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海外レポート:シンガポールにおけるギャンブル依存症 NCPGインタビュー

2015-06-06

【IR資料室】

本コーナーは週一回ほどのペースで掲載予定。

佐々木一彰 日本大学経済学部専任講師(著者の紹介は巻末を参照)

シンガポールのカジノ合法化までの経緯とNCPGの設置

2005年にシンガポールでIR関連の調査を行った。その中で4月2日にカジノを駆動部分とするIRを合法化するにあたって最も一般国民が懸念を抱いている依存症対策をいかにシンガポールが行ってきたかについてシンガポールの政府機関に実際にインタビューを行った。

清潔で安全で快適ではあるが「退屈」な観光地であるシンガポールにカジノを核としたIRの合法化が閣議決定されたのは2005年の4月のことである。
元々、カジノに対するアレルギーが強かったシンガポールでカジノを核とするIRが合法化されるにいたったのはシンガポールのGDPに占めるツーリズムセクターの落ち込みと周辺諸国の急速な経済的な追い上げに政府が懸念を抱いたからだとされている。

シンガポールでカジノが合法化されることが検討されたのは2005年だけではない。それ以前、1985年と2002年にも経済不振を理由にカジノの合法化が検討されたがギャンブル中毒、つまりギャンブル依存症に陥る危険性が増すという理由により見送られてきた経過がある。

ただし、前述の通り2003年以降のシンガポールの国際的、経済的な地位の低下を懸念しカジノを核としたIRの検討を行うに至った。

その検討を行うに当たりやはりクリアーしなければならなかった大きな問題のうちの一つはギャンブル依存症対策であった。そのためシンガポール政府は2005年4月にカジノを核としたIRを閣議決定する際に社会的なセーフガードについての六項目からなる方針を発表した。

その中の第一項目にはThe National Council on Problem Gambling(ギャンブル依存症対策審議会:NCPG)の設置がうたわれており、この機関でギャンブル依存症の問題について広く取り扱うことになっている。

今回、4月2日にインタビューを行ったのはこのNCPGである。

カジノ合法化を機に既存ギャンブルも含めて依存症調査を実施

意外なことであるかもしれないがシンガポールにはカジノが合法化される前にも合法的なギャンブルは存在していた。それは一種のスロット・マシーンであったり、宝くじ、スピードくじ、そして競馬であった。
幾種類もの合法的なギャンブルが存在する中においてカジノが合法化されたわけであり、全く合法的なギャンブルが無いまっさらな状態でカジノが合法化されたわけではない。

しかしながら新しい種類のギャンブルが合法化され、ギャンブル依存症に陥る人々が増加するかもしれないという懸念は依然、残っていたのでシンガポール政府(NCPG)はシンガポールでカジノが合法化される前(既存の合法的なギャンブルのみ対象)と後(2010年以降、カジノも含む)とでDSM-Ⅳ基準においてギャンブル依存症の危険性がある人々(問題あるギャンブル)、およびギャンブル依存症(病的ギャンブル)に陥ってしまった人々の比率がどのように変化してきたかの大々的な調査(2000人以上が回答)を継続して行ってきた。

その推移を示しているのが以下の図1である。

IR資料室-海外レポート-佐々木氏-図表1

依存症の調査、対策を一挙に整備。ギャンブル依存症の発症率はカジノ合法化後に低下

シンガポールではカジノを核とするIRに関する本格的な検討が行われる前まではギャンブル依存症についての警戒感は持たれていたが大々的な調査および体系的な教育、治療は行われて来なかった。

それらがカジノの合法化により一挙に整えられたという側面も存在する。

例えば、NCPGを始めとするギャンブル依存症対策のための組織が整えられることにより、カジノが合法化される前から存在していた既存のギャンブルで依存症に陥っていた人々もケアを受けられた。
また、カジノでとられているギャンブル依存症に陥らないように行っているセルフエクスルージョンのような方策が既存のギャンブル施設に適用されたことなどがそれであろう。

それらの結果、図1に見られるようにカジノを核とするIRが開業(2010年)した後、懸念されていたようなギャンブル依存症に陥る人々は急増せず、カジノを核とするIRの合法化とセットで行われたギャンブル依存症に対する方策が有効に機能し、問題のあるギャンブルと病的なギャンブルの比率は減少しつつあるのがシンガポールの現状である。


■ 著者

佐々木一彰 日本大学経済学部専任講師

専門はホスピタリティ産業とゲーミング産業。ネバダ州立大学カジノ上級管理者養成プログラム修了。文部科学省の助成事業「観光資源としてのカジノ」の代表を務める。


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