施行の監視、監督、違法行為摘発等を担う。

 

2 内閣府の位置付け・総理府との違い

内閣府は、中央省庁再編により、2001年1月6日に、新たに設置された行政機関です。それ以前にあった、総理府、経済企画庁、沖縄開発庁の権能を引き継いだ部分はありますが、総理府と内閣府には大きな違いがあります。

総理府は、国家行政組織法3条2項に基づく組織であり、他の省(大蔵省、法務省、外務省等)と横並びの関係にありました。その役割も、「各行政機関の事務の連絡に関すること。」や「前各号に掲げるもののほか、他の行政機関の所掌に属しない事務及び条約又は法律(法律に基づく命令を含む。)で総理府の所掌に属させられた事務」(総理府設置法4条2号、14号)など、他の行政機関との事務の連絡や他の行政機関に属さない事務とされています。言い方は悪いですが、他の省庁がやりたがらない消極的な権限争いの結果、総理府に帰属させられることが多かったと言えます。「ごみため官庁」とも呼ばれることがありました。

これに対して、内閣府は、「内閣に、内閣総理大臣を長とする行政機関として置かれるものとし、内閣官房を助けて国政上重要な具体的事項に関する企画立案及び総合調整を行い、内閣総理大臣が担当することがふさわしい行政事務を処理し、並びに内閣総理大臣を主任の大臣とする外局を置く機関」(中央省庁等改革基本法10条1項)です。

内閣府設置法においても、内閣府は、「内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けること」、「内閣総理大臣が政府全体の見地から管理することがふさわしい行政事務の円滑な遂行を図ること」を任務とすると定められています(同法3条1項、2項)。

そして、総務省、法務省、外務省、財務省といった「省」よりも一段高い行政機関として、位置付けられ、国家行政組織法の適用はありません。国家行政組織法は、内閣府以外の行政機関の組織の基準について定めるものです(同法1条)。「国家行政組織は、内閣の統轄の下に、内閣府の組織とともに、任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を有する行政機関の全体によって、系統的に構成されなければならない。」(同法2条1項)とされています。

3 内閣府の外局の位置付け

上記2のとおり、内閣府の組織については、その外局を含めて内閣府設置法により定められています。

国家行政組織法3条2項においては、「行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。」とされ、同条3項においては、「省は、内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし、委員会及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする。」とされていますが、ここには内閣府の外局である「委員会」、「庁」は含まれません。

内閣府の外局である「委員会」、「庁」は、内閣府設置法49条1項において、「内閣府には、その外局として、委員会及び庁を置くことができる。」と定められていることを根拠に設置されています。

そして内閣府設置法64条においては、内閣府に置かれる委員会及び庁ならびにそれぞれの具体的組織を定める法律を以下のとおり列挙しています。

公正取引委員会  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
国家公安委員会  警察法
特定個人情報保護委員会  行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律
金融庁  金融庁設置法
消費者庁  消費者庁及び消費者委員会設置法

 

したがって、カジノ管理委員会も、内閣府設置法49条1項において設置されるものであり、同条64条に以下のように列挙されることになると思われます。

カジノ管理委員会  特定複合観光施設整備法

なお、上記1のとおり、「IR実施法案の基本的な考え方」には、カジノ管理委員会は、「国家行政組織法第3条に基づく行政委員会」として置くと規定しておりますが、これは正確に言えば、「3条委員会」的な、いわゆる準立法権限準司法権限を有している独立行政委員会を置くという趣旨であると考えられます。
公正取引委員会も、中央省庁再編以前は、国家行政組織法上の「3条委員会」の代表例でしたが、現在は内閣府設置法に基づく委員会です。

4 カジノ管理委員会を内閣府の外局としてふさわしいか?

上記2のとおり、内閣府は、「内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けること」、「内閣総理大臣が政府全体の見地から管理することがふさわしい行政事務の円滑な遂行を図ること」を任務とすることとされています。

それでは、カジノ管理委員会は、内閣府の外局としてふさわしいでしょうか。

カジノ管理委員会は、「カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図る為、カジノ施設関係者に対する規制を行うものとする。」(IR推進法案11条)とされています。
カジノは金融的な機能を有するもので、「小さな銀行」の性格を有しますので、内閣府の外局である金融庁の役割と近い面があります。また、ギャンブル依存症といった消費者保護の問題対策も含まれるので、内閣府の外局である消費者庁に近い面があります。さらに、遊興施設の管理という意味では、内閣府の外局である国家公安委員会(その下の警察庁)の役割に近い面があります。

これらの面を総合的に見ると、カジノ管理委員会を内閣府の外局とすることは妥当であると考えられます。

近時は、内閣府が昔の総理府と同様に、「ごみため官庁化」しているとの指摘があり、今通常国会においては、いわゆる「内閣官房・内閣府見直し法案」(「内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律案」)が内閣提出法案として提出されていますが、この指摘の観点をもってしても、内閣府の外局以外にふさわしい位置付けはないと考えております。

5 IR実施法案の主務大臣は?

IR実施法案においては、主務大臣が決まっていないというお話がありますが、私は、内閣府の長である内閣総理大臣を主務大臣とすべきと考えています。

IR実施法案の中で中核の行政組織であるカジノ管理委員会は、内閣府の外局として置かれるのですから、その主務大臣は「内閣府の長である内閣総理大臣」となりますので、IR実施法案全体についても、「内閣府の長である内閣総理大臣」が主務大臣となるのが自然です。
なお、「内閣府の長である内閣総理大臣」としているのは、内閣総理大臣には、「内閣の長」、「人事院の長」など様々な役割があるからです。

国際観光振興の観点では、国土交通大臣が主務大臣となるべきであるとか、青少年対策や文化振興の観点では文部科学大臣が主務大臣となるべきという意見もありますが、これらの各省の大臣は、IR実施法案の共同所管官庁とはなり得ても、 主務官庁にはなり得ないと考えられます。

なお、内閣府の外局に関しては、「内閣府の長である内閣総理大臣」を補佐する形で特命担当大臣が置かれる場合が多いです。カジノ管理委員会の長を国会議員とする方法もあり得ますが、このポストを行政官や民間出身者のポストとするのであれば、カジノ管理委員会に関しても特命担当大臣を置くのが自然だと考えられます。


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
成蹊大学法科大学院 非常勤講師
(金融商品取引法担当、平成20年~)
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員

(主要関連論稿)
『IR導入に当たって検討すべきマネー・ローンダリング、反社会的勢力の関与の問題と提言』(NBL1036号・2014年10月15日号)
『日本におけるカジノ導入とギャンブル依存症問題』(週刊金融財政事情2014年10月6日号(3091号))
『カジノ導入に当たっての論点整理(上)・(下)』(共著)(NBL1014、1015号、2013年12月1日号・12月15日号)
「IR推進法の概要と検討すべき問題点」(週刊金融財政事情2014年1月6日号)
「カジノ法案が想定するビジネスモデルと各種規制」(ビジネス法務2014年3月号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。

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