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IRにおけるゲーミングライセンス制度 第25回「国による『特定複合観光施設区域』の認定プロセス」

2015-05-10

【IR資料室】

第25回 国による「特定複合観光施設区域」の認定プロセス
弁護士 渡邉 雅之 (略歴は巻末を参照)

今回は、前回までの国による「特定複合観光施設区域」の認定プロセスについて考えてみます。以下の手続は、IR推進法案の成立後、IR実施法案が内閣提出法案として国会に提出され、成立したことを前提とするものです。
「特定複合観光施設区域」の数は限定されるため、認定プロセスは「公平性、透明性のある判断基準、手続きにより、地方公共団体に不公平感が生じない配慮をした制度設計が必要」があります(「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方」(「IR実施法案の基本的な考え方」))。

1 IR推進についての基本方針の策定

「IR実施法案の基本的な考え方」においては、「国はIR推進について基本方針を策定するなどその方向性を示す必要がある。」と規定されています。

この基本方針は、IR実施法案において主務大臣(私見では内閣府の長である内閣総理大臣)が定めることとされるものと考えられます。

この基本方針自体は、審査基準や不利益処分を定めるものではありませんが、主務大臣としては基本方針の案をパブリックコメントの対象として、広く国民の意見を求めるべきであると考えられます。

英国の手続においても、英国政府がカジノに関する国家の方針(National Policy on Casinos)を策定し、公表しておりました(第24回「
英国での地方公共団体の選定プロセス」 参照)。

2 特定複合観光施設審議会(仮称)における認定基準の策定

第23回(国における「特定複合観光施設区域」の認定機関) で説明したとおり、主務大臣は、特定複合観光施設審議会(仮称)の委員長および委員を任命します。
国会同意人事とする場合には、両議院の承認を得ることになります。

任命された委員長および委員は、上記1の基本方針に示された考え方を基にして、審議の上、「特定複合観光施設区域」の認定基準を定めることが考えられます。
この認定基準は、一種の審査基準であり、国民の関心が高いと考えられます。したがって、認定基準の案についても、パブリックコメントの対象として、広く国民の意見を求めるべきではないかと考えられます。

3 地方公共団体へのプレヒアリング

国(特定複合観光施設審議会(仮称))としては、「特定複合観光施設区域」の認定手続に申請をする地方公共団体の数を把握するため、まず、全地方公共団体に対して申請をするかどうか照会することが考えられます。申請をする地方公共団体の数に応じて、審査の難易度も変わるでしょうし、審査手続も変わり得ると考えられます。

第24回で説明した英国のカジノ・アドバイザリー・パネルによる第1フェーズのプロセスと同様に、この照会(プレヒアリング)自体は、拘束力がないものとすべきです。
すなわち、プレヒアリングにおいて申請をしないと表明した地方公共団体であっても正式の手続では申請できること、他方、プレヒアリングにおいて申請をすると表明した地方公共団体であっても正式の手続では申請しないことができることとすべきです。

プレヒアリングの通知には、上記1の基本方針および上記2の認定基準の案を添付することが考えられます。

4 プロポーザルの公募

国(特定複合観光施設審議会(仮称))は、上記2の認定基準がパブリックコメントを経て確定し、上記3のプレヒアリングにより認定申請を希望するおおよその地方公共団体とその数を把握した上で、プロポーザルの公募をすることになります。

透明性を確保するため、すべての地方公共団体の申請にかかるプロポーザルは、特定複合観光施設審議会(仮称)のウェブサイトにおいて公表すべきであると考えられます。

5 審査の方法

特定複合観光施設審議会(仮称)による審査の方法には色々な方法が考えられます。

(1)認定基準ごとの委員の評価
認定基準ごとに評価(たとえば、1点~10点)をした上で、その上で、全ての認定基準についての評価を合算する方法です。
この方法による場合は、認定基準ごとに、担当の委員を充てることが望ましいかもしれません(たとえば、認定基準にギャンブル依存症への対応があるとすれば、ギャンブル依存症対策の専門家)。
もっとも、認定基準ごとに専門家を置くと、その委員の一存で評価が決まってしまうのではないかという懸念もあります。

(2)委員による全基準の評価
プロポーザルの申請の数が多くない場合は、全委員により、全プロポーザルの全基準を評価することが考えられます。この場合は、上記(1)の場合と異なり、委員はある程度ジェネラリストである方が望ましいかもしれません。
第23回において、特定複合観光施設審議会(仮称))の委員について、専門家が望ましいといたしましたが、専門的な部分の判断の基礎資料を審議会の事務局に任せれば、ジェネラリストであっても十分な判断ができると考えられます。
プロポーザルの申請の数が多い場合は、第24回で説明をした英国のパネルの委員の審査のように、2名の委員が1つのプロポーザルの全基準をそれぞれ判断して、その判断のずれが大きい場合は、もう1人の委員が判断する、または、全委員で判断するという方法もあるでしょう。(英国で採られた)事前に一つのプロポーザルをサンプルとして、全委員で評価をして、それぞれの評価の傾向のずれを調整するという方法も有益です。

6 ショートリスト化の手続の要否

第24回で説明をした英国のカジノ・アドバイザリー・パネルのように、第2フェーズのプロセスとして、ショートリスト化(候補を絞る)の手続を設けるかどうかについては議論があるでしょう。とりわけ、申請をする地方公共団体の数がそれほど多くない場合はショートリスト化のプロセスは必要ないのではないかという議論もあり得るでしょう。

しかしながら、「公平性、透明性のある手続」という観点からは、ショートリスト化をする地方公共団体について、さらに多角的に判断をするということが望ましいと考えられ、英国の手続と同様にショートリスト化のプロセスがあった方が望ましいと考えられます。

ただし、英国の手続で混乱があったようなことがないように、ショートリスト化された地方公共団体以外についても、敗者復活の機会があると誤解を与えないようにすべきではないかと思われます。

もっとも、英国と同様に、より透明性や公平性を確保するために、ショートリストに入らなかった地方公共団体も含め、当初のプロポーザルにおいて提出できなかった資料等を提出する機会を与え、その上で、正式なショートリストを確定することも考えられます。

7 ショートリストの地方公共団体の各団体へのヒアリング・最終評価

特定複合観光施設審議会(仮称))は、上記6のショートリストに残った地方公共団体の関係行政機関や関連団体にヒアリングを行うことが考えられます。

この際には、公平性の観点から、プロポーザルで提出されなかった新たな事項は提出できないこととすべきと考えられます。その上で、プロポーザルについて既に行った評価について再考した上で、最終的に、特定複合観光施設区域として認定すべきと考える区域を決定することが考えられます。

8 国務大臣への答申および最終的な決定

特定複合観光施設審議会(仮称)は、国務大臣に対して、特定複合観光施設区域とすべきと考える地方公共団体について答申します。

国務大臣の恣意的な判断を避けるため、IR実施法案においては、国務大臣は特定複合観光施設審議会(仮称)の判断を尊重すべきと規定しておくべきでしょう。

9 大都市型・地方型に分けて判断していくべきか

元々の「IR実施法案の基本的な考え方」では、『「大都市型」、「地方型」の二類型が構想されることが望ましい。』とされていましたが、平成26年10月16日に開催されたIR議連の総会において、『大都市のみならず地方への設置も検討することが望ましい。』という表現に変更されました。
これは、IR議連としては、特定複合観光施設区域の選定において、審査の過程において、判断に加味はされるものの、「大都市型」、「地方型」と明確にカテゴリーを分けて審査を行うわけではないと考えているのではないかと思われます(全くの個人的見解です。)。


渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士

(略歴) (役職)
1995年:東京大学法学部卒業
1997年:司法試験合格
2000年:総理府退職
2001年:司法修習修了(54期)
弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了
2009年:三宅法律事務所入所
成蹊大学法科大学院 非常勤講師
(金融商品取引法担当、平成20年~)
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員
日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員
第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員
第二東京弁護士会 司法制度調査委員会
民法改正部会 委員
第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員

(主要関連論稿)
『IR導入に当たって検討すべきマネー・ローンダリング、反社会的勢力の関与の問題と提言』(NBL1036号・2014年10月15日号)
『日本におけるカジノ導入とギャンブル依存症問題』(週刊金融財政事情2014年10月6日号(3091号))
『カジノ導入に当たっての論点整理(上)・(下)』(共著)(NBL1014、1015号、2013年12月1日号・12月15日号)
「IR推進法の概要と検討すべき問題点」(週刊金融財政事情2014年1月6日号)
「カジノ法案が想定するビジネスモデルと各種規制」(ビジネス法務2014年3月号)

(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。

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