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谷岡一郎「カジノ反対派の形成とその対応策」 – Ⅳ:収益使途の哲学

2015-08-18

【IR資料室】

大阪商業大学 学長・総合経営学部 教授 谷岡一郎

カジノ反対派の形成とその対応策
―カジノ具体的プラン作成時における基本哲学と収益金の使途に関する提言-

<目次>
序:カジノ合法化の時代
Ⅰ:カジノに反対する人々
  主義・信条・哲学  利害関係  反対派の論拠
Ⅱ:反対の論拠について(コメント)
  ギャンブルは悪か  治安と風紀 暴力団の関与 青少年への悪影響
  ギャンブル依存の問題 社会的コスト雑感
Ⅲ:ラスト・リゾート
Ⅳ:収益金使途の哲学
  何のためのカジノか  収益金の使途

終章:イギリスの合法化に学ぶ

2004年9月『ギャンブリング*ゲーミング学研究』創刊号より転載

>Ⅳ.収益金使途の哲学

現在(2004年9月時点)までに判明している計画によれば、日本にできるかもしれないカジノは「公設民営型」(*編集部注)だとのこと。公設民営型とは土地・建物の初期投資を公(地方自治体)が負担し、その営業を民間企業に委ねる方式であり、カナダのオンタリオ州やアメリカのネイティブ(インディアン)自治区で行われているやり方である。

(*)編集部注:
2015年8月現在、IR法案は民設民営を前提としており、本稿公開時の前提とは異なる。しかし、以下の自治体における収益金の使途についての論考は民設民営においても有効である。

国はまず、提出された計画の中で一定以上の要件を満たし、選定された自治体にカジノ・ライセンスを発行し、それを受けていくつかの地域にカジノが作られることになる。
その提出計画にはいくつもの評価項目(criteria)が存在することになろうが、その中のひとつで間違いなく存在するであろう項目が、これから話題とする「収益金の使途」に関するものである。この収益金と深く関連した項目として、「初期投資の考え方」という欄もあろう。
つまりカジノを何のために作るのかがしっかりしていないと、他の具体的なプランにいくら力を入れてもすべて無駄になる可能性がある。

Ⅳ-1.何のためのカジノか
日本のカジノ計画は地域の観光振興を主目的に掲げ、それに地域それぞれの副次目的を加えるものと考えられる。したがって、観光地を中心に選定されることになると思うので、各地の主目的はあまり大きく変わらないはず。
結局、それぞれの副次的目的をどれだけ良いものとするかを問われることになろう。

1976年に法案が通過したニュージャージー州アトランティック・シティの目的は、当初は(観光振興と)高齢者に対する福祉の充実であった。カジノから得られる税収はほとんどの部分が高齢者への支出となった。
90年代に入ってから税率が1.25%上げられ、その部分は環境の整備にあてられることが決議され、実際にそのように使われている。ほんの一例にすぎないが、自治体政府は何のためにカジノを作るかという目的意識が明白であり、それは早い話が収益金の使途と密接に結びついていることがわかるのである。

カジノ・ライセンスに名乗りを上げるつもりの自治体は、したがって、早く目的を定め、固定し、そして実効性のあるシナリオを作成することである。
単に赤字の穴を埋めようとか、経済を活性化させようとか、抽象的なよそいきの議論は打ちきり、リーダーの意志をはっきりさせなくてはならない。そしてその地域独自の目的は願わくば地元住民が主役であってほしい。
トンプソンら(1990,1995年)の結論であるが、住民と対話し、住民の利益になりうる計画は地元民の賛同を得る可能性も高いのである。

Ⅳ-2.収益金の使途
(*)編集部注:
ここでは、公設民営の前提であり、公は出資による利益配分(株式配当など)を得ると説明している。民設民営の前提においては、自治体への収益配分は民間事業者からの税、納付金となる(あるいは、利用者から徴収する入場料)。税、納付金(入場料)の振り分け、使途についての論考と解釈して頂きたい。

カジノのオーナーは公であり、その初期投資出資者も公であると述べた。厳密に言えば初期投資の半分以上(つまり発行株や権利の半分以上)であればオーナーシップを得るのが資本主義の世界であり、収益は本来ならば株主の間で平等に分配されるのが筋である。逆に言えば、各自治体の副次的目的に従って、出資の一部をオーナーたる自治体以外に振り分けることができる。

たとえば、総コスト300億円の計画だとする。この場合、地方自治体は150億円以上を用意することになるが、残り150億円未満はどこから集めてもよい。かりに1株10万円で30万株発行したものとして考えるなら、10万円単位で誰に株を売ってもよいことになる。
株主は経費を差し引いた利益の分配の権利を持つことになる。

さてここからが重要なのだが、この株式、リスクもあるがほぼ確実に毎年数万円以上の利益となる。つまり民間の出資をつのる必要はなく、各自治体の目的に従って特定の団体などに買わせるだけでよい。
例えば、ある地方自治体でNPO活動を活発化させたいと思ったら、一定数の株式購入権を与えればそれでよいのである。むろんリスクを取るつもりのない団体は放っておくしかない。
収益金の使途はこのようにコントロールしうるものだと認識すべきだと思う。

収益金の使途に関し、地元住民に加えて反対派の意見も参考になると思われる。反対派が危惧する点や指摘する欠点に対し、積極的に収益を振り分けることも考えるとよい。
むろん、反対派を金の力で拘束せよと言っているのではないことは、あえて強調しておく。

自治体が権利を持つ収益の半分以上に関して、加えるなら、つまり副次的目的に関しコメントするなら、10年後、20年後の姿をイメージすることである。
その場しのぎではなく、真に街を発展させる方向で計画してほしいものである。

カジノIRジャパン


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